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ポエム・エッセイ

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ポエムのまとめです。わたしの頭の中は、こんな感じです。
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#記憶

空模様

空が包んでいるのか、空と一緒に浮かんでいるのか分からないけど、勝手に僕らはその中にいる。 そして、好きなうたを歌って、美味しいものを食べて、誰かを好きになった。 その日の空はとびきり良くて、自分とセットで一日が造られる気さえするんだ。 でも空はいつでも、誰かにとってはとびきり良くて、もっとも悪くて。 勝手に僕らはその中にいる。 雲が動いて、僕らが動いて。 誰かの空を、今は見てる。

ひとり歩き

与えられたとき、それが積もりはじめた。 そして、呼ばれるたびに思いが募った。 それから、名乗ると同時に形を整え、その様に生きるようになる。 舞い落ちる欠片が気になった。 雪は、寒いときに降る。 「今日は雪だね」と話す日のキミとの思い出は暖かくて、雪の日が暖かいんだと錯覚して記憶してしまう。 だから雪の思い出を話すときは、身体が勝手に熱くなる。間違った覚え方だけど好きなんだ、この感覚が。 だから、キミとはじめて手を繋いだ日のことを春と呼ぶことにする。 その春は、寒くて雪が降っ

眠る。

 記憶の中と夢の中では、生きている人も死んでる人もミックスされる。  浅い夜。満月に影響される敏感なボクは、みんなに会うために横になって準備をしたんだ。  最近は何をするにも動きが鈍くなったきたけど、これもまた、みんなに会うための準備なんだから仕方が無い。そう割り切って、横になる。  もう二度と手足が動かなくなるのかもしれないし、昨日までと変わらずに昼が戻ってくるかもしれない。でも、そんなことを心配して横になるよりも、みんなに会ったら何をしようと思いを巡らせる。  月は、ま

思い出は微かに温かい。それさえ覚えていればいい。

バラバラと記憶が落ちて、水になった。 地面に落ちた水は乾いてしまって、もうどこに行ったか分からないようだ。 雨が降るから、悲しい気持ちも誰のものか分からなくなってしまった。 だから、何となくみんな雨降りが嫌だ。 運良く野良ネコが舐めた雨水があなたのものだったのなら、寂しそうに鳴いている理由が分かるかもしれない。 運悪く野良イヌに降り注いだ雨水があなたのものだったのなら、晴れた草原まで走って行って乾かしてしまうかもしれない。 今日はすこし変わった日にしよう。 外は寒くなって

そのボタンの押し方は、十人十色。

僅かな紅葉と突き抜ける青空と。 「乾燥に注意」と、匂いがすきなハンドクリームを塗るのが楽しい日。肌寒さには抵抗しつつ、上着を羽織る程度にした。 朝から仕事終わりの予定を薄っすら浮かべながら車のドアに手を伸ばすと、バチンッ、と静電気が走る。 痛い。 理想の体質ってなんだよ。 電気を出せる身体ってカッコイイと思ってたのに。 ハンターハンターのキルア? NARUTOのサスケ? いやいや。 GetBackersの銀次が好きだった。 懐かしい漫画が読みたい時がある。 記憶のスイッチ

切れ目がわからない

忘れていた棘がさわる 恥ずかしい記憶 何のために覚えているのか 意味があるのだろう うとうと 船を出す 窓の陽はまだ暖かい

ごめん、最高の相棒がいるから。

朝、フライパンでパスタを茹でる。 いつの間にか何でも省略して、これも解釈としては新しいアイディア。 技術とは呼びたくないから、アイディア。 フライパンで作るのは、ペペロンチーノ。 輪切りの唐辛子が赤と、それから焦げて変色しているからヴァレンタインの色に見える。 「男同士の週末は、最高だな」と、笑いあったのを急に思い出した。 わたしが人生で一度だけ、相談のつもりで宣言したのはあの人だけだから、余程信頼していたと自分でも驚いた。 同棲中の彼女をほったらかして見に行く映画館でも

記憶がかすれる。

都合よく忘れていくことが沢山ある。 好きな芸能人のドラマ。 夢中だったゲームソフトのタイトル。 ずっと昔にやめてしまった趣味のこと。 たばこの安心感と温度。 「記憶」にある。 ただ、それだけになっていく。 よく「瞼の裏に」なんて言うけど、ほんとにそんな感じ。 目を開いていても眼球が覆われて隠れている部分、そう、その部分に探している情景があるのが分かっている。分かっているのだけど、目を閉じて直視しようと思っても何も見えない。 そんな感じ。 真っ暗な中。 うっすら爪で付

もう忘れたよ。

はじめて君を見たのは9歳の時。 そして、はじめて何かをかわいいと思ったのは9歳の時。 それからもう一つ。 はじめて嘘つきになったのも9歳の時。

シンプルな迷路

朝。 曇りで、さむい。 散歩に来ている。ただの散歩。 町を歩くのは、すこし罪悪感を感じる。 昔から知っている町なのに、こんな時間にフラフラとしていると犯罪の下見と思われないだろうかと。目的はない、散歩だから。あるけど、ない。 昔から知っている場所だからこそ警戒心はわかるのだ。逆の立場なら、近所をフラフラしてる人はなんとなく気にしてしまうから。見たことない人なら尚の事だ。そんなの主観的な記憶なのだが、町はそういうもんなのだ。実際に何十年住んでいようが記憶にない人なら、変な人が