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変な話#3(キューブに閉じ込められた)

※この話はフィクションです。


僕は目を覚ました。
目を覚まして気づいたことがある。僕は知らないところにいると。一面白い、キューブの中にいる。壁も床も天井も全て白い。窓も扉もいすも机もない。キューブの中には何もない。そして、自分がいつも身につけているアクセサリーもない。しかし着ている服は自分のものである。なぜここにいるのかは分からないし、ここに来た記憶もない。最後の記憶は、友達と話していた記憶である。

さて、ここでなにをしようか。ここからなにか情報を得なければならない。とりあえず床を叩いてみた。ぐにゃという音がした。質感はコンクリートのような感じであるが、コンクリほど硬くはない。座っていると少しへこむぐらいの硬さである。次に壁に向かった。同じように叩いてみる。ごんという音がした。硬い。コンクリより硬い。まるで鉄のようだった。しかし鉄のような質感はなかった。今まで生きてきて触ったことがない感触であった。天井を触ろうとジャンプをしてみる。そのとき天井の高さが変わった。ジャンプした分だけ天井が上昇した。何回も繰り返しても同じことが起きる。天井を触ることが出来ない。その時思ったことがある。もしかしたら自分は今、誰かに監視されているのかもしてない。あたりを見渡し、カメラがあるのかを探してみた。しかし何もない。探しても探してもなにもない。もう諦め、床に座ることにした。床が少し沈む。ここで意識を持ってからどのくらいの時間が経ったのだろう。不思議と喉は渇かないし腹も減らない。そして眠くもならない。

暇だなと思っていると、急に体に異変が起きた。体の中心から切り裂かれる感覚に陥った。慌てて自分の体を確認すると何も起きていない。しかし体が開かれている感覚になっている。そして、内臓が取り除かれる感覚が襲ってきた。胃、小腸、大腸、食道、肺とどんどん取られていく。最後に心臓を取られた。自分でも死んだと思ったが生きている。試しに声を出してみたがしっかりと声を出すことが出来た。不思議だなと思っていると、胴体の肉を取られていく。最初に腹筋を取られ、次に背筋。骨についている肉はスプーンのようなもので削られていく。自分のおなか、背中に手を持って行くがしっかりと肉はついている。不思議という感覚から恐怖へと変化していった。しかしこれらの出来事は一切痛みを伴っていない。それがまた自分に恐怖を与える。そのため部屋の端っこに移り、体育座りをしていると、手足を切り落とされる感覚があった。まさかと思い、確認するがしっかりとある。何が起きているのか全く分からない。ただ、自分から取り除かれる感覚だけが襲ってくる。何が何だか分からないので走り回り気を紛らそうとした。しかし、うまく走れない。なぜか、ぎこちなくなり転んでしまう。先ほどからの出来事は実際に自分の体に起きていることなのかと思い、さらに恐怖が増した。とりあえず立てるかを確認しようと思い、立ち上がった。大丈夫だ。しっかりと立つことが出来る。安心していると、首の付け根から背骨を取り除かれる感覚があった。まさかと思ったその時、立っていることが出来なくなった。そのまま、床に倒れ込んでしまった。再び立つことが出来ない。そもそも、動くことが出来ない。自分の身に何が起きているのか分からない。先ほどまではなにかを取られる感覚はあったがそれらのものは存在し、機能していた。しかし今の自分の体は何も機能していない。ただ死んではいない。そして、頭をかち割る音と感覚が同時に襲ってきた。そのまま、脳を取り除かれた。取り除かれる最後の感覚とともに自分は気を失った。

気づいたら目を覚ました。どのくらい気を失っていたのだろう。何もないので分からない。最初と違い、ここに来てからの記憶はある。体中を解剖された記憶はある。先ほどは最後立つことが出来なかった。恐る恐る立ち上がってみる。立つことが出来た。走ってみた。走れる。体中がスムーズに動く。体が戻ったととりあえず喜んでいると、周囲に異変があることに気づいた。1つの扉がある。近づいてみるとちゃんとした扉であった。しっかりとドアノブもある。この扉を開けようとしたが、ためらった。これまで奇妙なことが起きすぎているため、このキューブの外側がどのようになっているのか考える必要があると思ったからだ。一番最初に思いついたのは、地球が崩壊していること。次になにかの実験する施設の中であること。そもそも夢なのかも知れないと思い、自分の頬をつねってみた。しっかりと痛かった。この空間に入ってからはじめの痛みであった。しかし、もうキューブの中にいては進むことが出来ないと考え、その扉を開け外に出てみた。そこには自分が想定してものはなかった。そこには荒野が広がっていた。そして自分の体が少し軽い。どうせアメリカやアフリカのどっかだろうと思った。それはそれでおかしいが、そうでないとおかしいと自分に言い聞かせた。なにかないか周囲を見渡した。少し先に、棒のようなものが地面に突き刺さっていた。そしてその棒になにか書いてある。その文字を確認するために近づいてみることにした。近づいている途中で、やはり自分の体が軽いことが気になった。まさかと思いながら、書いてある文字を読むと「バララ星」と書いてあった。どっかで聴いたことがあるなと思いながら上を向くと、地球があった。目を擦って確認したがやはり地球であった。自分の嫌な予感は的中した。ここで自分は絶望した。しかし、こんなに星ってしっかりと見えるっけと思いながらその場に寝転んだ。


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