未知の世界を知るということ るみ的ソシオロジー@パキスタン

民族のすれ違いとか、結婚とか。教科書に載ってない文化の違いのはなし

私にはパキスタン人の友達がいる。
国籍はしっかりパキスタンだけど、親の仕事の関係で日本に移住してきて、しばらくはここにいるらしい。

彼女たちは私にとって初めてのムスリムの友達だった。
初対面の時はヒジャブを被っていたし、豚肉は絶対に食べない。2人とも私とは全く違った文化圏の中で生活している。

何度かお家に呼んでいただく機会があって、お母さんお手製の美味しいパキスタン料理をご馳走になったり実家の写真を見せてもらったりして、私にとって本当に未知すぎたパキスタンについても、少しずつ知識が増えていって、身近なものになっていった気がした。


6月の初週に、イスラム教徒にとって大切なお祭り「イード」があった。

ラマダン(断食)の終わりを祝う行事で、彼女たちの開くホームパーティに招待されて私も参加してきた。

彼女たちは学校に通っていないので、2人が普段何をしてるかとか、日本の大学ってどんな感じなの?とか、他愛もない内容で話は結構盛り上がる。


2人とも日本語はあまり得意でないから、テレビはいつも携帯から飛ばしたYouTubeの動画が流れている。


動画はいつも英語以外の知らない言語。私はもう画から察するしかない(笑)

これは何の番組なの?って聞いたら『インドのドラマよ』と返ってきた。


正直、パキスタン人の彼女たちが好んでインドのドラマを見ていることが少し意外だった。


私の中のパキスタンとインドの関係は、世界史の教科書に載っていた「インド・パキスタンの分離独立」とか「カシミール問題」で止まっていたから。パキスタンの人はみんな、インドのことはあまり良く思っていないのだろうと思い込んでいた。



少し詳しく聞いたら、表記は違うけれど、ヒンディー語(インドの言語)もウルドゥー語(パキスタンの言語)も発音はほとんど同じらしい。

声に出せば同じ言語なのに、文字に書きだすと全然違う言語に見える。世界にはこんなにも「民族と民族の複雑な背景を詰め込んだような」コトバがあったんだ、と思った。

言語のようにトラディショナルな文化的側面はなかなか変わらないし、変わるべきだとも思わない。


だけどこうやって、数十年前にはなかったテレビが当たり前になって、スマートフォンが現れて、世界がどんどん繋がれていく、その過程で今までにあったわだかまりが少しでも解かれていくのなら、それは私たち若者の役目なんだろうと思う。

世界はずっと狭くなった。国を出るのもとても簡単になったし、国を出なくとも外国を知ることはできる。

偏見なく「ただ面白いから、ただ好きだから」そんなライトな気持ちで異文化を受け入れられるのは私たちの世代の特権だ。

まだ、2つの国のことについて深くは知らないけれど、パキスタンとインドが少しずつでも隣国として寄り添っていけるようになったら素敵だなと思う。


ふと、「来月、パキスタンに1カ月くらい帰るの」と言われた。
「バケーション?」?と聞き返すと

「私の結婚式よ」

と。彼女はまだ18歳。驚いたけど、結婚年齢がだいぶ早い国もあるからなぁと思った。
でも、彼女はしばらく日本にいたはずなのに向こうでずっと待ってくれているボーイフレンドがいるのかな?と不思議に思って「旦那さんとはどうやって出会ったの?」と聞いた。



「旦那さんは両親が決めたの、従兄弟のお兄さんよ!」



一瞬、言葉が出なかった。彼女は当たり前のようにそう教えてくれたし、私だって、ある一定の地域、特にムスリム圏では家財の流出を防ぐために「近親婚」が行われていることを知らなかったわけではない。


でも、それでも、まさかこんなに身近に存在していたなんて、思いもしなかった。

彼女は自分の結婚に対しての悲痛な思いなんて漏らすことなく「ドレスをたくさん着られるのが本当に楽しみ」とまさにアラジンの映画に出てきそうな衣装をいくつも見せてくれた。


実際、あの場にはお母さんもいたし、彼女が本当のところ自分の結婚に対してどう考えているのかは分からない。

パキスタンで大学を出て、女医になる友達のことも紹介してくれたし、彼女の送っている人生がパキスタン人女性のマジョリティルートなのかも分からない。

だけど、今、ここに18歳で、親の決めた従兄弟を相手に結婚式を控えた彼女がいるのだ。教科書には載っていない、一人のパキスタンの少女の人生がここにある。

近親婚は科学的に遺伝に良くない影響を与える、と証明されている。
それでも、世界には科学的事実を超越する「文化的習慣」を大切にしている人たちもいる。



わたしは、異文化って、単純に口出ししちゃいけないと思う。

どんな違いでも、いったん受け入れてみることが大切だと思っているから。

今回のことはたくさん考えさせらることがあったし、色々調べて、いままで知らなかった社会問題も知ることになった。



教科書に載っていない事実は、素敵だな、と思うこともあれば、深く考えさせられることもある。


どちらにも共通していえることは、「受け身の情報だけではその事実に辿り着けない」ということ。



世界で起こっているは、知らないことだらけだ。

怠惰にならずに、常に出会って、見て、知りたい。その気持ちを忘れずに生きていたい。












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