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子育て的・海外移住を決めたワケ

このnoteは、秋間早苗による2022年6月6日のインスタライブ「子育て的・海外移住を決めたワケ」の内容をもとに作成したものです。
La torcheでは、「企業向けのSX推進に向けた伴走・プロデュース業務」はもちろん、さまざまな場所で「正解のない世界」と向き合い、奮闘している個人に対しても、有益かつ心温まるコンテンツを制作しています。
「インスタライブ書き起こし記事」に関しては、代表・秋間早苗が20年来に渡り「サステナビリティ」というテーマに取り組んできた中で学び得た知恵、考え方などについて語り、凝縮した形で皆さんにお届けしていく予定です。ご自分のペース、学び方に合わせた形で、インプットの材料にしていただければ嬉しく思います。

公式LINEでは、株式会社La torcheや秋間早苗が責任を持って編集した数々のコンテンツを配信。コメントやアンケート機能を通したインタラクティブなやりとりも行っています。登録はこちらから。

皆さんこんばんは。秋間早苗です。
今日は、公式LINEのアンケートで僅差の2位だったトークテーマ、「子育て的・海外移住を決めたワケ」についてお話ししていきたいなと思います。

厳しい実家暮らしから、起業まで。これまでの歩みを振り返る

「世界学生サミットStudent Summit for Sustainability 2007」にて。

本題に入る前に、私のこれまでの歩みについて、少し振り返らせてください。

私は山口県で生まれ育ち、大学に入るタイミングで東京に出てきました。高校生なのに門限が夕方の5時だったりと、実家はとても厳しい家庭でした。大学も当初は近隣の地域に進学することを勧められていましたが、「東京に出たいなんて無茶を言うなら、東大ぐらい入らないとね」という一言に掻き立てられ、他のいくつかの理由とともに東大を目指し、一浪の末に入学しました。

勉強を頑張るのは得意な方だったので、「自分ならできる」という駆動力を糧に頑張り続けていたのですが...。大学に入学したとたん、パチンとタガが外れてしまいました。

抑圧されていた実家の環境から全然違う世界に飛び出したことへの反動が大きかったですね。世界をバックパックひとつで回ったり、「勉強を頑張る」というよりは、「世界を見たい」という情熱そのままに、あちこちに行ったり、色々な人に触れたりといったことが、当時の私を支えてくれたのかなと思っています。

そこから大学院に入り、今も取り組み続けている「サステナビリティ」という言葉に出会いました。そして1年間休学をして、いろんな企業の社長さんに直談判するなどしてお金を集め、世界各国の若者を日本に呼び、サステナビリティのために行動する人たちの連帯をテーマに国際会議を開催。私の人生にとって、大事なイベントでした。

この時に企業の色々な面を見た結果、既存の企業には私の居場所はないなと思い、就職せずに起業するという道を選びました。それもあって、よく自分のことを、"雑草系"・"ストリート系"と呼んでいます(笑)。

私がそこから20年近い月日の中で取り組んできたのは、正解のない、先が見えない「VUCA」と言われるようなカオスな世界の中をどう生き抜いていくか、肩書きも看板もない中で自分という命をどう生かしていくか、違いを持つ人たちとどう力を発揮しあっていくかという問いに向き合い、実践していくことでした。その中で得た知恵がみなさんにも届けばいいなという思いで、このインスタライブも配信しています。

原動力となった「縦割り思考」への違和感

最近では、中学校や高校の探求学習の時間に呼んでいただき、講演やワークショップをする機会も多くなりました。このように教育の現場でさまざまなことを見聞きしたことも、今日のテーマにつながってきます。

では、ここからは改めて、「子育て的・海外移住のワケ」についてお話ししていきますね。一つのキーワードを伝えるとしたら、それは、「多様性が欲しかったから」です。「みんなが違う」を前提とした環境で子育てをしたいという一心で、移住を決めました。

なぜそう思ったかを紐解くために、先ほどの自己紹介でも触れた大学時代のエピソードを振り返ります。私は、日本でいう「勉強を頑張って、良い成績をとって、良い大学に入る」というところの「良い大学」には確かに入ったんですよね。でも、実際に東大に入って見た景色に、ショックを受けてしまいました。

入学前は、キャンパスの芝生の上で色々な人たちが熱く語り合うというイメージを持っていたのですが、全く違ったんです。「私の専門はこれなので」「私は理論派なんで」「私は現場派なんで」というように、みんな自分の研究分野には誇りを持っているけれど、それ以外のことに対してのオープンマインドな姿勢が見当たらず。それも私の時代だったからかと思いきや、今でもそれが残っているそうで、この話題を聞くと、思わずざわざわした気持ちになりますね。

大学院時代に休学までして「サステナビリティ」領域にコミットしたという話もしたのですが、その原動力になったのも、このような「縦割り思考」への違和感でした。自分の研究分野以外に対して無自覚に蔑んだ言葉遣いをしているような先生がたくさんいるような状況で、それが学生たちにも伝染していた状況を見ていた私は、「本当にここは知を追求する場所なのだろうか」と疑問を募らせていました。

そんな時に出会った「サステナビリティ」という言葉は、誰にも否定ができない、文系だろうが理系だろうが、理論派だろうが現場派だろうが、みんな同じテーブルにつかせるような力を持つ、ある意味マジックワードとも言えるような存在でした。これを使ったら、縦割りの壁を壊せるかもしれない、そこに賭ける価値があると確信して、熱意のままにさまざまな企業の代表の方などにプレゼンをして支援を集め、世界中でサステナビリティの実装に向けて取り組む人たちとの会議を実現したことを覚えています。

当時から、違うということに対して心や耳を開き、むしろ違いを面白がって新しい知識を引き出すという態度がどれだけ大切かを痛感し続けてきたことが、今なお私の中のテーマである、「違いを活かす」「縦割り思考や自分しか見えていない視点をどう拡げるか」にも繋がっているのです。

「学校」というシステムへのジレンマ

このような経緯もあって、「違いを生かし合う世界」を実現させ、当たり前にしていくという仕事に、私は人生を捧げたいと思うようになりました。そして子供が生まれてからは、彼らにもそのような世界を味わってほしいし、その中で生き生きと、その子ならではの違いを大事にして、発揮できるように育ってほしいという思いがさらに強くなりました。

そして夫とは、子どもが長い時間を過ごす、人生の中で重要な役割を持つ「学校」という場所については、「どれだけ多様であるかを大事にする」という意見が合致して、「いつか叶えたいね」と繰り返し話してきました。

さて、みなさんは自分の学生時代を振り返ってみて、どうでしょうか?
自分が育ってきた地域や学校に、どこか窮屈さを感じていたりしませんでしたか?

私自身はその「窮屈さ」を強く感じていた方だったと思っていて、しょっちゅう学校の先生と喧嘩していました。なぜその校則が必要か誰も答えられないのに、「防寒着を着てはいけない」というルールがある。疑問を感じて生徒会に入り、生徒と先生の間に立ち、校則を変えるために動いたこともあります。

それもあってか、学校教育の中にある成績という一個の物差しでみんなを測って、そこから外れるものは「成績が悪い子だね」「集団活動ができない子だね」とラベリングされてしまう状況に強い違和感を覚えてきました。

みなさんの中にも、強い嫌悪感まではなかったとしても、自分は周りと比べて何か足りないんじゃないかと不安に感じたり、大多数の意見と違うということで疎外感を感じたりしたことがある人もいるかもしれません。中にはのびのびと過ごせていたという人もいるかもしれませんが、やはり、「こういうものだ」に押し潰されて自分を見失ったり、勘違いや思い込み、トラウマに繋がったりという窮屈さの中で、本来持っている命の力を生かしきれてこなかった人も多いのではないかと思います。

もちろん、今の学校が悪い、先生がみんな敵だと思っているわけではありません。私自身、中学校や高校に出向いたり、セミナーやワークショップで教員の方々に出会ったりとコミュニケーションをとる中で、「ここはおかしい」「もっとこうしたい」という思いを持ち、行動する先生たちとも数多く出会ってきました。そんな先生のもとで、同調圧力を超えて力を発揮できる子が一人でも増えればという思いでもありますが、一方で、学校という一つの管理システムが持つ力のしぶとさも実感しています。

志ある人たちがどんなに頑張っても、周りの人たちも巻き込むような形でのムーブメントがメジャーに至っていないというのが、今のリアリティなのではないかと思います。

例えば学校現場では、これからの時代に合わせた非認知能力を身につけようという形で、学校の成績では測れないような力を伸ばすためのカリキュラムの導入が進んでいます。私もその一環で現場に入らせていただくことがあり、こういったプログラムの重要性や貴重さを感じる日々ではあるのですが、先生方と話しているときに、どうにも拭えない違和感があるんですよね。

こういった取り組みが心底必要だと思っている先生がいる一方で、「言われたからやる」といったスタンスで、一人ひとりの唯一無二性や違いを生かし合うためには、これまでの考え方や眼差しを土台ごと取り替えなくてはいけないということを、リアリティを持って理解できていない先生もいる。子どもたちにはそれを超えるような形で精一杯伝えようと努力はするのですが、やはり毎日通う場所であり、接触回数も多い学校の先生方が持っている眼差しが与える影響は、とても大きいと思います。

「違いは扱いづらい」を乗り越えるために

「違いは面倒で扱いづらい」、「同じの方が管理しやすい」そういった仕組みが、学校教育にはどうしてもあるのではないかと感じています。今の私の立場でそのシステムの全てを変えることは難しいですし、土台から変えようと試行錯誤している人たちのエンパワメントには取り組んでいるものの、なんだかんだご縁があったところにしか届かない、対症療法に留まってしまっているというのも事実です。

自分の子どもだけではなく、その同世代が生きる世界を土台から変えるための仕掛けとして、そして、日本人の海外からきた逆輸入の言葉を信頼するという特性も活かして、私自身は「黒船効果」を狙って、一度日本を出ることを決めました。

教育現場を変えるために力を注ぎ、人生をかけている人たちに対しては、尊敬しかないです。そして、私もその勢いを高める一翼になりたいという思いから、外から声を出すということにスタンスを持つことにしました。

また、違いを生かし合うことに対する意見や想いが溢れているがゆえに、自分の子どもが学校に通い始めた時に、先生や学校に対する思いを、不平不満の形で言い続けてしまうのではないかという恐れもあります。その姿を子供たちに見せたくないと思ったのも、一度日本を離れた方がいいなと思った理由の一つです。

もちろん、学校の構造的な限界をカバーするような家庭環境や、サードプレイスを作ること、学校選び子どもたちの意見の尊重など、他にもさまざまな模索がありますよね。その中の一つの手段として海外移住を選んだということを、ご理解いただければと思います。

カナダ・バンクーバーの子育て的メリット

最後に、移住先であるカナダ・バンクーバーについてお話しさせてください。

まず第一に、さまざまな国や地域の人が集まる多様性のある街、というのもメリットの一つです。それだけではなく、1年半ほどで永住権を得ることができ、大学の学費が割り引かれることはもちろん、公立の小学校は無料で入学でき、そこも、ギフテッドや障害を持つ子どもたち、英語が堪能でない子どもたちもいることを前提としたプログラムが当たり前にある環境です。

この「多様性の担保」以上に重要視していることは私の中にはあまりありません。学校という場では学びが物足りなくなったり、子どもたちにはもっとできることがあるんじゃないかと思ったりしたら、家庭の中やサードプレイスでの活動など、別のアプローチを取ることもできると考えています。

多様性やチャンスの多さ、色々なところにメリットを感じて決めた今回のバンクーバーへの移住ですが、もちろんチャレンジもたくさんあります。予期していない問題もきっと起こると思います。想定していることは「想定外が起こること」ぐらいの心持ちではいるのですが、もしそうだとしても、取り組むだけの価値があることだということで、今回の意思決定に至りました。

選択肢「C」を生み出すチカラ

私が海外移住や教育について考えていることを、一気に語らせていただきました。

この話を聞きながら、学校生活に関することや、日頃見聞きすることに窮屈さがあるなと感じた方は、ぜひ意識的に振り返る時間を持っていただきたいなと思います。

「違いは面倒くさい」「管理しづらい」「違いがあったら、自分が悪い」そんなネガティブなラベルづけに気づくことができたら、変わるチャンスでもあるんです。思い込みを一旦自覚することは、「違ってもいいかも」「良いも悪いもないよね」とフラットな態度を持ち直すことにつながり、みなさん自身、とても生きやすくなると思います。

自分が生きやすくなると、他人の違いに対しても寛容になったり、窮屈な「A or B」の2択を超えた第3の道、「選択肢C」を見出すこともできるようになります。

今日は「子育て的・海外移住を決めたワケ」をテーマに熱く語らせていただきましたが、多様性や違いに対してどんなセンスやスタンスを自分が持っているか見直してみるという振り返りは、どんな人にとっても鍵になると思います。参考にしていただければ嬉しいです。

それではみなさん、良い6月をお過ごしください。
海外移住まであと1ヶ月ということで、私も頑張っていきたいと思います!

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