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大空家と振り返る2020年のVtuber業界~激動の1年の嵐の中心にいた3人~

 11/27、大空家こと、ホロライブ所属大空スバルにじさんじ所属舞元啓介、無所属しぐれうい、の3人による企画配信が舞元啓介のチャンネルで配信されました。

 今回の企画は「ラジオ」という事でしたが、配信の風景は「ON AIR」の文字と机の上のマイク3本、謎の擬人化ラジカセという要素以外はもう完全に正月のこたつに座る3人にしか私には見えなくて、ちょっと笑ってしまいました。

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どうでしょう?「晴れ着を近所の舞元の家に見せびらかしに来たスバルと、つきそいのういママ、話を聞きながら作務衣の袂からスバルに渡すお年玉を取り出そうとする舞元」とかに見えませんか?

なんというか、こういうカッチリ作りこまない感じのゆるい空気というか、おおらかな雰囲気もまた、久しぶりに大空家っぽいなぁと、個人的には感じたところです。

そして、この配信内容も3人ともに割と和気あいあいとしたテンションで進んだ、実に楽しい内容でした。ラジオとしても、3人の今年の振り返り雑談枠としても非常に聞きごたえのある配信だったと思います。


 とはいえ、この3人が配信で振り返った内容は、本人たちはサラッと語ってますけど内容一つ一つが本当にどれも濃いものでした。

私は3人の話を聞きながら、なんだかんだ今年のVtuber業界の大きな変動は、いつもこの3人の周辺で巻き起こっていたんだなぁ、なんてことをあらためて感じさせられました。


例えば、一番変動が大きかった大空スバルの場合。

なんといっても彼女の所属事務所ホロライブの大躍進と騒動が今年のVtuber業界のメインストリームだったことは疑う余地もないでしょう。

大空家ラジオ内で本人も語っていましたが、豊洲PITでのホロライブ全体の1stライブで始まった2020年で、大空スバルはついに大型案件「日清カレーメシ」スパイスライブでセンターを任されるほどのアイドルになりました。

昨年の今頃は10万人とちょっとだったチャンネル登録者数も、現在はなんと56万人にまで伸びています。

配信内でも語られていましたが、過去に「アイドルになる為にはどうしたらいいと思う?」と周囲に相談していたころの彼女はもういません。

本人にとっても今年はアイドルとして、そして配信者として大きな飛躍をした1年だったと言えるでしょう。

 もっとも、必ずしも全てが順風満帆だったわけではなく、ホロライブのゲーム配信に関する権利許諾騒動などの、界隈を騒がせた大きな嵐などもありましたが、その嵐を乗り越えた主な原動力もまた、大空スバル大神ミオさくらみこなどを中心とした、毎日のように開催される怒涛のメンバー合同企画だったようにに思います。

このアイドル路線バラエティ路線の双方で、八面六臂の活躍を続けている彼女が、ホロライブの躍進を支える大きな力の一つとなっていることは、もはや周知の事実と言っても良いのではないかと思います。

最近でも、現在のホロライブにおける主軸のゲーム配信Minecraftにおいて周囲を唖然とさせる巨大建造物を作るなど、話題性の多さには事欠かない存在になりました。

2年前のMinecraftコラボ配信で、他人が設置した「たいまつ」を、そこら辺に生えてた!!と言って収穫してきていたような彼女からは、想像もつかない成長だなと、しみじみ思います。

来月にはホロライブ全体の2ndライブも控えていますし、今後も色々と彼女の忙しい日々は続くことでしょう。


続いて、舞元啓介の場合。

彼にとっての今年は、にじさんじのメインストリームを自分自身で作るインフルエンサーとして、ひたすら走り続けた1年ではなかったかと思います。

配信内で語られたエピソードと言えば、自身がジョー・力一と2人でやっているラジオ企画「舞元力一」の公開録音や、前回大空家が全員集合した機会にもなった自身の「3Dお披露目配信」、その後3Dで参加した京まふでのイベントなどが語られていましたが。

本人が配信中で「夢がかなった」と最も熱く語っていたことは、プロ野球での自分の推し球団「楽天ゴールデンイーグルス」のユニフォームを着ることが出来たこと、プロ野球の試合の実況解説配信を行えたことでした。

そのイベント時期前後のツイートでも、舞元自身は過去を振り返って感傷に浸るようなツイートを残していましたが。

その時の「2年間やって、やっとVtuberになれたよ」という一言は、今でもちょっとグッとくる印象深いツイートです。

 そして、そのにじさんじと野球というコンテンツを結び付けるきっかけとなったのも、舞元啓介がこの夏主催した、にじさんじでの最高同時接続者数19万人を達成したにじさんじ甲子園でした。

 その他にも、彼が主催した企画、にじさんじ最強雀士決定戦は、にじさんじとこれ以降様々な企画配信をすることになるyostar(雀魂運営)及び広告塔を必要としていた麻雀業界とを強く結びつけるきっかけを作るという点で、彼以外のライバー活動にも大きな影響を及ぼした企画となりました。

彼の今年の活躍は、自分自身の活動と企画主催との両面で周辺に影響を及ぼすすばらしいものだったなと個人的にも思います。

また、チャンネル登録者数も大空スバルと同じ10万人とちょっとだった昨年から25.5万人と、大きくその数字を伸ばしています。

この数字は現在1.3万人いると言われているVtuberのランキングで、大体100位ぐらいの位置です。

ファンタジーでも、際立って美形でも、可愛い女の子でもない、常に作務衣かスーツ姿、たまにマスクマン(?)の農家のおじさんが、100/13,000に入るこのある種、異常な快進撃は今後どうなるのか、そのあたりも非常に興味深いところです。


そして3人目、しぐれういの場合。

彼女に関しては以前個別で記事を書いたので、Vtuberとしての彼女のエピソード等はそちらをご参照頂きたいところではあるのですが。

今回の配信内で語られていたエピソードは、しぐれういが本業のイラストレーターとして手掛けたカードゲーム「WIXOSS」と、ライトノベル「幼なじみが絶対に負けないラブコメ」のアニメ化、そして自身初となる個展の開催についてでした。

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 配信内では主に個展に舞スバの2人から送られたフラワースタンドの話題などが仲の良いエピソードとして語られていましたが、3人が3人とも忙しくてなかなか大空家をやる機会が無かったと語る中で、おそらく最も今年Vtuberとして大きく活動の方向性が二転三転したのは、しぐれういだったのではないかな?と個人的には感じています。

 2019年のしぐれういは、テトリス、マリオカート、雑談お絵かきをする「イラストレーター兼Vtuber」としての配信と、大空家を中心としたホロライブ・にじさんじ関連のコラボが主な活動内容でした。

しかし、2020年の上半期からVtuberとしてのコラボ先は、犬山たまきを筆頭としたクリエイター系のVtuberとのコラボ増加から少しずつ変化していきました。

現在はその流れから、因幡はねる周防パトラ774inc関連、天開司名取さな個人勢Vtuberなどへと大きく広がり、主に相手の配信枠でのゲストとして「イラストレーター兼Vtuber」ではなく「雑談が巧みで話題性があり、ゲームが下手なVtuber」という役割を持つようになりました。

直近では、その「雑談が巧みで話題性があり、ゲームが下手なVtuber」という特殊な特性から、Vtuberの頂点キズナアイとの競演回数も増えています。

 彼女のVtuber活動の変遷は、現在個人で活動中のVtuberの中でも、特に昨年末から今年にかけて増えた、イラストレーター・漫画家等の「絵が自分で書けるクリエイター系のVtuber」が、現在主流の大手企業系Vtuberに対抗する個人勢Vtuberや中規模企業系Vtuber側の主要コラボメンバーとして認識され始めている昨今の情勢をよく表していると思います。

そんな彼女のチャンネル登録者数は現在なんと34.8万人。現在個人Vtuberとして彼女以上の登録者数をもつVtuberは、ほとんどいません。そんな彼女のこれからの活躍がVtuber個人勢にどういう影響を与えていくのかにも、今後は注目していきたいところです。




 先日、大空家と同時期に他企業間コラボ「27とJK」を行っていた、ホロライブ所属夏色まつりと、にじさんじ所属社築が、社築の配信【誕生日】初凸待ち会場【にじさんじ/社築】でおよそ1年ぶりに旧交を温める姿がちょっとした話題になっていました。

それはとても懐かしい光景で、私はその時、その様子を見て少し感傷的な気分になってしまったのですけれど。

そこでは「時間とともに企業同士の方針や、お互いの立ち位置も変わるから、昔からの戦友だけど、今はなかなか一緒に何かをすることは難しくなった」というようなことが語られていました。

それは、当然起こることですし、特に企業勢にとってはある種、個人の力では容易に避けられない事でもあります。

 そんな中、今回の大空家は、所属の違う3人が、すこしずつ違う立ち位置で、情勢の変化が速すぎる現在のVtuber界の中を、別々の方向に懸命に泳ぎながら、それでも大空家という3人の関係性の原点を維持しているという、Vtuberの関係性としては非常に特殊な例だと思います。


今回の配信で3人は、今年は方向性は違うけれどみんないろんな夢がかなった年だったと明るく語っていました。そして来年もいろんなことをしよう、と楽しげに語り合う姿も見ることが出来ました。

私たちはこの光景を、あと何回ぐらい見ることが出来るのでしょう。

出来る事なら、このいつまで続くか誰にも分からない、ゆるい空気とおおらかな雰囲気の楽しげな大空家の和気あいあいとした時間を、次が何カ月先でもいいからまた何度も見たいなと、今回私は一視聴者として思いました。

非常に楽しいコラボ配信でした。


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