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緑陰読書②-乱読派の読書案内2022夏ver.

先日のpostの続き。(・・・って時間たちすぎ💦)
全5冊のうち3冊までシェアしていたのですが本日は残り2作品を♪

まずは、
毛布 あなたをくるんでくれるもの』安達 茉莉子 玄光社 2022

イラストが内容すべてをあらわして。ほっこり優しい♡

毛布。
この作品の「はじめに」にもあるのですが、著者である安達さんにとっての毛布は「peanuts」でいうところのセキュリティ・ブランケット。

つまり、そばにあると安心できるもの。お守りのように守られているもの。救命道具。そんな象徴。

誰にでも訪れるであろう感情のかけらー愛、かなしみ、よろこび、挑戦、失意、再生、理解、治癒・・・

そうした人生の一瞬を著者の個人的な出来事から時に生々しく、時にみずみずしく掬いとられたエッセイ集。

わたしが興味を抱いたきっかけは、セキュリティ・ブランケットについて以前わたしもwebエッセイに取り上げたことがあったこと。

それから彼女の作家までの道のりがある種異質で、防衛省!にお勤めだった(東日本大震災を経験されたことがきっかけだったということです)と思ったらイギリスへ開発学を学びに行かれていた、というところ。

わたしは留学経験もなく、まして開発学という専門を学んだわけではないけれど、開発学=発展途上国に対するアプローチというキーワードでどこかシンパシーを感じたのでありました。

が、その開発学を通じて自問自答をされるのです。

誰もが貧困や恐怖から自由になって公正で持続可能な社会を生きられるようなそういう手立てを研究する学問なのに、果たして自分は本当にそこで生きる人のことを本気で考えているんだろうか?(中略)国連職員という「状態」に憧れているだけなんじゃないだろうか?

「毛布 あなたをくるんでくれるもの」安達 茉莉子

そういう自分との本音とのチグハグ感や無力感、将来への不安・・・

いやーわかるなあ。

そんな中、出会う人々や出来事から、ご自身がいちばんフィットする居場所は?と模索され始めます。

それは「心のこと」。

論文でも開発援助でもなく作家として想像力を持って表現される道を選ばれます。

なるほどなあ。

わたしはたまたま細い糸で彼女の歩もうとされた道筋とちょっと交差したのでより共感度が高かったのですが、開発学的な話は作品の断片にすぎず、冒頭に記したように、多くの人が経験するであろう日常に湧き出る陽や陰の感情が繊細にエッセイ形式で描かれていて、まさにやさしさの毛布にくるまれていくようです。

どうか自分を信じられなくなりそうなとき、気持ちが落ちてしまいそうなときーそんなときにぜひおすすめの一冊。

文庫本です。キーワードはNY、コーヒー、猫・・・

そして打って変わってエンタメ色満載のコチラ

なにを隠そう、わたくし「コージー・ミステリー」ファンなのです。
最近は日本の作品でもそういう類のミステリーが増えているようですが、今日ご紹介するこちらは、わたし的コージー・ミステリーの3大要素をカバーしているのでシリーズ19作目までずーっと読み続けている次第。

その3大要素とは・・・
①物語の舞台が憧れの地。さらにその土地の風景、食べ物の描写が秀逸。
②ミステリー要素だけでなく、主人公の人間模様&機微が丁寧に描かれている。
③①にあるレシピが惜しみなく紹介され、家でも再現できて二度おいしい♪

特にこのシリーズは「コーヒーミステリー」と銘打っているだけあって、お話に登場するコーヒーのバリエーションが豊富すぎ!そしてコーヒーなしには読めないくらい濃厚な香りさえ漂う描写力☕

作品ごとに、カフェモカ、カフェラテ、エスプレッソ、他(もっとマニアックなものまで)特定のコーヒーをめぐって事件が起こります。

街のランドマーク的伝統あるコーヒーハウス、という設定なのでバリスタたちや出入りするお客さんも個性が際立ち魅力的!!
もうNYに行ったら絶対行かなきゃ! ・・・・あ、架空のコーヒーハウスだった😢と思うくらい細部まで描写が行き届いているのです。

そんなNY(マンハッタンにあることになっていますが舞台はブルックリンなどあちこちのエリアが登場~)のコーヒーハウスがわたしの脳内でリアルに浮かんできて、そのcafeの片隅で淹れたてのロースト強めブラックコーヒー(たぶんモカ)を飲みながら読んでいる自分💛
という妄想を隙あらば展開しながら読んでいるわたしは変態かコーヒーミステリ中毒者か。笑

というわけで、興味を持った方はできれば人間関係をインストールするためシリーズ1作目からをオススメしますが、季節ごとにNYの街並みやコーヒーの種類の描写も異なるので、秋には秋の、冬には冬の風景を切り取った作品を読まれるのもいいかもです。

いやあ。
すっかり季節は秋モードなのに緑陰を引っ張ってしまいましたっ。
第二弾はやはり秋なので食関係の書籍をセレクトしようかなー。

それでは独断読書案内、お楽しみいただけていたら幸いです。
また不定期にこのシリーズ、突如アップいたしますね。
Have a great weekend♪


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