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基本は五人だと思う。

人生で最初にできた友達は、優しかった。
開けられなかったおやつのプリンの蓋を開けてくれて、ヤクルトの蓋を開けてくれた。そして、ヨーグルトの蓋を開けてくれた。
ぼくは代わりにビスケットを一枚あげた。
何年か経つと優しい友達は、まわりから乱暴者だと言われてあまり好かれなくなった。
そして、また何年か経って優しい友達は結婚して、子供ができて、離婚した。噂では、最近再婚したらしい。

次にできた友達は、足が速かった。
ぼくは、足が遅い。
でもぼくたちは、共に給食を食べるのが一番遅かった。おやつを食べるのも共に遅かった。
それから数年経って、ぼくは食べるのが早くなった。
足の速い友達は、相変わらず足が速かった。
でも、結婚するのは遅かった。

そんな二人が出てくる夢を見たことがある。
突然、自分たちはヒーローだと、本当は変身できるのだとぼくに告げる。そして、本当に目の前で変身して悪者に向かって駆け出していった。

だけど、それは驚くことでは無く「そんな気がしていた」、それが正しい気持ちだった。

だから僕は、なんとか生き続けなきゃいけないんだ。そのチームに空席があるとしたら一緒に並んで走れるように。

ぼくは足が遅いから。

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