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『プロパガンダゲーム』場当たり

ごきげんよう、春陽漁介です。

本日、8月9日。舞台『プロパガンダゲーム』は小屋入り二日目。
レジスタンスサイドの場当たりの日でした。

場当たりとは、主に照明や音響や仕掛けなど、稽古場ではリハーサルが出来ないテクニカルな演出が絡む部分を確認する作業。演劇は、やはり劇場で完成するもの。劇場に入ってからこそ見える、わかることが多く、場当たりの充実度こそが初日の出来を左右するわけです。
場当たりの所要時間としては、作品の質にもよりますが、2時間の舞台ですとだいたい6~8時間くらいかかります。今作のような、ほぼ全員が出突っ張りの芝居ですと、キッカケ(テクニカル演出のタイミング)が少ないのが相場なのですが、舞台『プロパガンダゲーム』はキッカケだらけ。しっかり8時間かかりました。
これが明日またあるわけですから動悸が止まりません。

ガバメントチームの稽古風景

なぜそんなにキッカケが多いのかと言えば、会話劇に重点を置きながら、エンタメ要素にもこだわった今作。視覚的にも楽しんでいただけるよう細かな演出を詰め込んでいるから。
演劇の面白さにこだわるからこそ、お客様の想像力に頼る部分も多く、もしかしたら分かりづらいと感じさせてしまうこともあるかもしれません。
でもご心配には及びません。
何やってるのか分からない部分はスルーしてください。演出意図なんて全部理解しなくても舞台は楽しめますし、もっと楽しみたい!考察したい!みたいな演劇中毒者の為の演出も多々あります。
たまに「分からない部分があって……」と深刻なお顔でご質問くださる方もいますが、分からねぇもんは分かる必要のねぇもんだ、くらいの気概でご覧ください。
それでも気になって仕方がない部分が出てきてしまった場合は、ロビーをうろついてるであろう僕にご質問いただけたらお答えします。ちなみに僕も分からないでやってることがあるので、ちゃんと答えられなかったらごめんなさい。

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質問しようにも顔わかんねぇよ、な方の為に

さて、昨日はレジスタンスサイドの主要キャスト4名をご紹介しましたので、今日は、ガバメントサイドの主役4名のご紹介です。

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後藤正志役の松島勇之介(通称、ゆうのすけ)
椎名瑞樹役の松田昇大(通称、しょうた)
香坂優花役の宮崎理奈(通称、みやりちゃん)
織笠藍役の及川詩乃(通称、おしの)

後藤という、ガバメントチームの頭脳であり、この就活にもゲームにも並々ならぬ熱量を持ちながらも、仏頂面で溜め込む男を演じるゆうのすけ。他人に対して壁を作らない性格だからこそ、表現の制限をかけても繋がり続けてくれます。後藤の心の機微や、漏れ出るフラストレーションの表現にご注目ください。

椎名という、チームの空気を作る進行役であり、広報官も担うエンターテイナーを演じるしょうた。会話劇が初めてとのことでしたが、芝居の中で相手とコミュニケーションを取る感覚をしっかりと会得してくれました。本人が持つ誠実さや優しさが、椎名の奥行きになっていてガバメントのドラマを展開させています。

香坂という、天真爛漫で可愛らしいキャラクターを演じるみやりちゃん。本作のキャラクターの中で、もっとも大きな変化がある大役ですが、みやりちゃんの感情表現は見事。2時間の物語の中で大きく揺さぶられる心を、丁寧に捉え、大胆に演じてくれて、観る者の心を大きく揺さぶります。(僕は揺さぶられました)

織笠という、秘めた意志やアイディアを持ち、変化していくチームの流れを支える役回りのおしの。原作設定では謎めいた面も多いキャラを、とても人間らしい織笠に仕上げてくれました。仲間たちとの関係性を掘り下げ、それぞれへの接し方が自然に変化するリアリティは、おしのが持つ人間性によるのだと感じます。

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ガバメントサイドの面白さは、「成長と青春」です。
他人への接し方にそれぞれのスタイルがあり、4人がチームとして一致し切れないまま進むガバメントチーム。ゲーム内の展開を経て、自分の大事にしているものにヒビが入ってしまう。そこで折れてしまいそうになりながらも、それぞれが少しだけ成長し、繋がっていく。ずっと運動部だった僕には、彼らの青春物語に涙が溢れてしまうほど共感があります。
今作には、「戦争」や「プロパガンダ」など、社会性において大事なテーマがたくさんあります。でも、ガバメントチームを観た後に残るのは、もっと日常的でなんでもない、個人的なテーマ。生き方も考え方もバラバラであろう4人が、お互いの目を見て意見を合わせていく姿に、「目の前の人を大切にしよう」なんていう小さな幸せを感じたりもします。

「劇場はこちらです!」のおしの

さて、レジスタンスサイドを明後日には初日を迎えます。
どちらのサイドを観ても楽しんでいただける作品です。でもあわよくば両方観ていただきたい。2つの視点を見て感じる、自分の中に生まれる正義や矛盾。たくさんの葛藤を持ち帰ってもらえたら嬉しいです。


MMJ企画 舞台『プロパガンダゲーム』
脚本・演出: 春陽漁介(劇団5454)
原作: 根本聡一郎(『プロパガンダゲーム』(双葉文庫))

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<STORY>
君たちには、この戦争を正しいと思わせてほしい
そのための手段は問わない
大手広告代理店電央堂の最終入社試験に訪れた8人の大学生。
最終課題は、国民を戦争に導けるかどうかを競うゲームだった。
【政府チーム】と【レジスタンスチーム】に分かれた学生たちは
国民に対して宣伝を使った情報戦を繰り広げていく。

<キャスト>
side:Government: 松島勇之介 、松田昇大、宮崎理奈、及川詩乃 
side:Resistance: 白又敦 、白柏寿大、出口亜梨沙 、高嶋菜七 
電央堂社員:窪田道聡、榊木並、森島縁

<期間>
2022年8月11日 (木・祝) ~2022年8月28日 (日)

<公演日・開演時間>
08月11日(木・祝) 19:00◇
08月12日(金) 19:00◆
08月13日(土) 13:00◆ / 17:30◇
08月14日(日) 13:00◇ / 17:30◆
08月16日(火) 13:00◆ / 19:00◇
08月17日(水) 13:00◇ / 19:00◆
08月18日(木) 13:00◆ / 19:00◇
08月19日(金) 13:00◇ / 19:00◆
08月20日(土) 13:00◇ / 17:30◆
08月21日(日) 13:00◆ / 17:30◇
08月23日(火) 13:00◇ / 19:00◆
08月24日(水) 13:00◆ / 19:00◇
08月26日(金) 13:00◆
08月27日(土) 17:30◇
08月28日(日) 12:00◇ / 16:00◆

◆side:Government
◇side:Resistance

※出演者は全員、side: Government/side: Resistanceの2作品両方に出演します。

【アフタートーク決定!】
以下の6公演でアフタートークを実施します。
*対象公演(side名)→出演者
*8月16日 19:00公演(R)→Resistance
*8月17日 13:00公演(R)→Resistance
*8月18日 13:00公演(G)→Government
*8月19日 19:00公演(G)→Government
*8月23日 13:00公演(R)→劇団5454
*8月24日 13:00公演(G)→劇団5454
*8月27日 13:00公演(R)→原作者 根本聡一郎さん×脚本・演出 春陽漁介

<チケット>
特典付き:7,500円(公演チームのブロマイド4枚セット)
一般チケット:6,800円
(全席指定・税込)

公式ウェブサイトはこちら↓

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