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(読書メモ)プロダクトマネジメントのすべて

PdMの業務内容やキャリア等について、非常にわかりやすく記載されていました。個人的に気になったところを記載していきます。

プロダクトの成功

プロダクトの成功は「ビジョン」「ユーザー価値」「事業収益」の3要素が影響するが、これらは相互作用するため、バランスを保つことが重要。
(例)ユーザー価値と事業収益は向上していても、ビジョンはかなえられていないケースもある。

また、プロダクトステージごとに成功の定義は異なる。0→1フェーズ(スタートアップ/大企業の新規事業ともに)では、PMF(プロダクトマーケットフィット)を見つけることがプロダクトの成功になる。

1→10フェーズでは、ユーザーから期待される機能開発により、安定した事業収益を目指すことが成功になり、10→100フェーズでは、グローバル展開も含めた多くのユーザーに使われる責任のある堅牢な仕組みをつくることが成功になります。

プロダクトの成功のために存在するPdMは、ビジネス×UX×テクノロジーの3要素全領域に基づいてプロダクトのかじ取りをします。エンジニアがつくるソフトウェアだけではなく、マーケや営業、CS等を含めた広義のプロダクト(事業)の成功に責任をもちます。

また、よいプロダクトを生むには、関係者全員が「プロダクト志向」を持つ必要があります。例えばエンジニアはソフトウェアとしての設計/実装ではなく、どのようにユーザーに使われ、事業に価値を与えるのかを考えることが求められます。

PdMは以下6つのスキルが求められます。
・発想力
・計画力
・実行力(机上の空論で終わらせないため、各種基礎知識も必要)
・仮説検証力
・リスク管理力
・チーム構築力(ソフトスキル:心理的安全性や交渉力等、ハードスキル:開発手法やDevOps等の運用手法等)

プロダクトを育てる

PdMはプロダクトのCore、Why、What、How(基本は上位概念が下位概念の前提)の4階層すべてに責任を持ちます。ただ、Howの部分で実際に手を動かす必要はないです。

Coreは、プロダクトのミッションビジョン/事業戦略で、ステークホルダーと協業して検討します。

Whyには、「誰をどんな状態にしたいのか」と、「なぜ自社がやるのか」の二点があります。マーケや事業企画部署、UXリサーチャーと協業して検討します。方法論としては、MVPやユーザーインタビュー、PEST分析等です。

Whatは、Whyを実現するソフトウェアの内容で、ユーザー体験およびビジネスモデル(コストや収益構造)から構成されます。UXデザイナーや事業企画部門と協業します。方法論としてはペルソナやカスタマージャーニーマップ、ビジネスモデルキャンバスや指標(KPI等)等です。

HowはWhatを実現するための実現方法で、基本的には各部署(エンジニア/マーケ/CS等)が中心となって行います。PdMは自身が手を動かすことはほぼないですが、プロダクトバックログ(プロダクトに求められる機能や仕組みのリスト)を常に更新したり、ユーザーへのプロダクトを提供する仕組み(利用規約、価格設定、マーケ施策、営業部隊の構築等)を整える「Go To Market(GTM)」を実行します。

各階層毎に、仮説検証のためのユーザーインタビューが求められます。また、プロダクトをいきなり作りこむのではなく、MVP(実用最小限の製品)を作り、仮説検証を繰り返すことが不可欠です。

※MVPについてわかりやすい記事があったので補足

プロダクトの置かれた状況を理解する

PdMが考慮するプロダクトの置かれた状況は、「プロダクトステージ(プロダクトライフサイクル)」「ビジネス形態」「ビジネスドメイン」「技術要素」の4つです。
※本noteでは、上記のうち最初の2つを取り上げます。

プロダクトライフサイクル

プロダクトライフサイクルは、プロダクト/サービスが市場に投下されてから、時間の経過とともに売り上げがどうなるかを示したものです。導入期→成長期→成熟期→衰退期(→延命期)の5つの段階に分けられます。

①導入期
導入期は、まだプロダクトが市場に受け入れられるか不明なため、モックやMVPを開発し、ユーザーインタビューを実施してFBを受ける段階です(収益はまだ上げられないフェーズ)。

②成長期
プロダクトが収益を上げることがわかり、グロース施策をうちます。UIUX改善だけでなく、マーケ施策もうちだし、認知度も効果的にあげるフェーズです。

③成熟期
市場への浸透がすすみ、収益の見通しが立ちます。他社からも市場の存在/収益性について知られるようになり、競合他社が参入してくるフェーズです。

④衰退期
プロダクトがマス市場に浸透し、ユーザー獲得も緩やかになり、収益性が落ち込むフェーズです。ユーザーの人生/生活の変化により必要となるプロダクトも変わり、他社も次期プロダクトや新規サービスをだしてくるフェーズです。

⑤延命期
自社他プロダクトとの組み合わせ販売(バンドル)や、値下げ等でプロダクトの寿命を延ばす段階です。

各フェーズのPdMの役割

①0→1フェーズ:イノベーター系PdM
上記導入期~成長期の途中までを指します。スタートアップではシード~シリーズAフェーズです(大企業の新規事業ポジションでもありうる)。ユーザー目線を意識(ターゲット選定含)しながら、仮説検証を大量にまわし、資金枯渇の前にPMFを見つける必要があります。

PMFに達したかどうかは、収益をあげられているか(開発すればするほどユーザーがついてきて、収益もついてくる)で判断可能です。

②1→10フェーズ:グロース系PdM
成長期中盤~成熟期を指します(所謂グロースステージ)。資金枯渇を防ぐために、ユーザーからの高まる期待に応える目先の成長のための施策が多くなりがちですが、数年単位での長期施策の検討も必要なフェーズです。

③10→100フェーズ:タウンビルダー系PdM
衰退期~延命期を指します。巨大なユーザー数を抱え、要望やユースケースも多様化します。収益拡大についてかなりのボリュームを求められるので、プロダクトの機能単体で収益を上げるレベルではなく、企業アライアンスでのプロダクト適用範囲やユーザーの拡大、買収によるプロダクト統合、他業界への進出等がよくある手法です。

④プロダクトの終焉
技術革新やマーケット環境の変化、法規制の変更、自社ビジネス環境の変化等によって、必ずプロダクトは終焉を迎えます。

ビジネス形態による相違点

①toCプロダクト
toCプロダクトは、課題解決のドメインが理解されやすい特徴があります。また、ユーザーへのアクセス(FBを受けにいく)も比較的容易です。簡単にプロダクトを取得できるので、競合に真似されやすいという傾向もあります。

そうした「ユーザーFBを素早く受けやすい」「他社に真似されやすい」という特徴から、PdMには機敏さ(FBや他社動向の分析→仮説検証)が求められます。また、ユーザー数が膨大になり社会インパクトも大きいこともあるため、高い倫理観が求められます。

②toBプロダクト
toBプロダクトは、企業の経済課題を解決するもののため、対象企業の業界/ドメインへ深く根差す必要があります。ユーザーのビジネスプロセスや企業のステークホルダーに大きな配慮が必要です。

そのため、営業が顧客からうけた多くの機能要望をあげがちですが、PdMは議論/優先度づけを行います。本来つくるべき機能の優先度を下げ、目の前のユーザー要望だけを開発すると、社内受託開発企業のようになるため要注意です(特にCEOが営業出身の場合)。

また、toCと比べると、FB収集にタイムラグが生じます(新機能をリリースしても、CSによる個別オンボーディングを経ないと、ユーザーがすぐに使うことはあまりないため)。

上記の特徴から、PdMには、業界/ドメインへの深い関心、ステークホルダーを取り巻く想像力およびプレゼン力、優先度のつけ方(営業の機能改善要望について、背景/本当の改善点を推察し、本当に作るべきプロダクトをつくること)が必要なスキルになります。

PdMの成長

PdMに必要なビジネス/UX/テクノロジーを最初から兼ね備えた人はいないため、まずはどこかに軸足をおき、そこから他の領域へ少しずつ広げていくことで、PdMへの道が開けます。

また、I型人材(1領域の専門性)やT型人材(1領域の専門性×隣接分野への造詣)、π型人材(T型+もう一つの専門性)といった人材も出るがありつつ、PdMはW型人材モデル(T型を広げつつ、各領域がシナジーを生んでいる状態)が求められます。

※以下わかりやすいので記載

PdMは誰よりもユーザーを理解し、解決しようとする問題を多面的に語れ、形に落とし込んでユーザーに提供できることが必要です。知識の深さについては、担当の発言内容がわかり、質問でき、コメントから視点を広げられるかがポイントです。

PdMのエントリーレベルでは、プロダクトの一機能を担当するなど、極めて小さい領域をもつことが多いです。そこから、小プロダクトの全領域or大規模プロダクトの一機能のPdM→プロダクト全体を担当→他PdMのピープルマネジメントや組織作り→全社プロダクト戦略、といったように領域を広げていきます(一例)。

PdM後のキャリアとしては、起業してCEO、エンジニアリングディレクターやCTOといった技術トップ、コンサル、職種変更(デザイナーやデータサイエンティスト等)、ベンチャーキャピタル、といった多様なものがあり、キャリア選択肢はかなり増えます。

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