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2020/7/3 小田急線の私、そして隣の赤ちゃん

私の隣に座るお母さんと

お母さんの膝の上に座る赤ちゃん

大きな頭がくるっと回ってこっちを向くたび

ふわっと赤ちゃんのにおいがする

元気な足をパタパタさせる度

小さなつま先がつんつんと私の腰をつつく

そのつま先が愛おしくてまんざらでもなくてマスクの下で笑った

本を読む視界の隅にこっちをじっと見る赤ちゃんが写っている

前髪とマスクの隙間から横目で挨拶

“ハッピーそうだね”

君は大きくなってどんな子になるんだろう

今日も誰かが泣いて傷ついて疲れ切って

この電車の中にいる誰かも多分もう消えたいなとか思ってて

世界は私たちをぶら下げながら壊れたみたいにグラグラと回るけど

君は知らないとこの子だし多分もう会わないけど

君一人で世界もにっこりするんじゃないかって気がするよ

10年後も20年後も、今みたいにキョロキョロ、ニコニコしててよ

幸せになってね

走る電車と回る世界が起こす風にかき消されないよう

隣で小さく願った

プシューっと音がして後ろ髪を引かれながら立ち上がり

電車を降りて一瞬振り返った私を

赤ちゃんも振り返ってじっと見てた

その目を一生忘れたくない

忘れないよ

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