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緑陰読書-乱読派の読書案内2022夏ver.

勝手にはじまりました、おすすめ本紹介シリーズ♪ 
乱読派のわたしが実用本から小説、ノンフィクションなどなど手当たり次第独断で誰かに紹介したい作品をピックアップ。

 *今回の推し5選*
 ・『草の辞典 -野の花 道の草』森乃おと 雷鳥社  2016
 ・『庄野潤三の本  山の上の家』庄野潤三 夏葉社  2018
 ・『この道の先に、いつもの赤毛』アン・タイラ― 小川 高義訳 
                 早川書房 2022
 ・『毛布 あなたをくるんでくれるもの』安達 茉莉子 玄光社 2022
 ・『ハニー・ラテと女王の危機』クレオ・コイル  小川敏子訳
                 原書房 2022

まずは、表紙からすでに涼やかで緑陰読書感満載の2冊。

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装丁がこれまたチャーミング♪

酷暑続きの今日この頃、暑い💦寝苦しい💦とマイナスなことに目を向けがちではありますが、実は緑モリモリ!草花の生長著しい季節でもあります。
そんななかー植物の中でも花に目を向けた書は多かれど、こうして「草」にスポットを当てた1冊ってありそうでなかったのでは?と手に取りました。

辞典、といっても単に知識を広げるためだけの学習辞典ではありません。
じゃあどんなことが?と思ったあなた。実はわたくし、この度「草愛」があふれ、月1回寄稿しているwebエッセイにも本テーマで綴ってみたので詳しくはコチラ↓をどうぞ♪

続いてーわたしが長年敬愛してやまない昭和を代表する日本文学作家のお一人(と信じている)、庄野潤三氏。(2009年9月没)

緑の中に佇む邸宅。本棚からステッドラーの3B鉛筆から・・ファンにはたまらぬ1冊。

庄野文学の真骨頂といえば日常の風景描写。それは作品のタイトルからもにじみ出ていて、例えば『貝がらと海の音』ーこれは孫娘さんが「貝がらを耳に当てると、海の音が聞こえるの。」と発した言葉から。そしてその貝がらは近所の方がビニール袋に入れてお裾分けしてくれた貝、というのも日本の昭和のよきご近所づきあいが垣間見えて微笑ましい・・・。

その他名著『夕べの雲』『庭のつるばら』『鳥の水浴び』など普遍的なしあわせの風景のかけらが美しい日本語とあたたかな人間関係で紡がれて。(食べものの記述が豊かなところも大好きポイントなのであります。)

そんな庄野氏の暮らしが詰まった邸宅と人となりが麗しい写真の数々と作者にまつわる方々の記憶を1冊に凝縮。もちろん全作品案内も。お写真を繰るたびに、鮮やかな緑が目に飛び込んできて、妄想巡礼・・・避暑地を訪れたような涼やかな風が立ち現れてくるのでした。

さて。
続いては小説編。

日本語タイトル訳の絶妙さといったら!!!

先の2作品と打って変わって小説の登場~。本来は翻訳もの国内作品問わず小説loveな人間です。
さらに一度ハマった作家さんはずーっと長年追っかけ、全作品踏破!という誰にもお願いされていない目標を達成することがヨロコビ♡

そんなわけで、このアン・タイラーさんはかれこれ20年以上?もっと前?に『歳月のはしご』という作品でノックアウトされ、以来新作を待ち続けている作家さんです。

まず。舞台はアメリカ、ボルチモア。アンさんのお話はクールな都市部では展開せず、さらに主人公はたいてい”うだつの上がらない”さえない人物。ドラマや映画の影響で、ついアメリカの作品はエンタメ性満載と思われがちだけど、アン作品に関しては、ゆるさと素朴さ。以上。笑 

が、冒頭紹介した草の本のように、わたしが人生で輝きを感じるものはこうした一見何ものでもない存在、市井の人々だったりするもので、そこにまず深くシンパシーを感じています。

お話の詳細はネタバレになるので割愛しますが、かなりざっくりいうとー本の帯にあるとおり、この地味で不器用な43歳の男性の再生の物語・・・人間関係の妙味や滋味、をユーモラスに愛いっぱいに描いているアンさんが大・大・大好き!! ちなみに2020年ブッカー賞候補作になったそう。

こういう小説を読むと、ああ、人間の機微って古今東西相通ずるなあ!と感じずにはいられない。
遠い海の向こうの出来事なのに(しかも架空の)ぐっと感情移入できるから不思議です・・・。
翻訳ものはどうも苦手で・・という方にぜひ手にしていただきたい1冊。

ーとここまで書いて2,000字に迫ろうとしていることに気づいたので💦軽~い気持ちで読み進めてもらうために分割しよう。
その②として次のpostに続編を書きまーす。

独断読書案内にお付き合いいただきありがとうございました♪

にしても、本の話って止まらん~!

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