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Vlookという分水嶺
仕事をしていてふとあることに気づいた。
私はExcelの使い方をどうやって覚えたのだっけ?
データを取り扱う上で、例えばVlook関数が使えるのを当たり前だと思い、自分の周囲もこれらを当たり前のように使用しているけれど、これって実は普通のことではないのでは?
VBAで業務の自動化をするようになって、そのことにふと気づいたのだ。そういえばいつどうやって覚えたのだっけ?と。
以前、あまり思い出したくない記憶だけれど、趣味の集まりで「Officeを使う人間を馬鹿にし見下すデザイナー女性」という香ばしい人物を前にささーっと引いてしまい、いたたまれない気持ちになったことがあった。しかし実は世の中そんなことざらにあるのではないか? と想像し今更青ざめる(その方は最近経営コンサルタントになると息巻いていると聞いた、表計算ソフトの使えない経営コンサルタントになるのだろうか)。
twitterの検索窓に「vlook 使えない」と打ち込む。
すると出るわ出るわ、周りがExcel使えないという大量の愚痴が。
ビジネスやる上でどうやって数字を扱っているのだろう…と思いいろいろ見ていると、Excelのシートに電卓で計算した結果を打ち込んだり、目でデータを探してコピー&ペーストしたりしているというケースが散見された。
ガッデム。
7payを生み出す日本企業、実は珍しくないのではないか。
そういえば以前派遣で勤めていた超有名日系商社のグループ会社で、「Excelシートの貸方借方で同じ数値が入っているセルを目で探して色付けし非表示にする」というどう考えても目に悪い業務を仰せつかったことがあり、面倒なので条件付き書式を使って終わらせてこそこそネットサーフィンをしていたことがあった。
その会社は就職ランキングでも目にする大企業だったのだけれど、(その他にもいろいろと問題があり)私は耐えきれず9ヶ月で逃げるようにして辞めた。
一部の新しい企業の使用しているイケてるツールの話ではない。
そこら中のWindowsにインストールされている(はずの)Microsoft Officeの話だ。これらを開いて使い方を調べ上達する、たったそれだけのことが遠い。
先進国で企業がITに順応した各国では、従業員がソフトウェアに習熟し業務を変更するという適応のしかたをしたらしく、日本はその逆でアナログ業務に合わせるために各社カスタムのシステムを拵えるという選択をしたケースが多いため、導入効果の低いIT環境が散見される結果になったと最近読んだ本に書いてあった。
前者の最たるアメリカでは、そういった技術革新に順応できなかった層がトランプ大統領を生み出したとも言えるのだけれど。
vlookが使えるか否か。あるいは使う環境にあるか。
これで全く違う日本が見えている可能性がある。
私が想像しているよりずっとずっと多くの人が、すでにこぼれ落ちているのではないか?
そういう「IT社会に対する生きづらさ」のようなものもまた、今のこの国を覆う雲の一部なのではないか?
逆に言えばvlookひとつで、よりよい環境にジャンプできる可能性があるということでもあるのだけれど。
もちろん世の中パソコンでデータを扱うだけが仕事ではないので、生存戦略は他にいくらでもあるだろう。
しかし例えば「派遣社員 事務職」のようなよくある雇用形態での生存を考える上でも、Excelの機能に習熟しておくことは汎用性も換金性も高いものだ(そしてなにより使えないより使える方がずっとずっと仕事は楽なのだ)。
vlookを分水嶺とした分断があるとして、どういう戦略で生きていくか、それはあなた次第だ。
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