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バルサミコ酢と伝統的バルサミコ酢。その違いを知っていますか?

すっかりおなじみになったバルサミコ酢。でも、スーパーなどで簡単に手に入るバルサミコ酢と、高級食材店でしかお目にかかれない高価な「伝統的バルサミコ酢」、その違いを知っていますか?

クオルス・リストランテが現地で出会い、彼らの情熱(Passione)や人柄、品質に共感し、提携しているスクアドラ・クオルス(チーム・クオルス)の作り手達。どの提携先もファミリー経営で規模が小さいものの、伝統的な製法と技術でクオリティの高い本物を作り続けています。スクアドラ・クオルスの一員で、クオルスが提携している、モデナの伝統的バルサミコ酢の作り手をご紹介します。

「伝統的」と呼ばれるまでの、気の遠くなるような時間

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名前は似ていても、実は大きな違いがあります。製造方法、熟成時間。一般的な「バルサミコ酢」は酢やカラメルなどの添加物が許され、短時間で大量に生産することが可能ですが、「伝統的」と呼ばれるバルサミコ酢は、昔ながらの製造方法によって、気の遠くなるような時間をかけられているのです。

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伝統的バルサミコ酢が作られているのは、フェラーリの聖地として知られるイタリア北東部のモデナという町。バルサミコ酢の工房「アチェタイア カゼッリ」に、クオルス・リストランテのバルサミコ酢が眠っています。

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出迎えてくれたのはシモーネ・カゼッリ。伝統的バルサミコ酢の製造方法を教えてくれました。使うのは地元のブドウ、主にトレッビアーノ種だけ。これを搾り、カゼッリでは約半量になるまで煮詰めて「モストコット」を作ります。これがすべての始まり。バッテリーアと呼ばれる一式を利用し、毎年樽から樽へと移し替え、最低でも12年間熟成させてできあがるのです。

何も足さない。何も引かない。

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何も足さず、何も引かず、ひたすら移し替え、熟成させる。こうして上がる伝統的バルサミコ酢は、酢の尖った酸味が消えて、まろやかに深く濃く、まさに重ねられた時間が絡み合った味わい。その製造方法も熟成期間も厳しく決められ、審査を経て認められたものだけが「伝統的」と名乗ることを許されるのです。

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クオルス・リストランテの焼印が押された5つの樽。大きい木樽から、栗・オーク・オーク・桜・オークの組み合わせ。これが12年間の熟成を経てできあがるのは2023年。モデナ産の伝統的バルサミコ酢専用の瓶に詰められます。

ジウジ・アーロデザインの瓶が認定の証

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モデナの伝統的バルサミコ酢と認定されるとこの瓶に詰められる。瓶のデザインは、フィアット500のデザインなどで知られるジウジ・アーロ。

「次世代」に伝えていく使命感と情熱

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そもそもクオルス・リストランテが提携先にカゼッリを選んだのは、家族だけの小さな工房ながら、伝統的バルサミコ酢を次世代に伝えていく使命感と情熱にあふれていたから。カゼッリ家では代々、子どもが生まれるとその子のためのバッテリーアを作るため、もちろん“シモーネの樽”もあります。

「私の仕事は、受け継いだものを引き渡していくこと。生産者と単純に位置づけるのとはちょっと違うかもしれませんね」。受け継いだものといえば技術と情熱だけでなく樽もそうで、このシモーネの樽から生まれたカゼッリの伝統的バルサミコ酢は、 権威ある品評会で名誉の優勝も果たしています。

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一番手前、金のラベルが貼られているものがシモーネの樽。シモーネが生まれた1969年に作られました。

契りのバルサミコ酢

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2011年、クオルスリストランテの伝統的バルサミコ酢の醸造依頼を引き受けてくれたシモーネから、彼の生まれ年(1969年)に仕込まれた貴重なバルサミコ酢が、一通の手紙とともに送られてきました。その手紙にはこんな内容が。

「あなたと出逢えたことに感謝。そして、クオルスリストランテのバルサミコ酢を、カゼッリ家同様のものとして、愛情を注ぎながら、守っていきます。その契りの証として、僕の伝統的バルサミコ酢を贈ります。シモーネより

現在、クオルス・リストランテの各店舗で使われているのは8年熟成のバルサミコ酢。伝統的製法と同様に、モストコット(ブドウの果汁を煮詰めたもの)のみをオークの木樽(一樽)で約8年熟成させて仕上げられています。伝統的バルサミコ酢がデビューする2023年を待ちながら、まずは8年熟成のバルサミコ酢を味わってみましょう。

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