078_見当たらないキミの存在
3月25日(水)
彼女から連絡はない。
ボクが送ったLINEは未読のまま。
ボクは、
怒りや虚しさを通り越して、
彼女が心配になった。
もしかして、
彼女になんかあったのかな。
けど、
彼女に連絡する手段は、
LINEだけ。
彼女の自宅も実家も、
住所なんて知らない。
あとは、お店か。
この日のボクは、
全く仕事が手につかなかった。
一人に女の子に、
こんなに振り回されるなんて。
思いもよらなかった。
彼女に出会わなければ、
こんな思いをすることもなかった。
彼女を好きにならなければ、
こんなに苦しまなくてもよかった。
けど、
彼女を出会ってしまい、
好きになってしまった。
結局、
21時過ぎまで会社にいて、
その足でお店に向かった。
途中の交差点が、
赤信号になり、
ボクは、
信号を待つ間、
少し考えてしまった。
お店に電話して、
いるかいないか聞くか。
理由はわからないけど、
ボクから離れたいって、
思って、ボーイにいないって、
言って、とかあるかもしれないし。
ボクは、そんなことを考えて、
青信号に変わった交差点で、
お店に電話した。
「あ、今日さやかさんって来てます?」
「今日はお休みですねー」
明るいボーイの声。
ボクは、電話を切って、
来た道を引き返すことにした。
彼女に、電話してみた。
取るはずもないとわかっていたけど。
コールが虚しく響くだけだった。
そして、LINEも既読にならない。
ねぇ、さやかに、何があったの?
ボクは、
空いた心の中で、
ポツリと聞いていた。