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英語学習、つまずきも戸惑いもあってよしー自由なコミュニケーターでいられるためのlanguage therapy

英語教育、あの神話は幻想?

先日、朝日新聞デジタルの『英語教育「早ければ効果が出る」は幻想?小学生の学びで大切なこと』を興味深く拝見しました。

有料記事だったので細かなことは割愛しますが、インタビューに応じられた米ペンシルベニア大学のバトラー後藤教授が一刀両断されていたことのひとつがこちら。

子どもが早い段階でネイティブから英語を学ぶと効果が高い、と根強いネイティブ神話があるけれども、それは幻想。

実はわたしもこの点に大いに共感していているところです。
逆に、幼少期から英語に触れていなくても英語力は“ちゃんと”身に付けることができる。

なぜなら本当のグローバルな現場で大事なのは「意志疎通」ができるかどうかで、つまるところコミュニケーションのセンスだったり、コミュニケーションするために必要なのは英語力それ以上にナカミ(詳しくは後述)の問題だったりするわけです。

アメリカ人講師Ms.R、日本の小学生に根をあげる

かつて短い間でしたが、某大手英会話スクールのキッズインストラクターをしていました。キッズ、の範囲は2歳から15歳までで、親御さんとしては子どもがネイティブクラスに入れば自動的にすばらしい英語力が身に付くはず!と信じて疑わなかったはず。

ところが・・・わたしは知っているのです。冒頭のバトラー教授がご指摘されているように、ネイティブ神話はあくまで幻想であることを。

当時同僚だったアメリカ人講師Ms.Rが担当していたクラスは小学3年生の男子7名の会話コース。もちろん授業はall English。
一番わんぱく盛りといっても過言ではないこの学年、加えてよくもまあこんな元気印が揃いも揃ったものだよねえというほどエネルギー満タンな子たちの集団です。

あまりににぎやかなので、一度そのクラスをちらっと覗いてみたら、揃いもそろってやんちゃなboysが始業開始と同時にわちゃわちゃ収拾がつかないくらいおしゃべり止まずteacherの言うことなどお構いなし!これは俗にいう学級崩壊?!

Ms.Rはこのクラスがある曜日を「魔の木曜日」と呼び、ある日涙声でわたしに言いました。
「もう、本当にムリ。あの子たちに教えるなんて絶対ムリ。お願い、Miki!わたしと担当変わって。」

アメリカ人が英語を教えるって、わたしのような日本人講師と違って母国語でフツウに話せばいいのだし、すごく楽ちんなこと(失礼!)だと思っていたわたし。なのでたいそう驚いたものです。

結局スクールのマネージャーも致しかたないという結論になり、わたしが彼女の後任を務めることに。

子どもたちが本当に望んでいる学びとのギャップ

そこでわかったことは、確かに彼らの態度は決して従順とはいえないまでも、本当は学びたいのです。知りたいのです。

けれども、型どおりのレッスン内容で、ネイティブの流暢な発音で来られると、英語でどうコミュニケーションをとったらいいのかわからず戸惑った結果、“わからなさ”を騒ぐことで紛らわしていたというのかな。
少なくともわたしにはそう見えました。

さらに気づいたこと。
英会話スクールの講師って、英語のスキルは教えることができるけど、いったいどのくらいの人がグローバルな環境での就業経験があるのだろう?という素朴な疑問。これはネイティブ講師に限らず日本人講師もですが。

わたし自身は英語の教員資格はもたないけれど、国際的な現場での経験だけが頼りのいわば叩き上げ(笑)。だけど、こうした異なる世界と世界の摩擦での実体験があるので、多少のミスコミュニケーションも想定内です。

ところが、Ms.Rはネイティブではあるけれどまだ卒後数年の若き英語教師。たぶん、英語指導以外の社会経験をまさに学ぶ途上にあったのでしょう。
ーとはいえネイティブ講師。外側からみれば、この先生に導いてもらえば自動的にうまくいく。と思われています。(*注 もちろん人によります~。ただ、英語力向上とグローバル人材育成というのは似て非なるもの、ということ)

こういう現象こそまさに冒頭の先生が危惧する、ネイティブ神話の幻想。
ネイティブが全て。と思い込みすぎるとー期待をかけすぎるとー発音が美しくなるどころか、英語自体が嫌いになっちゃう。
(ちなみに。今回は掘り下げませんが、スクールに月数回通っただけでペラペラになるというのも幻想です。・・・言ってしまった💦)

こうしてゆっくり立て直しーシンプルだけどパワフルな処方箋

ーと話が少々それましたが

その後わたしは成り行き上このboysクラス担当となりました。
まず行ったことは、彼らの「本当の気持ち」をレッスン前に十分発散してもらうこと。
日本人講師であっても授業はすべて英語で行うスクールだったため、レッスン開始前に英語に切り替わる緊張をほどいたほうがよいのかな、と思いました。

“How do you feel today?”とか” How are you?”とか今の気分、状態を問いかけ、正直に答えてもらうのです。
昔の教科書の例文みたく“I’m fine!”なんていうのはナシで(心からそう思うならよいのですが)、”sleepy”でも“angry”でもよくて、なんなら”tired”"bored"でもいい。

正解なんてなくて、とにかく正直に。
大事なのは自分の状態をちゃんと相手に伝えること。
そういうちょっとした感情をわずか一人1分でもいいから受け答えするだけで、いったん彼らの気持ちが整ってゆくようにみえました。

Aくんが”I’m sad.といえば、「えー?なに、何の悲しいことがあったの?」と気になります。
「昨日飼っていたネコが亡くなった。」Aくんは続けます。英語の語順はぐちゃぐちゃであってもまずは自身で発話することに重きを置きます。
みんなも神妙にAくんのネコの話に聞き入ります。
続いてBくんが“I’m great!”と言います。今日は誕生日だから。と。すると誰ともなくhappy birthday !と言い始めます。いつものんびりしているCくんは一言sleepy…みんながどっと笑います。お前いつもsleepyだな!

本当にささやかな時間です。けれども、何を言っても否定されることなく自由に思ったことを言える。そういう時間、空間でありたいと思ってました。

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英語とほど遠い生活をしているけど、いつか英語を話してみたい!そんなあなたに向けた新しい角度からの語学とのつき合い方♪英語学習に限らず子どもから大人までコミュニケーション全般のお悩みに効く読むセラピー。

英語を学ぶことが実は感情を整え、本来の自分を見つめる手立てになることに気づいてしまったわたしが綴るコーチングダイアリー&日々の"モヤモヤ”…

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