(経営戦略1-1)経営戦略の概略

企業が環境変化に適応し、長期的に運営していくのに必要な考え方をまとめたものを「経営戦略」といいます。複数回にわたり、この経営戦略について基本的な考え方と施策について説明していきます。


企業の目指す姿

企業は従業員や株主、国や地域社会など関係者(ステークホルダー)に対して、メリット(誘因:賃金、配当、製品、サービスなど)を提供することで、将来にわたり事業を継続すること(ゴーイングコンサーン)を想定しています。優良企業と言われるには収益性が優れ成長が見込めて経営が安定している必要があります。その為には他社にはない価値(誘因)をステークホルダーに提供し、必要とされる企業になれるかが最大のポイントとなります。

<端的にいうと、必要と思われる会社になるように、しっかり儲けて、会社も大きくして、つぶれないようにやっていこう!ということ>

企業の心構えをつくる

企業は人の集まりであり、心を一つにして協力して事業活動を進めていくには、企業が何のために存在しているのか(経営理念)、どのようになりたいのか(ビジョン)を明確にする必要があります。
経営理念:企業の存在意義や最も上位にある目的を示したものです。この経営理念を土台としてビジョンや経営戦略を考えていくことになります。
ビジョン:企業がどのように発展したいかイメージを伝えるものです。ステークホルダーに対しどのような存在になっていたいかや、現実味がある大きな夢が明示され、社会的な意味が伝わると良いビジョンと言えます。
上記の「経営理念」と「ビジョン」ができたら、いよいよ経営戦略の策定に移りますが、経営戦略はこの「経営理念」や「ビジョン」と一貫性があることが望ましいです。
<端的にいうと、「会社は何のためにつくったのか」と、「将来こんな感じになるよ」と示しましょう!ということ>

経営戦略とは

経営史学者のADチャンドラーは経営戦略は「一企業体の基本的な長期的目的を設定し、これらの諸目的を遂行するために必要な行動様式を採択し、諸資源を割り当てること」と定義している。
少し難しいですが、経営戦略に必要なこと(要件)は以下の6つあるといわれています。

  1. 主体性(主体的に動いて目標達成を目指す!)

  2. 総合性・大局性(企業の全体の最適化を考よう!)

  3. 外部志向(競合他社や市場・顧客をよく見よう!)

  4. 長期志向(5~10年先のことを考えよう!)

  5. 未来志向(過去の分析以上に未来への行動を重視しよう!)

  6. 変革志向・独創性(根本的に変えることも考えよう!新しい動きもしよう!)

端的にいうと、必要と思ってもらえる会社になるために、周りをよく観察して、でっかい作戦を立てて、働こう!ということ>

補足:「戦略」と「戦術」

また「戦略」と「戦術」の違いがよく書かれていますが、「戦略」は大局的な戦争運営の方針や策略、「戦術」は短期的・局地的な戦いに勝つための方策のことです。
例としてビジネスで考えてみます。低価格を売りにするのか、ブランド化して高付加価を売りにするのかを考えるのが「戦略」で、いざ低価格を売りにすると決めた後に、どうやってコストを下げるのかを考えるのが「戦術」となります。

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