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王国の涙

 初夏。いつもは5月の頭には半袖で扇風機を浴びていた気がするのだが、今年はやけに肌寒い日が続いている。涼しい事に越したことはないが、もし突然茹だる暑さに襲われたら対応出来るか微妙なところだ。
 いい加減にして欲しいくらいつめつめの履修登録に吐きそうになりながら、さらに自分を締め付けるのかと漢検2級の勉強を始めている。おもしろいくらい勉強時間が無い。気付いたら広大な大地を走り回っている。空から落ちてきた不思議な形の岩に乗り、時間を巻き戻して大空へ登っていく。そのさらに上にも空島が浮かんでいる。世界を貫くようにダイビングをして、また広大な大地に戻ってくる。

 私の生活は今、ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダムに侵されている。

 事の発端は去年の3月、ゲーム実況者のキヨさんが前作であるゼルダの伝説ブレスオブザワイルドの実況を始めた。私はそれが初めての「ゼルダの伝説」だった。名前だけ知っているゲームシリーズ。これについては過去に「野生の息吹」という題名でnoteに書いているのでそちらを読んで欲しい。とにかく初めての『ゼルダの伝説』に感動したのだ。そして初めてゲーム実況で見たゲームを自分で買ってプレイしたものになった。
 8月頃に約5ヶ月続いたキヨさんのブレスオブザワイルドの実況は終了したのだが、私の「ゼルダの伝説」への探求心は止まらなかった。「スカイウォードソード」「時のオカリナ」「風のタクト」「トワイライトプリンセス」「神々のトライフォース」「ゼルダの伝説」「リンクの冒険」...過去作品全てのゲーム実況を探し出して拝見した(本当は大人買いして全作やりたい。でもリンクの冒険はクリア出来る気がしない)。とにかく私にとって2022年は「ゼルダの伝説」に没頭した一年であった。小ネタ動画とか考察動画とかありとあらゆるものを見て、自分なりにも見解を考えたりと、大学で歴史学を専攻しているのに日本史でも西洋史でもなくハイラル史に夢中になっていた。
 そんな調子で迎えた「ティアーズオブザキングダム」の発売日。その日までカウントダウンしていた。ゼルダの伝説関連でチャンネル登録していた方々を全員登録解除して、Twitterのミュートワードにして、公式Twitterをブロックしてまでしてネタバレを防止。青沼さんのプレイ動画も未だに見ていない。そのくらい徹底していたが、我慢できずに見た最後のトレーラー映像では、「しかし、そなたは一人では無い」という誰かの声と共に流れるシドと共闘するリンクの姿に電車内で見たのだが涙が出てしまった。 テレビ画面に映るソフト、「The Legend of Zelda」の文字。あぁ、始まる。新たな冒険が。


 2022年5月、苦手なアクションゲームだというのに手を出した。ストーリーなんてひとつも知らない名前だけ知っているゲーム。
 2023年5月、あの時の私とは違い、膨大な量のゼルダの伝説の知識を蓄えて挑む冒険は、キャラクターの名前、地名、音、声、言葉、時の流れ...その細かなひとつひとつが私の心を震わせた。点と点が線になっていく。そう、これを味わいたかったんだ。心からそう思った。

 まだまだ冒険は序盤も序盤。知恵と勇気と力を振り絞ってこのハイラルを、ゼルダを救いたい。


 課題とか、テストとか。暇な時に、息抜きに起動するといつの間にか何時間も遊んでいる。このままでは成績に響くのでほどほどにしたいところだ。課題...MAXめんどくせぇ...

 かれこれ3年お笑いを好きなのだが、ゼルダの伝説も1年熱が冷めないままだ。趣味無し暗黒時代があったとは思えないくらい毎日が彩られている。任天堂には下げた頭が上がらない。ちなみに発売日の一週間後にフジテレビで放送されたTHE SECONDの余韻も残っている。感想を書こうと思ったのだがなかなか言葉にならなくて諦めた。とにかく最高だった。私は今世界一ココロが充実している気がする。

 ゼルダの伝説ティアーズオブザキングダム。初めての人はもちろんだが、ブレスオブザワイルド、時のオカリナをプレイした人には是非プレイして欲しい。そんな作品だ。




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