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キズナアイは世界を向く ~簡単にKizuna AI 2nd Live “hello, world 2020”のライブ感想を~

 圧倒的な100分間でした。

Kizuna AI 2nd Live “hello, world 2020”は、日本Vtuberのトップランナーとしてのキズナアイを改めて見せつけると共に、そのライブタイトルが表すとおり、これから世界に向けて飛び立つキズナアイと、そのプロジェクトにかかわるスタッフたちの全力が込められた名刺代わりの一撃だった、そんな印象を持ちました。

 何言ってんだ、と思われる方はとりあえず映像をどこでもいいのでテキトーにアーカイブを再生してみてください。

一目でわかるレベルのアバターの質感の良さ破綻の無さ豊富すぎる演出に驚くことになるかと思います。

ちなみにアーカイブは1/26まで見逃し配信として無料公開中です。

 そして内容なのですが、まずライブに、花譜バーチャル中田ヤスタカなどのバーチャルでの豪華な顔ぶれが参加したことも2020年のキズナアイの活動内容を象徴していたように思います。

そして、そんなバーチャルなゲスト以外にも、バックダンサーやバックバンド、DJなど、多くの現実世界の人物と一緒にキズナアイがライブを作り上げて同じ画面内で歌い踊る様子はとても不思議な空間で、本当に100分間ずっと出来の良いMVを見せられているような気分にさせられました。

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また、特筆すべきはやはりライブでの演出面だったでしょう。

正直、何の演出が何種類飛び交ったのか、見ていて全く分かりませんでしたし、もっと正直なことを言えば、私は映像演出ばかりに目が行き過ぎて、何の曲が歌われているか、中盤まではほとんど頭に入ってきませんでした。

 キズナアイ自身が今回のライブのMC内でXRライブと言っているように、ヘッドマウントディスプレイを付けた人に仮想世界を見せるVR(仮想現実)だけでも、デジタルデータを現実世界に登場したように見せるAR(拡張現実)だけでもない、すべてを包括した最先端技術の世界がそこには広がっていました。

 ちなみに私が演出の中で一番印象的だったのは、キズナアイが赤いポリゴンの塊みたいな2つの分身を生み出して一緒に歌い踊る場面でしたが、さすがに後ろにいる妙に主張の強いDJまで3つに分身した時には、もう笑うしかなかったです。

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 なんにしても、Kizuna AI 2nd Live “hello, world 2020”は改めて日本のVtuberの頂点にふさわしい強烈なインパクトのライブだったように思います。

もちろん、12月の機材トラブルからの配信延期、人によっては酔うカメラワーク、一言もしゃべらないので本物かどうかもわからないバーチャル中田ヤスタカ等々、引っかかった点もないわけではないのですが。

Vtuberのライブってここまでできるんだ!ということを証明するという意味でも、これから海外展開に向けて頑張っていくぞ!という姿勢を見せるという意味でも、一定の成功を収めたライブだったのではないかと思います。

特に、ライブ終了後に発表されたいくつかの特報は、キズナアイが2021年の世界展開のターゲットを北米方面へと向けたことが明確にわかる内容ばかりでしたので、今回のライブはそのあいさつ代わりの映像として、十分な成果を残したのではないかと思います。

なお、特報の内容等について知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

私にとっては、面白い面白くないというよりも、何が出てくるのかという興味をずっと刺激され続けた、とても目の離せないライブでした。


 以下は余談ですが、今回のライブは私にとって、「2017~2018年頃の、マニア向けだけではない、一般人にもバーチャル文化を宣伝する存在だった頃のバーチャルYouTuber」を久しぶりに思い出させてくれるライブだったような気がします。

その頃のVtuberは今回のキズナアイのように、一般人には理解できないレベルの技術力と資金力を前面にアピールし、また同時に、非常に強く大手企業の商業宣伝素材という側面を持つタレント的な存在だったなと、今回あらためて再確認した気がします。

自分がこの2年ぐらいの間に「アニメキャラクターよりも距離が近い存在であり、関係性やコラボ、バラエティやアイドル売りを応援することが主軸になりつつある、親しみやすさが魅力の現在のVtuber環境」に、いかに慣れていたのかということに今回気づかされた事には、ちょっとした驚きすらありました。

どっちがいい、悪いということではないのですが、今回のキズナアイが今後行うであろう英語圏への海外展開は、その後者であるリスナーとの距離が近いVtuber文化しか知らない市場ではないかな?と思うので、前者であるキズナアイがその市場でどの程度の成功を収めるのかついてはとても興味があります。

Vtuber業界の時の流れの速さを考えると、「視聴者との距離の近さを果たして資金力と技術力が凌駕するのか否か」、その問いの結果が出るのはそう遠い未来ではないのでしょう。



<1/28 追記>

今回のライブについてザテレビジョン、音楽ナタリーで記事になっていましたので、ご紹介しておきます。

またこのライブおよび後夜祭に関しては、2/1よりU-NEXTでSVOD配信(定額制動画配信)が行われるそうです。見逃した方はご検討されても良いかと思います。



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