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2024 第27節 福島ユナイテッドFC×ヴァンラーレ八戸


第1部:シューゲイザーの夢 日本のグラスゴーへ

※戦術分析は2部からです。

Intro

9月6日金曜日。この日、福島ユナイテッドFCは「日本のグラスゴー」こと八戸の地を踏んだ。グラスゴー?そう、曇が多いことから、いつしかそう呼ばれるようになったとか。音楽とサッカーの街なのだ。グラスゴー出身といえばトラヴィス、プライマル・スクリーム、ベル&セバスチャン、ティーンエイジ・ファンクラブ、モグワイ。そして、セルティックとレンジャーズ。そして、八戸はかつてこの街が生んだスーパーカーの革新的なサウンドが、今も耳の奥底で鳴り響いている。彼らの音楽は、この街の海の匂いと共に、僕の青春の記憶に深く刻み込まれている。

Verse

プライフーズスタジアム。ピッチの向こうに太平洋が広がる。しかし、選手たちの目は海ではなく、足元の芝生に釘付けだ。芝生が至る所で剥げている。これは福島ユナイテッドにとって不利な条件だ。ボールをつなぐサッカーを得意とする彼らにとって、この荒れた芝は大きな障害となる。

平日の昼下がり。アウェイの洗礼を受ける。スタンドには小中学生の姿が目立つ。彼らの声援が、ホームチームの背中を押す。福島ユナイテッドの選手たちがピッチに立つ。表情は引き締まっている。前節のホームでの勝利。その余韻はまだ残っているはずだ。しかし、今日は違う。アウェイなのだ。

Chorus

試合が始まる。福島はいつものようにキーパーも参加しビルドアップを試みる。しかし、思うようにボールが転がらない。剥げた芝がボールの進路を狂わせる。

後半に入っても一進一退の展開がつづく。そして、運命の瞬間が訪れる。

清水選手のシュート。剥げた芝でボールがイレギュラーバウンド。再三、好セーブを見せていたキーパー大西選手が弾いたところを、清水が押し込んだ。決して美しいゴールではなかった。しかし、ボールはゴールネットを揺らした。

1-0。勝ち点3を手にしただけではない。アウェイの地で、厳しい環境の中で、彼らは勝利をもぎ取った。どちらに転んでもおかしくないゲームだった。本当に”Lucky”だった。

第2部:戦術分析

1. 初期配置

この試合では、福島ユナイテッドFCが4-3-3、ヴァンラーレ八戸が3-1-4-2。福島は出場停止明けの上畑選手が復帰し、トップに矢島選手を起用しています。

初期配置


2. 八戸のプレス構造

八戸は2トップを使った効果的なプレスを展開しました。このプレスの主な特徴は以下の通りです:

  • 2トップが福島のピボーテ(上畑選手)を背中で消しながら、センターバック(CB)にプレスをかける

  • 八戸の中盤選手が福島のインサイドハーフ(IH)である大関選手と針谷選手をマーク

  • 八戸のウイングバックが福島のサイドバックをマーク


八戸のプレス。

3. 福島のビルドアップの困難さ

この八戸のプレス構造により、福島は以下の問題に直面しました:

  • ピボーテ(上畑選手)に直接ボールが入らない

  • インサイドハーフ(大関選手、針谷選手)にもボールが入りづらい

  • 中盤の選手がボールを受けても、八戸のピボーテの存在によりバイタルエリアが空かない

通常の4-4-2フォーメーションに対しては、トップ下やレフトウィング(森選手)がバイタルエリアに入り込むことで攻撃の起点を作ることができますが、八戸の3-1-4-2システムに対してはこの戦術が通用しませんでした。

4. 福島の対応策:ロングフィードの採用

福島は途中から、トップの矢島選手にロングフィードを蹴るという戦術に切り替えました。この戦術変更には以下の利点がありました:

  • 福島の3トップと八戸の3バックが数的同数となり、競り合いの可能性が高まる

  • 八戸の強固なプレスを回避し、直接的に前線でのチャンスを作る

この戦術変更は、与えられた状況下で理にかなった選択だったと言えるでしょう。

5. 福島の課題:ビルドアップの不安定さ

福島のプレーを分析すると、以下のような特徴が見られました:

  • 低い位置では、ゴールキーパーと2センターバックの3枚で、八戸の2トップに対して数的優位を作れている

  • しかし、高い位置でのビルドアップでは数的同数となり、不安定な場面が見られた

この問題は、現代サッカーにおける重要なテーマの一つである「ビルドアップの安定性」に関わっています。

6. 日本代表に見る3バックシステムの有効性

ここで、最近の日本代表の戦術を参考にしてみましょう。日本代表は3バックシステムを採用しており、これが好調の要因の一つとなっています。

例えば、先日の中国戦では、4-4-2の相手に対して3バックを使用しました。この戦術の利点は以下の通りです:

  • ・DFラインでの数的優位を作りやすい

  • ・サイドセンターバック(板倉選手、町田選手)が持ち運べることで、容易に相手の1stラインを突破できる

まとめ

福島ユナイテッドは、この試合で直面した課題を糧に、より柔軟で効果的な戦術を模索する必要があります。3枚ビルドアップの導入や、選手の個性を活かしたフォーメーションの採用を検討することで、チームの競争力を高めることができるでしょう。
次節のガイナーレ鳥取は中盤フラットの3-4-3。1トップ、2シャドーで福島センターバックとピボーテをマークしてくることが予想されます。3-1-4-2よりはバイタルは空きやすい。ピボーテ不在を利用した中盤での数的優位の確保し3連勝を期待します。

今後も福島ユナイテッドを応援しています。スキ!、フォローよろしくお願いします。

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