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刈り取り済み。

ツー、ツッ、ツー。
まだ暑い空気の中を番いのトンボが飛んでいた。稲刈りの終わった田んぼの上で休む場所を探すのは愚かな行為だと知らずに、繋がったままホバリングしている。
だけど次の瞬間には、情熱的と呼んでいいのかわからないままの格好でガマに食われた。

トンボの汗をかく暇もないほどの生涯に、愛はあるのか。
愛が足りなかったのか。
足りれば伝わるのか。
受け取る気のない者にも伝わるのだろうか。
それは本当に愛なのだろうか。
いつから愛があると思ったのだ。

憎たらしい顔のガマガエルが、草陰でジッと宙を見る。
そのカエルが動かないのは、次の狩りの瞬間に集中しているのか、周りにいる数羽のカラスに怯えているのか分からないが、ただジッとしている。
ガマガエルは、汗をかくのだろうか。

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