ラストマイル 本編感想
やっと本編の感想を書いてみようと思う。
今日3マイル目を見た。
ずっと冒頭の梨本孔(岡田将生)が見ていたロッカーの場面(あれはいつのだろう?)と思ってたんだけど、3回目にしてやっとわかった。
孔が前任者から「このメモ書き(2.7m/s→0)は絶対消してはいけない」と言われた日だったのだ。
なんでわかったかというと、言い渡された日と洋服が同じだったのである。
3回目ともなると細かいところまでよく見えるものだ。
物語を振り返るとともに、全体の感想を書いてみます。
<物語>
舟渡エレナ(満島ひかり)は深紅のコートを羽織りバーキンを持ち新たな職場=デイリーファースト(通称デリファス)の巨大物流倉庫西武蔵野ロジスティクスセンターへとやってきた。
そこの新たなセンター長に任命されたのだ。
待っていたのはチームマネージャーの梨本孔(岡田将生)
明日から始まるブラックフライデーの為に倉庫にはいつも以上のアルバイトがひしめき合っている。
24時間休むことなく動き続ける物流センター。
そこで働く人々、そしてその膨大な荷物を届ける人々、さまざまな働く人を巻き込んだある事件が動き出そうとしていた。
とあるアパートにデリファスの荷物がいつものように届けられる。
大手配送会社羊急便の配達員が手渡した直後、その部屋が爆発する。
警察はデリファスの荷物の中に爆発物があったとし、西武蔵野ロジスティクスセンターにやってきた。
エレナは「ここで爆発物をいれるのは不可能だ!」と突っぱねるが、爆発したのはデリファスが発売したばかりのデリフォンだった。
稼働率が10%下がると1億の損失を生む。ベルトコンベアーを止めるわけには絶対にいかない。
警察が事情を聞いている間にまた別の場所で宅配荷物の爆破事件が起こり一旦刑事たちは現場へと向かっていった。
エレナと孔はとりあえず出荷前のデリフォンの安全確認をし、通常業務へと戻っていた。
しかし爆破事件はその後も立て続けにおき、すべての荷物は西武蔵野ロジスティクスセンターから配送され、羊急便が配達したものだった。
エレナは羊急便が疑わしいといい、配送センターで爆発物が入れられたとはまったく思っていない様子を孔に見せていたが、それが本音かどうかはわからなかった。
公にはされていないものの、デリファスの荷物に爆弾が仕掛けられているため倉庫内の商品をすべて調べると警察から捜査令状がだされ配送を止めろと言われるエレナ。
窮地に立たされたエレナは必死で頭を巡らせる。なんとしてでも止めるわけにはいかないのだ。
そして現状をデリファスジャパンのトップの本部長五十嵐(ディーン・フジオカ)に伝える。警察に一つ一つの荷物を調べてもらい、検品が終わったものから順次配送する手筈を整えたことを聞いた五十嵐はあまりのエレナの機転の良さに驚きを隠せなかった。
一方羊急便の八木(阿部サダヲ)はエレナから次から次へと難題を持ち込まれ、必死で対応するが、配達は遅れ苦情の電話が鳴り止まず上司からはなんとかしろと言われるばかりで四苦八苦していた。
そんな中、もっとも優先して配送しなければならないメディカル便が大量の荷物に紛れこみ配達されていない事態が起きる。
エレナ達は必死でその対応におわれていた。
エレナは就任直後から会社に泊まり込むことに。
ふと目についたブラックフライデーのネット広告をみて違和感を覚える。
よく見るとDARYFASTではなくDARYFAUSTとなっていたのだ。
急いで孔にこの広告はうちの会社がだしたものか問い合わさせて、広告内の「#あなたが欲しいものは」を検索してみる。
するとそこには「1ダースの爆弾」と書かれている広告がでてきた。
「これは・・・」と絶句する孔。
慌てて警察に連絡しようとする孔を必死で止めるエレナ。
「今このことが公になれば、株式の暴落が見えている。せめてアメリカ市場が閉まる朝6時までは絶対に公表させれらない!!」というエレナに孔は何も言えなかった。
その夜エレナは一人の辞めた社員山崎佑(中村倫也)の記録をひっそりと削除していた。
6時になり、警察に広告の件を報告したエレナ。
その報告により山崎佑が浮かびあがる。
山崎の家に捜査にきた4機捜の伊吹(綾野剛)と志摩(星野源)だが、人が住んでいる気配はなかった。しかし伊吹はいつもの野生の勘で「女性のいる気配」を感じ取る。そして署に戻り報告すると山崎のマンションに出入りする住民ではない女性の姿があった。顔は隠れているが髪が肩までの長さの女性はエレナの風貌とよく似ていた。
山崎の行方とその女性の行方を探す警察はエレナたちのところにもやってきた。
山崎が元社員だったことは部屋の捜査ででてきた名刺で明らかだったが、社員名簿には山崎の名前はなかった。
そして、女性の写真も見せられた孔は見覚えはないといい、エレナももちろん知らないと答える。
しかしその後五十嵐からエレナは福岡から配属されておらず前の経歴がわからない。気をつけろ。と言われ不信感を募らせる。
そして、エレナが山崎の記録を消した事実を突き止め、山崎の彼女はエレナではないか?と問い詰めた。
エレナは相変わらずな態度でゲームでもしようと倉庫から取り寄せたゲームを開けようとした瞬間
「カチっ」
と明らかになにかのスイッチのような音に敏感に反応する。
エレナが犯人だと信じ込んだ孔が「警察を呼びますよ」というとカバンからIDを出すようにいい、自分はアメリカ本社からきて犯人ではないことを証明する。
そして開けかけた箱をそのまま抑えながら震えた声で「これ絶対爆弾。警察呼んでっ!」と孔に必死で訴えた。
爆弾処理班がくるまでの間、エレナはこれまでのことを孔に話す
犯人と思われる女性にアメリカで会ったこと。その時山崎が配送センターで働いていたとき過労で様子がおかしくなっていき、ブラックフラデーが怖いと言っていた次の日にあの事故が起こったこと(センターの上部から中央のベルトコンベアーに向けて飛び降り、現在植物状態となっていること)を聞き女性に「会社に責任はなかったのか?アメリカ本社でなら話が聞いてもらえるとおもってやってきた」と話されたことなど一気に話した。
そして、自分も山崎と同じような状態となり、会社を休職していて、ようやく復帰したのがここのセンター長だったと。失敗をするわけにはいかなかったのに…とため息混じりで震える手が限界にちかづいていた。
その時ようやく爆弾処理班がやってきてなんとか爆発は防ぐことができた。
一方警察も山崎が5年前から植物状態であり事件を起こすことは不可能だったことから犯人は写真の女性だと突き止め、爆弾を作った共犯者まではたどり着いていた。
しかし肝心の女性が誰かがまだわからなかった。
死ぬかもしれないという緊張感から開放されたエレナと孔は改めて考えていた。
どうやって爆弾を商品に入れたのか?
そしてその仕組みを考え、それができるのはここの仕事を把握している人物であり2000人を超える派遣スタッフだと漸くその一人にたどり着く。
その人物の名は 筧まりか(仁村紗和)だった。
そのころ最初の爆発事件で唯一の死亡者の解剖がUDIラボで行われていた。
解剖をしていた三澄ミコト(石原さとみ)は違和感に気づく。
亡くなっているのは47歳の男性の筈なのに、調べると40歳に満たない若い人にしかないものがある。
この人物はだれ?
となっていた。
そして筧まりかの歯型と一致したことから、この人物が容疑者の筧まりかだと判明した。
筧まりかが仕込んだ爆弾は全部で12個。
仕込まれた商品が明らかになったが、仕掛けられている爆弾の性質から日にちが経ってしまった今、箱を開けなくても衝撃が加わることで爆発する可能性がでてきていた。
とにかく一刻も早く見つけ出す必要がある。必死で荷物を見つけようとあせるエレナたち。
配送センターに送られている荷物の中にも紛れ込んでいる可能性があるためそのことを電話で伝えるものの、八木はすでに疲労困憊でもう何もできない状態になっていた。
八木に直接自分で探せと言われたエレナは羊急便の配送センターに出向いてきた。
初めて顔を合わせる八木とエレナ。
現場はもういっぱいいっぱいでどうしようもできない。
そんな時にある配送センターで荷物が落ちて爆発してしまう。
お客様へ届ける最後の場所。ラストマイル。そこが壊れかけようとしているのを目の当たりにしたエレナはあることを決断する。
人が落ちても止まることがなかったデリファスの倉庫のベルトコンベアーが止まっていた。
エレナは五十嵐の元へいき、事の顛末を伝える。
羊急便の配達員がストライキを起こし、配送ができないので倉庫を止めたこと。
こちらの事情なので派遣には違約金を払う必要があること。
羊急便本社より今回の損害賠償を請求されており、合わせて運賃の改正の交渉がきている旨を伝えた。
全て手筈したのはエレナだと即座に理解し「俺を脅すのか?」
という五十嵐に対して言ったエレナの言葉
「上のものが下の人間を脅すんです。下の人間は交渉するしかないんです」
力なく横たわる五十嵐にたいしてエレナが続ける
「私は5年前からの使者。あの時(山崎が飛び降りた時)だれもなにもしなかった。だから今がある。」
そう、あの時に何かしら動いていれば、この悲しい事件は防げたかもしれない。
利益追求の影に一体何人の人間が壊されてきたのだろうか。
羊急便の要望を聞き、無事配送がはじまり西武蔵野ロジスティクスセンターのベルトコンベアーが動き出した。
発見された爆弾は全部で11こ。
これで本当に全部なんだろうか?
エレナはじっと考えて、気づく。
最初の爆発は筧まりかが爆弾を仕込むことができないデリフォンだった。
不具合のある爆弾を自分で使ったとしたら爆弾は全部で12こある。
そう、まだ見つかっていない爆弾が1つ残っていたのだ。
しかし倉庫内にはもうない。
あるとしたら…配達されてまだ開封されてないものだ!!
慌てて関係各所へ連絡し、配達先を突き止めた。
それは幼い姉妹が母の誕生日祝いに内緒で頼んでいたぬいぐるみ。
ずっと不在票を見落としていて、まだ宅配ロッカーの中にあったのだ。
配達した佐野親子(火野正平・宇野祥平)が「あの小さい子のいる家だ!」と気付き家まで急いで押しかけると、ちょうど宅配ボックスから部屋に持ち帰ったところだった。
慌てて家に押し入り、間一髪で爆発を防ぐことができた。
無事事件も解決し、エレナは今回の責任をとり解雇されることになった。
「次のセンター長は孔。あなたの番よ」とあのロッカーの鍵を渡された孔。
2.7m/s→0
↑
70kg
これは山崎が死のダイブをする前に書き残したメッセージ。秒速2.7mとはベルトコンベアーの速度。ベルトコンベアーの耐重量は70kg。ベルトコンベアーに自分が落ちれば止めることができるという意味であり、山崎が過労で追い詰められていた証拠でもある。
その事がわかっていたから代々のマネージャーは「これは絶対に消してはいけない」といい続けてきたのだろうう。
センター長としてあのメッセージを見る孔の顔は、最初にみた顔とはまるで別人の様だった。
終
端々で心に残るセリフがありましたが、やっぱりエレナが五十嵐に向かっていった
「(山崎やまりかが助けを求めた時に)だれも何も動かなかった。だから今がある」という言葉が突き刺さりました。
このままではいけないと頭でわかっていても、何もしなければそれに加担したのと同じであり、それはまさに今この日本の現状のことを言われている気がしました。
力のない者でも声を上げて交渉する。
それができにくい社会はやっぱりおかしいし、めんどくさいといって何もしなければ何も変わらない。
どんなに真面目にがんばってもやっぱり自分たちの権利はちゃんと主張するべきだし、それが認められる社会でなければならない。
そして一人一人の労働者の権利を守るのも雇う側の責任でもあるということ。
そんな当たり前のことがきちんと守られる社会にしていくのは私達一人一人なんだと改めて思わされました。
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