見出し画像

深読み:グランジ

グランジ・ロックと呼ばれるジャンルがありまして、1989年頃からアメリカ・シアトルを中心に興った潮流のことを指します。ニルヴァーナやパール・ジャム、サウンドガーデン、ダイナソーJr.、マッドハニーといったバンドが代表格で、彼ら彼女らの服装は、ダメージジーンズとスニーカー、ネルシャツやTシャツといったいわゆるアメカジで、とてもラフなスタイルでした。

僕が洋楽を聴き始めたころは、90年代前半でしたので、グランジブームもそろそろ落ち着いてきた頃だったと思います。カート・コバーンが1994年に亡くなり、グランジブームの終わりを告げました。また新しい波が押し寄せてきました。それは、ミクスチャー・ロック(和製英語)と呼ばれるジャンルで、レッド・ホット・チリ・ペッパーズやレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンを中心としたバンドがシーンを盛りあげました。

グランジもミクスチャーも、オルタナティブ(もう一つの、代替の、別の潮流という意味)と一括りにされる音楽シーンの潮流で、当時ヒットチャート上位を独占しているメジャーな音楽に対して、アンチテーゼを突きつけるがの如くコアなファンの支持を受けながら活動するアーティストのことです。

その意味では、ヘヴィメタルの正統派と呼ばれる、アイアン・メイデンもジューダス・プリーストも、昼間はアルバイトしながら小遣いを稼ぎ、夜は地下のライブハウスでライブをする。アンダーグラウンドの住人でした。その意味では、オルタナティブと呼べると思います。アメリカ西海岸で興ったスラッシュメタルシーンのメタリカもアンスラックスもそうでしょう。
グランジは、ロックのロックらしさを体現していたように思います。僕が好きなのは、そのグランジが醸し出していたロックの体臭だったのかもしれません。黒ジーンズに黒Tシャツに、ブーツという服装がかっこよく映りました。

グラムメタル(LAメタル、ヘアーメタル)が化粧をし、髪をスプレーで立ててチャラチャラしたいたのに対して、ひげも剃らない、洗顔もしていないようなネルシャツの小汚い服装をしたカート・コバーンの身なりがそれを象徴していました。大掛かりなステージセットで大人数を集客するガンズ・アンド・ローゼスのような大物バンドに対して、小さなライブハウスで、コアなファンと一体となってライブを行うサウンドガーデンやスマッシング・パンプキンス。

2000年以降でいうなら、ポストロックと呼ばれるジャンルのバンドがそれに近いです。例えば、日本のMONOやアメリカのモグワイなどです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?