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ポエム・エッセイ

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ポエムのまとめです。わたしの頭の中は、こんな感じです。
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2023年11月の記事一覧

降り積もる雪も、順番を守っているはずだ。

砂場の縁にバケツとスコップを置いて、そっと腰を下ろす。 ブロックが沢山詰まったおもちゃ箱のフタを開けて、覗き込む。 ゲームの中で色々な素材ブロックを集めるためにコントローラーを握る。 そんなとき、僕等は想像してる。 並べる順番を考えているだけなのに、いつまでも飽きない。一つ、ひとつ。 その1つを置く場所は自由で、でも自分のなかには決まりがあるような気がして、それだけを信じて並べてる。 とにかく順番。 自分が思った順番を信じて並べるから、楽しい。 何でも並べたいのだか

夢とシュガーパウダーは、揺らして落ちる。

コンビニの駐車場で運転席に座ったまま、どこを見るでもなくぼんやりしていた。トランクの整理をするのも億劫だ。 乾燥した指先に塗るハンドクリームがトランクの鞄ののなかにあったよなと思うだけで、その先に進むことはないから、ガサガサしたままの自分の手を見ている。 紅茶とカステラ。 それかホットケーキと、ん〜なんだろう、なにか飲み物。とりあえず、甘い焼き菓子とスッキリした飲み物が食べたい。ファストフード店とはオレのためにあるんだなと、まだ指先を見てる。 爪の側にできたササクレ。 見る

雪花の夜に。

トンネルの先にチラチラと雪が舞っていた。 月の見えない夜を車で走る。風はなく、空から落ちてくる白い雪が踊る。身をひるがえして踊る雪に視界が埋められ、少しばかり時間が止まってしまったようだった。 ただ一つ、逆らうように雪を掻き分けて登っていく吐息だけがその周りの時間を溶かしていた。 前の方から車が来たようだ。ヘッドライトの光が見える。 車の屋根に雪を載せた姿は凛々しく、数多の戦いを生き抜いた野生動物かのように迫ってくる。闘気すら立ち昇るように見えるその姿にこちらは萎縮してし

我慢しなさい。

夕食メニューに鍋料理を作ることが増えたから、それに飽きてクリーム入り鯛焼きが食べたくなった。 べっとり黄色のカスタードクリーム。 想像しただけで甘さが広がるような気がして、とりあえずキッチンに残った冷めたコーヒーを飲むことにする。 お祭りでもないのに鯛焼きをどこで買えばいいのか。 スーパーの冷凍コーナー、それか銀だこにもクロワッサン鯛焼きとかって名前のがあった気がするけど、皮はパリッと普通のがいい。今の気分は。 コンビニに冷やし鯛焼きなんてのもあったな。嫌いじゃないけど「鯛

遠くへ届かなくても、打ち続けて。

音がしていると安心なような気がしてラジオの内容なんてさほど気にせず聞く朝に、気持ち悪くなった。 止め処無いことを考えているときは、気持ち悪くなる。 なにげなく考えたことが「あぁ、また途方もないことなのか」と気付く。そういう方が合っていかもしれない。卵と鶏どっちが先かとか、宇宙のはじまりとか、そんな途方もないことだ。 そういうときは、決まって気分が悪くなる。追いつけないのに、無理矢理走らされるマラソン大会のような気分。 でも走らなければゴール出来ない。 最悪な気分だ。 なに

10時半の眠気。

洗濯をしてから、菓子パンとカフェインレスのコーヒーを飲んだ。 雲の隙間から、日光が部屋の窓をノックしているのをカーテン越しに感じたから散歩したくなる。 でも眠い。 今寝たら、二度寝かな? それとも、昼寝? 休日の朝くらいしか飲まない粉コーヒーなのに「カフェインレス」をなぜだか買ってしまった不思議な私だから、どちらかの判断はつかない。 流れていく雲が確認するように覗くから、こちらも軽く会釈した。 とりあえず寝るから、散歩は夢の中で。 できたら。

同じ考えの人は、必ず何処かにいるよ。

ブラックフライデーに興奮し、福袋とおせちをどうするか考える。年末はハロウィンなんかより余っ程騒がしい。 クマ達はこれから冬眠するというのに、人間は騒がしくしていたほうが気が休まるのだろうか。 生活スタイルを朝型にして活動的な人が「良し」とされるけど、本当にそうかな。 夜空の星を繋げて名前と物語をつけた人達は、朝型だったのかな。 「良し」の名札をつけた人がどんどん輝くから、夜に「悪し」の名札をつけて空を見る。 太陽に燃料を焚べて、夜空を薄くしてしまったら眠らなくてもいい理想

楽な持ち方は色々。

サーカスのピエロが、ジャグリングを披露している。無数のボールを、時には空き瓶をまぜてクルクルと。 円を描くように宙を舞うボールに観客は釘付けになっている。それは、その技術に只々感心する顔だけではなく、失敗を願う顔もあり、またはショーを楽しむ観客のマナーにしたがっているだけの思考の無い顔も多く見られた。 ショーの終わりの売店では、ピエロが持っていたカラフルなボールが売られている。 子供たちはねだり、なかには大人でも興味深そうに購入を検討してい。 値段はそこそこに高い。当然

数の暴力。

一家に1台のTVがそれ以上になって、それ以下になる。 一度は旅したい場所には何時間かで行けるようになって、枠と檻の区別が分かりやすくなる。 好きな色だけだったパレットが、貸したり借りたりしていると知らない色が増えるから、日常を描くときの色に迷うのかもしれない。 それでも、いつか季節が夏と冬だけになったら、たまに降る雨をなにか素敵な名前で呼べるようになっていたい。 グルグルする針の先が向いてる所の意味を軽視しがちになり、ルーレットとコンパスどちらを持っていたかも忘れたまま

骨の集合体。

肉を被った骸骨は話をする。 大抵は、自分の。 その骸骨は風を飲む。 話を続けるためと、動くためと。 風を出し入れできなくなると、「骨」と呼ばれて永遠に眠る。 骸骨は眠る。 永遠ではなく断続的に。 何故か、目の辺りの肉を降ろし。 何故か、なにかに寄りかかって。 このとき骸骨は骸骨のままで、「骨」とは呼ばない。 そして、またしばらくすると勝手に話をはじめる。 骸骨の鳴き声は様々だが、眠ったあとは必ず「おはよう」と鳴いてしまう。 誰かがいても、いなくても。

不得意。

手のひらに刺さったトゲが、周りの肉を赤くして存在を主張している。 でも、今はそれだけ。 指でなぞってみても何のさわりも無く、ただ赤く膨れている。 それでも手のひらに刺さった過去は、目の前で寝転んでいる。 そして、忘れたころに何かに引っかかって痛い思いをさせてくるんだけど、それが何時になるかは分からない。「忘れた頃に」なんだから。 無理矢理に傷口を切り開いてトゲを抜いてしまえば、そんな心配も消えるのだろうけど。 今はピンセットも針も、カッターも見つからない。 爪でカリカリ

静電気、乾燥。

乾いた絵の具みたいにガサッとした気持ちで、登校していく男子小学生を見送った。 こんなに小さかったのかと、ランドセルを背負った姿を自分のそのころを思い浮かべて比べる。 これから大変なことが待ってる世界を進むんだよなと、朝からネガティブ全開の思考がまわってしまう。 何でも自分自身と比べるのは良くないなと思い直すが、両親もそうだったのかなとも思い、客観視できる人たちは凄いなと落ち着いた。 それでも自分の子供時代は楽しかったから、ほかの子供にもそうあってほしいなと車のスピードを落と

暑いより、寒いほうが好きだと強がっている。

汚しているのか、流しているのか。 どっち付かずの雨からは冷たい音がするから、それが伝うフロントガラスを眺めるのは無駄な時間なのかと、小さく丸くなる。 丸くなるのは、暖かい気がするから。 手を、ももの間か脇の下かにいれて。 身体が自然ととるポーズだから、この姿勢が低気圧から守ってくれる。 さわさわと背中をくすぐる寒気にも、瞼に確実にぶら下がっている重りにも抵抗したいけどできなくて、「風邪はひきたくないな」と思うのが精一杯。 大抵、低気圧のせいなんだ。 低気圧が眼の前に現れた

泡に。

泡の外から見ている。 少し息苦しい。 綺麗な泡が浮かんでいく。 入りたいなら早くしないなと行ってしまうのはわかっているけど、その表面の丸い膜のような抵抗に負ける。 ぷにぷにと、指で触ってみて楽しいような顔をして誤魔化してはいるけど、本当は泡の中にを入ってしまいたい。 綺麗な泡が浮かんでいく。 それは手のひらで、行く先を遮っても関係なしに進む。 うまく丸い膜を利用して、転がるようにすり抜けていってしまう。 ああ、綺麗な泡が浮かんでいく。 意気地のない僕は、追いかけてい