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入院日記2 入院中の時間の過ごし方

 入院中有り余る時間を無駄に過ごしがちになる。手術後の身体も動かずじっと我慢をしている時期は別として、自分はできるだけ決まった事を続けるよう心がけている。その最たるものがこの日記の写真にも登場する写経だ。写経については以前も書いたかも知れないし、今回が初めてかも知れないが暇つぶしにはなる。もとより自分は字を書いている時にリラックスできる。しかしながら物語を書くだのちょっと頭を使う事となると話は別で、そんな時には写経が持ってこいだとも思う。

 とにかく写経は余計な事を考える必要がない、お経を思い出すのに頭を使う場合もあるが、人によっては経本を丸写ししてしまってもいい。そもそもお経を書くことをどうして「写経」と言うのか考えるとこの「写」の時は無視できないのではないだろうか。

 入院も長くなり毎日のように写経をしているとただお経を書いているだけでは飽きたらず、最近では筆ペンの他に万年筆でも書くようにしている。また経本に書かれているお経は般若心経でこれは基本的に旧字体の漢字を用いるが、これを現在の常用漢字で書いてみたり、中国語(中華人民共和国)で使う簡体で書いてみたりしている。と言う事で漢字だけでも三種類の使い分けができる、その上ここにハングルも入れてみる。ハングルは基本漢字一文字がハングルでも一文字で書ける。もっと言えば韓国語はもともと漢字も使われていた言語で、それぞれの漢字の韓国語読みを使えばお経も書けるのだ。日本語のように音読み、訓読みの違いもほとんどないので韓国語を勉強するとき漢字の韓国語読みも学んでおくと後々楽でもある。

 こうして4パターンあるお経をその時の気分で書き分けては暇つぶしをしている。入院中の目標は200巻。毎日3巻書いたとしても二ヶ月以上かかる。まだ退院がいつなのかまるで見えてこないからできた目標だと思う。

 もう一つはこのnote(別アカ)でも週2くらいのペースで発表している自由律俳句「食べられる退屈」の句も暇に任せて大量生産させている。そもそも「食べられる退屈」というのは自分が20代の頃に書いた即興詩を集めたもので、その数は500を越える。もちろん今では恥ずかしくて発表などできないが、この即興詩の中の言葉を再利用して自由律俳句を作ったものが現在発表している自由律俳句「食べられる退屈」でもある。これは去年あたりからチビチビと書き直していたものだが、この入院を機にある程度まとまった数作ってみようと思い立った。取りあえず目標は2000首だ。これも時間がたっぷりある入院中の今だからできることだ。そしてできあがった作品はここと「現代詩フォーラム」で発表もしている。現代詩フォーラムへの投稿も10数年ぶりのこと。

 他にも数日おきだが新聞を読むことにしている。病人の本来の仕事は安静にしている事、特に自分の病気の場合は寝て安静にしている必要があり、そんな時新聞は寝ながらでも読んでいられる。新聞も以前はローカル重視の東京新聞や神奈川新聞を好んで読んでいたが、最近は日本経済新聞の方が読んでいて楽しいと思うことが増えた。ローカル重視を好む前は朝日新聞だったが、今になって朝日に戻ろうという気は全然ない。今は日経が面白く感じられる。以前だったらお堅くて手にするのにも抵抗があったくらいなのに不思議なものだ。もしかしたら食わず嫌いだったのかも知れない。

 我が家(というか自分は)は職業上の関係もありかつてはJapan Timesを購読していたが、ゴミ削減と経済的にゆとりもなくなったので結婚後は新聞をとっていなかった。なので新聞を読むのはもっぱら職場(朝日、読売、毎日、日経、神奈川はたいていあった)か通勤時にiPadを使って主力紙やJapan Times, Washington Postなどのオンライン版を読むのを習慣としていた。今でも新聞はとりたいなと思うこと多々ある。しかし新聞を取っていた時代を振り返ると日経という選択肢はこれまで全くなかったんだけどな。

 と、だんだん本題からは外れて行っているので話は元に戻すが、今の写経や自由律俳句は目標を決めてみたもののそもそもいつ退院するのかがまだ全然わからない。すでに入院も二ヶ月が経っているのだがまだ主治医からは具体的な退院の話しを聞いたこともないくらいだ。今月いっぱいなのか、夏が来るまでなのか、もしかしたら今年中の見込みはないのか、自分でもまったく見当がつかない。そんな不安を払拭させるためにも写経や自由律俳句はいい気休めになる。

 入院して膨大な時間が突然やって来てもそれをどうするか、病気の時の時間であっても自分の人生の時間には変わりはない。いたずらにマンガを読んだりテレビを見てゴロゴロ過ごすよりも何らかの目標を立てて寧ろ創作のチャンスだと考えて日々過ごすことを心がけている■

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