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鍋焼きうどん

淀ヤ食堂さんの鍋焼きうどん

寒くなってくると食べたくなるものに「鍋焼きうどん」がある。
グツグツと鍋の中が沸いている状態で運ばれてきて、湯気とお出汁のいい香りが鼻孔にしみ込む。
かまぼこ、卵、鶏肉、薄あげなどにネギが散らしてあり、なんとも懐かしい気すらしてくる。

ふうふう言いながら、食べるのがまたおいしい。
さっきまで、寒くなったね~と話をしていたのに、
身体がポカポカしてくる。
相方がカキフライ定食なんぞをさっさと食べていたら、スピードを合わせなくてはと、気持ちが焦る。
熱っ!とか言いながら、急いで鍋焼きうどんを食べる。

うどんに出汁がしみ込んでいるので薄味でもしっかり味を感じられる。
半分くらい食べたら、卵を割ってとろりとした黄味にうどんや具を絡めて食べる。味変である。
出汁の澄んだ味にもったりした黄味のコクが加わり、これもおいしい。
うどんと具を食べきったら、レンゲで何回かお出汁をすくって、出汁の味を十分に味わってごちそうさまと手を合わせる。

思うに、鍋焼きうどんは外食に限る。
自宅で作っても、具の多いうどんでしかなくて楽しみがない。

食卓に運んだところで、だし汁の味見をしているため香りに新鮮味がない。
入っている具もわかっているため楽しみもない。
ガスコンロの上での加熱を見ているので、火からおろしてグツグツしていてもインパクトに欠ける。
どうにかすると黄味に中まで火が通ってしまい、味変ができない。

自分で作っても、鍋焼きうどんの全存在は味わえないのである。

私にとって、鍋焼きうどんは身体も心もあっためてくれる、冬の一番幸せな食べ物のような気がする。
今年も、鍋焼きうどんが恋しくなる季節がそこまで来ている。


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