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【2024年版】完全栄養食とは、どのような食品か?【定義、栄養素、市場規模など】

完全栄養食には定義がある?

完全栄養食に具体的な定義はないです。
市販で流通している完全栄養食のコンセプトは、厚生労働省が策定した「日本人の食事摂取基準」が定める1日に必要な栄養素を過不足なく補えるプロダクトです。

 具体的な栄養素としては、以下33種類の栄養素を満たす設計が多いです。

  • 5大栄養素(たんぱく質、脂質、飽和脂肪酸、n-3系脂肪酸、n-6系脂肪酸、炭水化物、食物繊維)

  • ビタミン(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ビオチン、ビタミンC)

  • ミネラル(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデン)

一方で、消費者庁で検討してる分かりやすい栄養成分表示の取組に関する検討会の中で、「完全栄養食という表現は、消費者に誤解を与えるかもしれない」表現として疑義が出ています。
確かに完全栄養食=それを食べるだけで全ての栄養素が摂れるような誤解を与えてしまいます。

以下、画像は引用。

分かりやすい栄養成分表示に向けた取組検討事業 第3回 分かりやすい栄養成分表示の取組に関する検討会 議事録
分かりやすい栄養成分表示に向けた取組検討事業 第3回 分かりやすい栄養成分表示の取組に関する検討会 議事録

2024年現在、大手メーカーを中心に「完全栄養食」から「完全食」、「最適化栄養食」といった表現の使用を始めている印象です。

完全栄養食の市場規模

2022年の完全栄養食(1食で必要な栄養素がバランスよく摂れる食品)の国内市場規模は、食事に対する健康意識と簡便性の高い食品需要の高まりから、約144億円まで拡大しています。

引用元:PR TIMES

今後大きく成長が見込まれる市場である「完全栄養食」の中で、2023年の主要なプレイヤーは「BASEFOOD」「日清食品」です。
これら2社がラインナップの拡⼤を行い、市場を大きく伸ばしています。

BASEFOODは2024年2月期で148.7億円を突破し、2025年は190億円を目指しています。

引用元:ベースフード2024年決算資料

日清食品は新規事業として「完全メシ」に力を入れており2023年度は売上50億円を突破。
2025年度に100億円を目指しています。

日清食品 2023年通期決算資料

2024年段階ではBASEFOODの方が売上が大きいですが、日清食品がどこまで巻き返すか注目です。
とんでもないスピードで市場拡大しているのが「完全栄養食」市場と言えます。

完全栄養食ってどんな食品形状がある?

完全栄養食は、大きく分けて3種類のタイプがあります。

  • 麺類やパンなどの「主食系」

  • プロテインなど水などに溶かして飲む「ドリンク系」

  • スナックやクッキーなどの「おやつ系」

しかし、上記のような食品形状だけに注目した完全栄養食の分類にはあまり意味がないと思っています。
なぜなら、完全栄養食の中で市場規模が大きいのは「主食系(麺類やパンなど)」だからです。
要するに、完全栄養「食」というだけあって、「栄養」だけでなく「美味しさ」というのも大切ですよ。ということです。

私自身の主観が多分に入りますが、以下がおいしさ視点での「完全栄養食」のレベル分けです。

コンセプトとしては、食事としての完成度です。
日常的に食べる食事に近い方がレベルが高く、より多くの人に価値提供できるプロダクトだと解釈ください。

それぞれ、見ていきましょう。

LV1の完全栄養食
栄養が取れるために設計された完全栄養食です。
栄養素の粉末を水で溶かして飲むような製品はLV1で食事とは言えません。

LV2の完全栄養食
美味しさと栄養を両立した完全栄養食です。
ベースフードBASEBREAD、オルビスCOCOMOGUを指します。
栄養素を摂取するために、美味しく食べれるパン・おにぎりの形をしています。

LV3の完全栄養食
いつもの食事感覚で食べれる完全栄養食です。
日清食品の完全メシ(冷凍食品を含む)は、このレベルに到達しており、毎食食べるのも問題ないと私は考えています。

LV4の完全栄養食
LV3までの完全栄養食は、平均的な日本人向けの商品です。
「完全」というには個々人の体調や生活リズムに応じた栄養バランスをパーソナライズ化した提案を可能とする仕組みが必要になってきます。
そうなることで、食品が薬のような役割を担う未来食になるでしょう、
シニア食、病者食といったようなターゲットを絞った完全栄養食も開発が進んでいるので、今後の動きが楽しみです。

まとめ

完全栄養食には法的定義はありませんが、1日に必要な33種類の栄養素をバランスよく含む食品を指します。多くは「日本人の食事摂取基準」に基づいており、主要プレイヤーはBASEFOODと日清食品です。

「完全栄養食」という表現は誤解を招く可能性があるため、「完全食」や「最適化栄養食」とも表現されます。
主食系、ドリンク系、おやつ系の形状があり、市場は健康意識の高まりから拡大しています。

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参考
日本人の食事摂取基準

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