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いつか、選べるなら。

鬼になりたい。
ひとりが好きで無言に耐えられるというか、どちらかというと話しかけられる可能性を潰しておきたいほど静寂に憧れを感じてしまう。
風のこすり合うだけの夜の音に、月がうたた寝するような空が広がっている穏やかな時間を独り占めしたい。
ふらふらと声をかけてくる人間がいれば、馬鹿正直に怒鳴るだろう。
恐らく人間が嫌いなんだ。
五月蠅い鳴き声なんだ、虫や鳥のように静かにしゃべってほしい。

それでも何となく人間への未練を残したまま、怒りと悲しみとを区別できなくてあんな顔をしているのかもしれないけど、鬼同士は分かってくれそうだから良い。
だから、幽霊よりも鬼になりたい。
月の明かりよりも明るい物なんて必要ないんだ。

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