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077_忘れられないデート~part.3~

3月24日(火)
16時5分

待ち合わせの時間は、
16時だった。

ちょっと遅れてるのかな。
最初はそんな軽い気持ちだった。
「今、どのあたり?」
彼女にLINEした。

LINEが既読にならない。

こっちに向かってる途中かな。
歩いてるから、
既読にならないのかな。
まだ、そんな思いだった。


5分後、
彼女に電話をしてみた。
けど、電話も出ない。

そんな時、ボクの脳裏に、
あの日のことが浮かんできた。

前にも一度、
こんなことがあったな。
ボクは寒気がするような思いになった。

あの日は、
彼女が実家にいるときで、
親に止められて、
4時間もボクを待たせた。

今日も実家にいるはず。
あのときと同じ。

イヤな思いを払拭して、
「また実家から出れないとか?」
ボクはLINEを送った。

けど、
既読にはならなかった。


それから、
ボクは、
彼女に、

16時半、
17時半、
18時半、

と、
1時間ごとに電話をした。


けど、
コールが虚しく響くだけだった。



彼女からの最後の連絡は、
お昼12時頃だった。

親に止められていたとしても、
ケンカしていたとしても、
長すぎるよな。


考えても無駄とわかっていながら、
ボクは、
色々な想像をしていた。


既に、
今日のプランは崩壊していて、
お店やホテルに、
キャンセルの電話を入れた。

このキャンセルの電話もつらかった。

彼女に会えないことや、
プランが崩れたことを、
再認識にしなければいけないから。


21時半、
もう一度、
コールしてみる。

22時10分
「待ってたけど、帰るわ」


この日、
ボクは、
彼女を、
6時間、
待ち続けていた。


お昼のLINEから、
突然、連絡が途絶え、
ボクは、
もう訳が分からず、
どうしたらよいかわからず、
この日、どうやって家に帰ったか、
覚えていない。


ただ、
ボクの心に、
大きな穴が、
ポッカリ
あいた気がした。