見出し画像

2020年頃に海外でペンシルパズルがムーブメントを起こしていた話

裏ペンシルパズル Advent Calendar 2022の22日目の記事です。


今年vol.10が発行されたパズル同人誌トケタ?のPdfバージョンがBoothで販売開始していた、というのが海外でも話題になっていました。

トケタ? vol.10と言えば、

Baba is You開発者のHempuli (a.k.a  Arvi Teikali)氏によるオリジナルのペンシルパズルLohkousおよび、ブログで発表した全39種類のパズルを紹介するという企画があり、

昨日、本人もDiscordでコメントを述べてました。


確かにHempuli氏のパズル群は
稲葉のパズル研究室Eric Friedman氏に次いで、個人で1ジャンルを形成したと言えるような存在と言えるかもしれませんが、

どうやら、氏が新しいパズル種を発表していたパズルゲームの開発者のコミュニティでペンシルパズルが賑わっており、
LOKやLIMBSを発表した、BLAŽ URBAN GRACAR氏や、
パズルスクエアに最近増えてきたKudamono EditorのPedro氏など、
何人ものパズラーが日々パズルを作りあっているようでした。
特にパズルゲーム畑出身ということで、オリジナルのパズル種やツール作りが発展しており、Kudamono Editorがサポートしている100種以上のパズルのいくつかは、そのサーバーで生まれたもののようです。

海外のパズルコミュニティについて

かつては、Redditやサイトのフォーラムなどで盛り上がっていたものと思われますが、最近の盛り上がりは専らDiscordのように見えます。

特にペンシルパズルで盛り上がっているサーバーとしては、
先ほど述べた、Thinky Puzzle Gameサーバー
Puzzle Boss Rush参加などでもお馴染みPuzzler's Club
最大勢力が数独系Youtuber、Cracking The Crypticのファンサーバー
など。

2022年のWPCのRound 3、New Generationラウンドで登場したパズルのほとんどはこれらのサーバーから生まれたもののようです。
参考: タイガーアイさんによるNew Generationコンテスト - PuzConJP

puzz.link (旧pzprxs)にもたくさんのパズルが移植されていましたが、
見慣れない海外パズルの出自がこれらのサーバーのどれかで、
今まで海外パズルというと、PGP、WPC、LMIやLMD、GM Puzzlesなどのイメージがありましたが、2020年ごろから新勢力(?)によって海外でペンシルパズルが急速に進化していったようです。
日本でも話題になったHempuli氏のパズルや、Aqreは氷山の一角に過ぎなかったという。
すべてがすべて生き残るかはわからないですが、もはや定番パズルの一つとなったAqreを始め、この時期に生まれたパズルのいくつかはきっと将来の定番になることでしょう。

(参考) New Generation Round出題パズルの出自

Aqre / EricFox氏、 CTC Fan Server発
Square Jam / EricFox氏、 CTC Fan Server発
Disorderly Loop / EricFox氏、 CTC Fan Server発
La Paz / Shye氏、 CTC Fan Server発
Rail Pool / Menderbug氏、 Puzzler's Club発
Context / RSP氏、CTC Fan Server発
Celltinels / Hempuli氏, Thinky Puzzle Game Server発
Limited Alike / Hempuli氏, Thinky Puzzle Game Server発

↑ 「ほとんど」じゃなくて「すべて」Discordサーバー発でしたね。


(参考) Eric Fox氏のオリジナルパズル集

そういえばAqre原作のEric Foxさんも
ブログで18作ほどオリジナルパズルを公開されてますね、
puzz.linkにも6種、NewGenerationラウンドにも3種公開されていてなかなかのヒットメーカーに見えます。


盛り上がりの中心に居たい話

自分がペンシルパズルを始めた2019年頃はpuzz.linkとパズルスクエア、ペンパソルバー、penpa-editが生まれて、日本でペンシルパズルが盛り上がっていた頃で(*1)、「あの頃の盛り上がりをもう一度」と常々思っていましたが、知らないところでこんなに盛り上がっていたとは。

謎解きとパズルの情報の密集地はここだろうと思って東京に住んでいる節があるのですが、新しいパズル種やツールの開発の観点からは2020年以降は海外Discordの方が盛り上がっていたのかもしれません。
(今でも物理的な最密集地はここだと思ってますが)

もちろんpuzz.linkとpenpa-editをフォークしたpenpa+は海外でも人気だったので、2020年頃から海外の一部でパズルが盛り上がる土壌作りにも一役買ってそうですが。

▲2019年の7月末にパズルを始めた時の頃のツイート。8月は1ヶ月ぐらいずっとパズルの話をしていた。


(*1) この辺りの話はペンシルパズル年表に詳しくまとめました。


海外パズルコミュニティと触れ合うきっかけ

今年の後半海外のパズルコミュニティにいることが多かったのですが、
今年7月にパズルスクエアの管理人になってからペンシルパズルにかかりっきりの最中、9月にPedro氏よりお問い合せから連絡が入り、
そこに書かれていた、Kudamono Editorと、Paper Puzzle Masterlistを見て「これはすごい」とDiscordを調べてDMを送り、
色々調べたりコミュニティに参加したりして、今に至る感じです。
入っているだけだったPuzzler's Clubも追うように。

パズルのルールと開発に興味がある人たちのコミュニティ、居心地が良い。
自分が元々インディーゲームを開発していたこともあり、近しいものを感じます。

パズルにおける日本の立ち位置

世界中のパズル情報を俯瞰できる、Paper Puzzle Masterlistの特に、ガイド(作り方、解き方)のコーナーはほとんど日本語記事で、
ことペンシルパズルにおいては、アドベントカレンダーなどの日本語記事を世界中の人が必死で読んでいる構図があります。

英語については自動翻訳がないとReadingもWritingもままならないですが、
ペンシルパズルに関しては、ニコリを読めるだけで、日本語ネイティブで良かったと感じます。

今後の展開について

海外発祥のパズルがいずれ定番になっていくのであれば、トケタがキャッチアップしていく、とは思うのですが、
もっと高頻度で、パズルスクエアで埋もれがちな新規パズル種の情報などとあわせて、ネット上に日本語で最先端のパズル情報をキャッチアップできるような場所を作れたらと思っています。月刊パズ界隈。

また、もしこのnoteを読んでる方で海外パズルコミュニティに興味がある方がおられましたらぜひ個人的に連絡をください。

来年も国内外でもっとパズルが発展することを願って。


▲パズルスクエア構想時、こんな話もあったんですね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?