【丸ごとレポート】Short Story for Sustainability Talk Live Vol.1
昨年11月25日、株式会社FROGLOUDから諏訪慶さん・大泉共弘さんをお招きし、「Short Story for Sustainability Talk Live Vol.1」を開催しました。
「SDGs・ESGに取り組まなければとは思っているけど、何をすればいいのかわからない...」
「La torcheが取り組むSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)って何?」
「サステナビリティ推進とショートフィルム、一体どんな繋がりがあるの?」
そんな問いにじっくりと向き合いつつ、企業の事業や組織の変革を加速させうるショートフィルムの可能性に迫るイベントとなりました。
盛りだくさんの内容になっていますので、ぜひ、目次からご自分の興味のあるトピックを選んでいただき、学びに活かしてみてください。
登壇者プロフィール
「Short Story For Sustainability Talk Live」いよいよスタート!
秋間
こんばんは。お集まりいただきありがとうございます。
株式会社La torche代表の秋間早苗です。今回の「Short Story for Sustainability Talk Live」は、皆さんのお耳をお借りしながら、「こんな面白いこと考えているんだけどどう?」というシェアの精神で開催しています。私たち自身、トークやイベントの雰囲気を模索しながら進めていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。
私は、企業やブランド、組織のサステナビリティ実現に伴走する仕事をしています。今日のトークを通して、諏訪さん・大泉さんの専門領域であるブランドムービーとサステナビリティがどう交差しているか、皆さんにお伝えできれば嬉しいです。
諏訪
みなさんこんにちは。株式会社FROGLOUD代表の諏訪慶です。僕は元々、「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア」という、25分以内の映像作品を世界中から日本に集める国際映画祭のプロデューサーをしてきました。世の中の短いストーリー・映画に関しては誰よりも見てきたのではないかという自負があります。
その作品やクリエイターを見ている中で、短い尺の中で人の心を動かすコンテンツの技術を用いて、企業のブランディングをお手伝いできるのではないかと考えるようになりました。
そこで、ショートフィルムという手法と企業のブランディングという領域を掛け合わせたブランデッドムービーを専門にした会社を作りました。秋間さんと出会ってお話しする中で、サステナビリティいう新しい領域で、ブランデッドムービーを活かすというワクワク感に駆られて今回のトークライブに参加しています。
大泉
こんにちは。FROGLOUD・CCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)の大泉共弘です。元々は映画や映像の業界出身で、今は「コミュニケーションをデザインする」ということを骨子にして働いています。
世の中のコミュニケーションを様々な文脈でデザインしていくことが重要だとここ10年ぐらい思って動いています。諏訪さんとも一緒に映像やイベントなど様々な発信をしていく中で、ブランデッドムービーにも大きな可能性を感じているところです。
”地球にやさしい”だけではない。「サステナビリティ」の再定義
秋間
それでは早速、進めていきたいと思います。
タイトルにもある「サステナビリティ」は、SDGs(※1)やESG(※2)と共に、最近よく聞く言葉ですよね。企業の中にも、これらの実現のために何かをしなくてはいけないという圧を感じながらも、でも何をするのが正解なんだろうと悩まれている方も多いのではないかと思います。
私は、サステナビリティという言葉がまだ浸透していなかった大学時代から、その研究・実践に取り組んできました。今は多くの人が、「サステナビリティ=環境保護、地球にやさしい」という印象を持っているのではないかと思いますが、実はこれでは、「サステナビリティ」という言葉の持つ力がしっかりと発揮されません。
壊れやすい地球を大切にして、現状維持を続けていくだけでは不十分。経済も含めた人間社会のことも全部考え、その上で「変化を起こしましょう」というのが本義なんですよね。
私たちが求められているのは、これまでの延長戦じゃないところにトランスフォームすること。そんなイメージを、まずは共有していただければと思います。
そしてここからは、企業を主人公としたサステナビリティについて考えていきたいと思います。企業が地球に対して責任をとる、という文脈であれば、少し前まで流行していたCSR(企業の社会的責任)の策定で十分かもしれません。しかし、「責任」という意識だけでは、みんなが力を合わせられるようなモチベーションが湧いてこない、コストが回収されないリスクがあります。
「企業の事業の成長も、地球社会への貢献も両立できる。」「社会的にも、企業の中の人にとっても価値がある存在に、ビジネスやブランドはなりうる。」
そのようなリフレーム(考え方の転換)をするには、今までやってきたことを見直し、ブラッシュアップし、新たな変革を起こすというエネルギーが必要です。そういった企業のSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)をお手伝いしていく中でよく見るのは、「SDGs推進室」のような部署を作って号令をかけても、社内の人たちや関係者が、なかなか自分ごととして取り組むことができない現状でした。
諏訪
そうですよね。もし僕が「SDGs達成のために企業を変革させてください」と言われたら、何から手をつけていいのかわからなくなると思います。とりあえず、17個のゴールの中から一つ選ばなくちゃいけないのかな、みたいな。SDGsのその先に何を目的とするのかの設定が一歩目ですが、そこでつまづくケースが多いんじゃないかなと思います。
秋間
私も、企業の方に伴走する際、「SDGsを目指さないでください!」とあえてお伝えすることがあります。SDGsの何番を使うかを考えているだけだと、責任は果たせても成長はしないんですよね。
SDGsを念頭におきつつも、本当に目指すのは「ビジネスのサステナビリティ」。利益の追求にとどまらず、社会的に求められ続ける、価値を生み出し続ける組織になるという意味です。
ここで鍵になるのが、「定義を差し替える作業」です。企業に関わる一人ひとりが考え方を大きく転換する必要があるのですが、そんな中「ショートムービー」「ブランデッドムービー」というものに出会い、とても感動しました。
「ショートムービー」と「SDGs」。共創の可能性に迫る
大泉
僕たちとしては、なんで秋間さんがそんなに感動しているのか、最初はピンとこなかったところもあります(笑)
でも、秋間さんがされているサステナビリティに向けたコンサル業務と、僕もやっていたSXをサポートする仕事には共通項もあったので、どこかで重なるんじゃないかなというシンパシーがありました。ミーティングを重ねて言語化していくうちに、だんだん、ショートムービーとSXが紐づいてきたのではないかと思います。
諏訪
そうですね。二つが交差する場所にいて僕が心から可能性を感じた瞬間は、秋間さんが「SXに向けてまずパーパス(会社の存在意義)を設定する」という話をされていた時でした。ここで、パーパスを表現し、伝えていく役割をショートフィルムが果たせるのではないかと強く感じましたね。
秋間
パーパス・存在意義はSXにとって大切な軸です。これを社内外に伝え、現実を動かす力を生み出していくために、映像の力・ストーリーマーケティングの力が有効なんだということを、今日の会を通じて伝えていきたいと思っています。
大泉
ショートフィルムは、短い時間で感銘を与えたり、共感を呼んだりする力に優れています。短い”映画”、長編映画を撮る前のステップアップのためではなく、映画と並ぶもう一つのクリエイティブ・エンターテインメントという存在です。
経営者の方の「パーパスやビジョンを作っても、なかなか浸透しない、連携につながらない」という悩みを、3分や5分のショートフィルムで解決できたら、すごい体験になるなって思います。
諏訪
僕は映画監督を目指していたころから、20年以上ショートフィルムに携わってきています。いろいろなものを見ていくと、優秀なショートフィルムというのは、シンプルなシチュエーションの中で、メッセージを表し、きちんとインパクトを残していくんですよね。
これは、企業が伝えたいブランドメッセージ・パーパスといったものを”ワンメッセージ”で表現することが求められている今、とても親和性が高いんじゃないかなと思います。企業やブランドの存在価値や存在意義をいかに面白く表現するか。ショートフィルムやブランデッドムービーの出番じゃないかと思って、今とてもアツくなっています。
秋間
まさにそういうことですね。
せっかく時間とコストをかけて作ったならば、メッセージを届けた時に、さまざまな立場やバックグラウンドが違う人が、「自分もこういう関わり方ができそう」「一緒にそんな未来を創っていきたい」と自分ごとにとらえられる感動や喜びを届けたい。
私自身も映画がとても好きで、年間何百作品も観て力をもらっています。メッセージをぎゅぎゅっと凝縮して人を動かすことができる映像の力を、いろんな人たちを巻き込んで企業が変わっていくための起爆剤にできればと思っています。
大泉
正直にお伝えすると、僕には懸念していることもあります。
ブランデッドムービーは、メッセージが届きづらい今の時代だからこそ発明された、広告とエンターメンとのはざまのような存在なんですよね。企業やブランド、サービスがなぜ価値があるのかを、物語に変換していく作業がとても重要ですが、一方で肝心なストーリーの組み立てがうまくいかないと、企業の中の人にとっても観る人にとっても、価値を感じづらいということも起こりかねない。だからこそ、しっかりしたストーリー設計をしていきたいなと思っています。
諏訪
「伝わる」「伝わらない」にはさまざまな要素がありますが、やっぱりつまらない話を人は聞きたくないですよね(笑)でも、いい話や心に残る話は、翌日から人に教えたくなる力を持っている。
パーパスがホームページに書いてあるだけではなく、思わず人に伝えたくなるような魅力的なストーリーになるというのは、素晴らしいことだと思います。だからこそ、ストーリー設計がとても大切ですね。僕たち自身がワクワクしていて、本気で取り組もうとしているということを伝えたいです。
大泉
企業の人に、パーパスに背景のあるものを細かく聞いていくと、「それ、めっちゃいい話じゃないですか」ってなることが多いんですよね。だからこそ、短い物語として伝えていく価値があると思います。
秋間
次回のトークライブでは、今日も話に出た「パーパス」。これと「ミッション」「ビジョン」「バリュー」など、みなさんが混乱しがちな言葉の定義をわかりやすく解説しながら、解像度をぐんぐん上げていく時間にしていく予定です。今日はありがとうございました。
vol.2はこちらから!
La torche×FROGLOUD 共同プロジェクト始動!
そして、La torcheとFROGLOUDは昨年12月15日付で業務提携し、企業のパーパスをショートストーリーや映像で表現するサービス、「ショートストーリー for サステナビリティ」を提供開始しました。サービス詳細につきましては、以下のページをご覧ください。
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