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「子育て」という共通項で、初めて元ヤンのイトコと少し分かり合えた話

少し前に叔父が亡くなったので、お盆は叔父の家へお参りに行きました。

そこには葬儀の際に久しぶりに再会した、いとこの姿がありました。

私と彼女は同い年。小さい頃からよく遊び、同じ小学校、そして中学校へ通いました。

私たちが通っていたのは、地元でも有名な超不良中学。

先生への嫌がらせや、生徒同士のケンカで教室の窓ガラスが割れるのは日常茶飯事でした。一部不良女子は髪を染め、短いスカートにルーズソックス。男子はパンツが見えんばかりの腰パンに金髪、タバコを隠れて吸っている……といった具合でした。(令和の時代、こんな中学あるのかな? あったらぜひ教えてください 笑)

私は不良グループとは一定距離を取り、ただただ目立たぬよう過ごしていましたが、いとこは気付いたら不良グループのいちメンバーに……。こうなると、いとことはいえ、もはやただの怖いヤンキー女子です。気付いたら話すこともなくなり、大人になってからも会うのは親戚の葬式のときぐらい。一生、交じり合うことのない人なんだろうなと思っていました。

叔父の葬儀のときはバタバタしていたため、ゆっくり話す時間もありませんでしたが、今回のお参りでは彼女がお茶とお菓子を用意してくれたので少し話す時間がありました。

「毎日大変だよね」

開口一番、そういった彼女の表情は疲れ切っていました。

荒っぽい言葉の端々に中学当時の面影を感じさせるものの、彼女は今や二児の母です。旦那さんは仕事が相当忙しいようで、彼女は働きながらのワンオペ生活が基本。子どもたちの日々のお世話から保育園や習い事への送迎、そして自分の仕事……と慌ただしい毎日を過ごしているようでした。

夫をなかなか頼れない大変さ、夏休みならではの学童問題、子ども会のイベントの話などなど。子どもの数がすべてではないとはいえ、私は子どもは一人だし、彼女よりは夫に頼れる環境にある。それでも、働く母親ならではの苦労は想像できるし、共感できる。

私は私で、去年復職したこと、気付いたら休職していたこと、そして今はぼちぼち働いている…といった近況をぽつぽつと話しました。いとことは出会ってから38年も経つというのに、初めて自分の言葉で、自分の素直な気持ちを伝えられたように思います。

「子育てをしている」

たったこれだけのことで、不思議と人とのつながりが生まれる瞬間があります。その瞬間だけは、相手との違いを超えて、少しだけ分かり合える。

子どもが生まれる前のように、思い立ったときに飲みに行ったり、遊びに行ったりする自由さはもうないけれど、息子という存在を通して、新たに生まれる繋がりがあるのは確か。これって実は、子育てのよろこびの一つかもしれないな……などと感じた、元ヤンいとことの再会でした。

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