海渡る山羊

山羊は海を渡り、迷子となった。知れば知るほど、世界は広く、暗く、おもしろい。迷子なりに…

海渡る山羊

山羊は海を渡り、迷子となった。知れば知るほど、世界は広く、暗く、おもしろい。迷子なりに見聞を広め、文字を食み、足跡を残したい。

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雨粒ボーロと、一年生

いつものように仕事帰りに立ち寄った下北。 駅から出ると雨が降っていた。 一瞬ためらったが、私は在宅ワークに備えて菓子を買わねばならない。 意を決して外へ飛び出す。 買い物を終えて外に出ても雨はやむどころか、激しさを増すばかり。 雷まで鳴り出す始末。 通り雨なんて久しぶり。情緒ある…けどさ。 「折角早く仕事上がったんだけどな」 「ビニール傘を買うのもったいないしな」 「生理中だから体冷やしたくないな」 「カフェで雨宿りしようかな」 私の頭はこの突然の面倒事をどう

    • 街と会話する −LA近くの街で見つけた、私の写真の楽しみ方−

      アメリカ・カリフォルニア州で社会人1年目を、東京で2年目を迎えた私がこの2年間続けている大好きなこと―それは、街の風景を撮ること。 信号待ちの交差点。向かい側のホーム。道端の落とし物。街中でただ足を止め、そういったものをカメラに納めることが好きです。 ただの趣味と言われればそうなのかもしれないけど。街の写真を撮ることは私にとって、街での忙しない暮らしと殺伐とした気持ち、孤独、そんなものにもう一対の目を通して向き合い、街と仲良くなるための方法なのです。 毎日同じところで働い

      • 2020/7/3 小田急線の私、そして隣の赤ちゃん

        私の隣に座るお母さんと お母さんの膝の上に座る赤ちゃん 大きな頭がくるっと回ってこっちを向くたび ふわっと赤ちゃんのにおいがする 元気な足をパタパタさせる度 小さなつま先がつんつんと私の腰をつつく そのつま先が愛おしくてまんざらでもなくてマスクの下で笑った 本を読む視界の隅にこっちをじっと見る赤ちゃんが写っている 前髪とマスクの隙間から横目で挨拶 “ハッピーそうだね” 君は大きくなってどんな子になるんだろう 今日も誰かが泣いて傷ついて疲れ切って この電

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        1本
      • エッセー的なもの
        2本