【R02 一級建築士製図試験③】3月のこと
なぜランクⅢだったのか。Twitterで募った指摘や担当講師からの総括、ユープラ分析等、諸々の情報収集を行った結果、どうやら外周りの計画、特に車椅子使用者駐車場からの移動等円滑化経路が要因(もちろん他にも細々とある)と思われる。バリアフリーの観点から車椅子使用者の通路幅を確保するため、車幅も含めて6mのヘリアキが必要なところ、私は4mで計画していた。これはTACではどうしても6m確保することがむずかしい時は4mでも構わないと教わっていたからである。
これについては、先に公開された10月試験の標準解答例では車椅子使用者駐車場横の通路幅は十分に確保されていない(R01年度10月試験 標準解答参照)
本番当日、まぁそれでも大丈夫だろうと早々に6m確保することをあきらめてしまった。ただ12月試験はそれぞれの受験生が仕上げてきたのだろう。12月試験の標準解答例では十分に確保されている(R01年度12月試験 標準解答例参照)。
一度立ち止まって考えられなかった自分が悪い。
試験当日の振り返りと採点のポイントとの比較をノートに書き出して、なぜそうなったか、どうして不合格図面を描いたのか、どの時点で判断を間違えたのかを思い返して、当日の自分と向き合った。まとめた自己分析を担当講師に送り、製図は長期に行くべきかを相談し、ここまで分析出来てるなら短期でもよいのではと言われた。この自己分析を持って、R01の図面とその日の自分を供養した。
次に製図の学校をどうするかである。私はこの時点で製図試験を4回経験している。遍歴は下記の通り
この時点で前年に続きTAC一択で考えていた。費用が少なく済むこともあったが、総合資格や昨年の延期の折に参加した延長講座の日建に比べて、学習環境や課題数、復習する時間を加味したカリキュラム、生徒の裁量を踏まえた良い意味での自由さが合っていた。
ただ前年の反省を踏まえ、セカンドオピニオンとしてもう一つの視点が欲しかった。学校や講師から教わったことを判断する上で、自分で調べることはもちろんだが、第三者の視点があった方が良いと考えたからだ。図面表現も各学校で異なる。ただ単に安全側ではなく、どうしてそうなのか、法律や実例をふまえ、AとBとで納得できる方を選びたい。この時点でセカンドオピニオンは決まっていなかったが、最終的には建築資格研究会(後述)とすることとした。
また不合格であった前年と全く同じ環境のままはどうかと思い、学校はTACのまま、通う校舎を変え、井澤講師がいる渋谷校に行くことにした。
作図については学校が始まる7月まで作図スピードを落とさないようにと担当講師に言われていた。とりあえず標準解答例をトレースしてみたが、これが非常に描きにくい。標準解答例はマス目がないため、寸法がわかりにくく、三角スケールで寸法をいちいち確認しなければならなかった。作図スピードの維持と試験元の図面表現確認が目的なので、途中から1/200に拡大した標準解答例の上にマス目の入った薄い紙を重ねて、各階ごと(特に一階)にトレースしていた。
エスキスについては学校がはじまる7月までに確実に2時間以内にしておきたかった。
Twitter等で流れてくる試験関連の情報から、ビリケツくんなる人物を知り、独自の手法によるエスキス時間の短縮に興味が湧き、勉強会に参加した。勉強会はいろんな製図学校の状況や試験の傾向を聞くことができて、有意義だった。また階振り分けのやり方も驚きだった。総合資格でもTACでも部門ごとの面積を合計し、1グリッド(約50㎡)で割って、各フロアで収まるかの検討を電卓をガチガチ叩いて計算していた。しかし、ビリケツ氏は電卓を叩かずに階振り分けを行い、各室を配置していくものであった。
正直、最初はこの方法で収まるのか、疑心暗鬼だった。そんなことをTwitterでつぶやいていたら、それを見た方(Oさん)がいろんな課題といっしょにビリケツドリルを譲ってくれた。それをやりながら、過去問で簡易階フリを試してみた。いくつか試してみて、これなら電卓で部門毎の数値を計算しなくても階フリできると思い、採用することとした。電卓を叩かない分、室の配置検討に時間を使えるのはエスキスの精度向上になると考えた。そして、それをふまえてエスキス手順の整理に着手した。
電卓の話だが、この頃から意識的に電車(←誤記:電卓)を左手で操作するようにしていた。右手のシャーペンを持ち替えずに電卓が叩けて、位置も固定できる。些細なことだが、製図試験はまさに【一秒を削り出せ】という試験である。準備できる時間がたくさんあるうちに習慣として身につけられるように努めた。
こんな感じで3月あたりで不合格図面とは決別し、R02年度の作図やエスキスに向けた準備を始めた。
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