Vtuberへの世間の目線はやはり投げ銭の金額に向くのか ～2020年は桐生ココが１億５千万で世界１位、という報道～
1/4のYahoo！ニュースのエンタメトピックスでも紹介されていましたが、KAI－YOU.netの「桐生ココ、総額1億5千万円 2020年のスパチャ世界1位に」という記事が話題になっています。
内容はまさしくタイトルの通りですが、KAI－YOU.net版はYouTubeのデータ集計サイトであるPlayboardのデータに基づいた2020年のスーパーチャットランキングと、2019年のスーパーチャットランキングを掲載するなど記事内容が細かくなっていますので、気になる方はKAI－YOU.netの記事をお勧めしておきます。
なお、一応元データのPlayboardのリンクも張っておきます。韓国語と英語表記しかないのが欠点ですが、こちらはスーパーチャットランキングのデータを300位まで確認できましたので、細かく知りたい方はこちらをご参照ください。
さて、一応ここでリンク先を見ない方の為に簡単に説明しておくと、2020年のスーパーチャットランキングでは、Vtuberだけのランキングでは１位の桐生ココの1.5億円を筆頭に、２位潤羽るしあ1.3億円、３位兎田ぺこら1.2億円、４位宝鐘マリン7,869万円、５位湊あくあ6,832万円、６位天音かなた6,483万円、７位不知火フレア6,134万円、８位戌神ころね5,752万円、９位角巻わため5,596万円と、上位を完全にホロライブが独占。
そして１０位ににじさんじから葛葉が5,413万でランキングにすべりこむといった状況になっています。（当然ですが男性Vtuberの最上位です）
これがYouTuberを含めての総合ランキングでも、８位と９位に5,800万円台のゲーム実況チャンネルが２つ入るだけで過半数がVtuberでホロライブという結果になっています。
また、2019年ランキングも取り上げ、当時は１位が湊あくあの3,342万、２位が葛葉の2,635万だったことから、スーパーチャット１位の金額が約５倍ほどに増加していることにも触れています。
なので、この記事を単純に読んだだけでは、Vtuber文化とスーパーチャット文化が密接にかかわっていて、Vtuberだけが異常に荒稼ぎをしている印象を受けるかもしれません。
しかし、ランキングデータをよく掘り下げてみると、実はそうとばかりは言えないということがわかります。
例えば、2020年の総合ランキングで5,891万円で９位に入った、ゲーム実況系のYouTubeチャンネル「M.S.S Project Channel」は、2019年のランキングでは562万円で５９位でしたから、スーパーチャットの金額はざっと１０倍になっています。
また、2020年の総合ランキングでは、Vtuber以外のチャンネルは上位50位に８チャンネルほどランクインしていますが、2019年の総合ランキングでは、Vtuber以外のチャンネルは上位50位内には、44位に「たいようあめみやチャンネル」１つのみ、という状況だったりしました。
ちなみにその「たいようあめみやチャンネル」も前年比3倍程度に今年はスーパーチャット金額が倍増しています。
つまりこのデータからだと「Vtuberがスーパーチャットで収益を大きく伸ばしていること」は間違いのない事実としてとらえることが出来るのですが「収益を大きく伸ばしているのは別にVtuberに限った話ではない」のです。
KAI－YOU.netの記事でも最後の締めで唐突に「2020年はスーパーチャットが定着した年」と語っていますが、データを見るに「Vtuberだけが異常に荒稼ぎをしている」とみるよりは、「Vtuberやゲーム系配信界隈全体で投げ銭を行うことがより一般的になった」と捉えるほうが状況把握としては正確だと思います。
むしろVtuber以外のチャンネルが投げ銭ランキング上位に食い込み始めている2020年の状況を見るに、投げ銭文化の頂点がVtuberでなくなる日もそう遠い日のことではないのかもしれません。
さて、この投げ銭文化、来年はいったいどういう結果になるでしょうか。
私個人としては、Vtuberが世間的に投げ銭文化の象徴として語られるだけの存在ではなくなって、もっとVtuberの持つ個性的な魅力などに世間が注目してくれるようになっているほうがいいな、と思っていますが……。
投げ銭文化の１位がVtuberであることも、Vtuberの認知度を上げるためには有用なことかもしれない、と考えると、どうなっていくのが望ましい事なのか、今一つ正解がわからないところです。
まあ、儲からないよりは儲かったほうがいい事だけは。間違いないことなのですけれども。
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