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引き金が引かれたローテーション:金融・保険セクターに注目

 SPDRブランドのETFで知られるステート・ストリートのストラテジスト曰く、セクター・ローテーションの引き金をひいたのは、インフレ・データが予想を下回ったこと、パウエル議長が利下げを示唆したこと、そして、インフレ率が2%に下がるのを待たない、という3つのポジティブ・ニュースが重なったことと指摘。引き続き、ローテーションは継続する可能性があり、業績改善の見込まれる金融セクターや市場での価格決定力を持つ保険業界に注目しているとしています。以下に彼の見解を紹介します。


Yahoo Financeより
(Original Published date : 2024/07/31)

[出演]
 ステート・ストリート グローバルアドバイザーズ
  マイケル・アローン(Michael Arone)
  US SPDRビジネス チーフインベストメントストラテジスト

 Yahoo finance
  シーナ・スミス(Seana Smith)
  ブラッド・スミス(Brad Smith)


【インタビュー】

 
[シーナ・スミス](Yahoo finance)
 今日は7月の取引最終日で、半導体関連株が好調です。特にNVIDIAが先頭に立っています。この数週間、大手ハイテク企業にとっては厳しい状況が続いています。NASDAQは、今年最悪の月になりそうですが、一方で小型株へのシフトが進んでおり、Russell 2000は2024年で最も良い月次パフォーマンスを記録する見込みです。
 この小型株へのシフトについて、そして今後の見通しについて、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズのチーフインベストメントストラテジスト、マイケル・アローネさんにお話を伺います。

 マイケルさん、本日はありがとうございます。再び半導体関連株に対する期待が高まっているようです。特にNVIDIAが本日の取引開始時点でマーケットを主導しています。最近のハイテク株から小型株へのローテーションについてどうお考えか、また、今日の買い戻しの動きは、下落しているいくつかの銘柄の上昇を示唆するものなのかどうか、興味があります。

[マイケル・アローン](ステート・ストリート)
 今回のマーケットのリーダー銘柄の交代には、ポジティブなニュースが3つ重なったことが影響したと思います。まず、予想よりも低いインフレ・レポートがあったこと。またそれに続いて、パウエル議長が金利の引き下げに前向きな姿勢を示したこと。本日のFOMCでも長期間の高い金利のリスクについても言及しました。また、インフレ率が2%に達するのを待つ必要はないということも、市場に伝えています。その結果として、金利が低下し、マーケットを牽引するリーダー銘柄の交代が見られました。
 今回の決算シーズンで興味深いのは、マグニフィセント・セブンのような高価格の銘柄にとっては、良い決算であってもそれが必ずしも十分ではないということです。彼らは、トップラインでもボトムラインでも予想を上回る結果を出しているのに、クラウドコンピューティングであれ、YouTube広告であれ、わずかな減速が株価の足かせとなっています。ですので、リーダー銘柄の交代は、今後も継続する可能性があると考えています。

[ブラッド・スミス](Yahoo finance)
 現在のフローから見て、変化はどのような方向に向かっているのでしょうか?

[マイケル・アローン](ステート・ストリート)
 業績を見ていると興味深いことがいくつかあります。
 四半期の初めには金融セクターはあまり期待されていませんでしたが、今月は金融セクターが最も好調なセクターの一つとなっています。特に銀行の業績予想が劇的に上昇しているのが分かります。イールドカーブが急勾配になり、短期金利は下落し、長期金利もそれほど下がっていないため、収益性が非常に高まっています。金融機関は配当や自社株買いを通じて株主に資本を還元していますので、金融セクターは引き続き魅力的な分野だと思われ、その一環として、金融セクターへのローテーションを見ることができます。

[シーナ・スミス](Yahoo finance)
 金融セクター内では、どこに一番の機会があると思われていますか?
地域銀行を評価されていますか?それとも、ローテーションやFRBから予想される発表を考えると、より大きな銀行にチャンスがあるとお考えですか?

[マイケル・アローン](ステート・ストリート)
 大手銀行に注目しています。投資銀行業務やM&A活動が活発になっているため、収益も向上しています。事業の幅広さも魅力的です。JPモルガンやバンク・オブ・アメリカなどの大手のマネーセンターバンクは収益が好調で、ガイダンスも上向いています。経済が順調に推移しているため、金利が下がる中で貸出成長も期待できます。金利についての動きは、彼らの財務健全性と収益性を改善しています。
 また、保険業界も注目しています。保険業界は価格決定力を持っています。住宅保険や自動車保険を持っている方ならご存知の通り、コスト構造があまり変わっていない時期でも保険料が大幅に上昇しています。そのため、保険業界も金融セクター内で注目していますし、大手銀行も引き続き注目しています。

[ブラッド・スミス](Yahoo finance)
 今日は大きなFRBの決定がありますね。まあ、大きいとは言えないかもしれませんが。
 市場の予測を見てみると、現状はほぼ変わりません。では、今日のFRBの発言が9月の利下げにつながる可能性はどれくらいでしょうか。

[マイケル・アローン](ステート・ストリート)
 リスクはダウンサイドに偏っています。市場は9月にFRBが利下げを開始することを100%確実視しているためです。このような状況では、今日のFRBにとっては選択肢がほとんどない状況です。皆がFOMC声明で利下げが示唆されることを期待しており、FRBは「インフレが2%の軌道に向かっていることに自信を持ち始めた」と言うと思います。パウエル議長は会見後の記者会見でこの点をさらに強調すると思いますが、もしそうでなければ、市場は否定的な反応を示すでしょう。
 9月の利下げが100%確実視されていることは、今日のFRBにとっては、選択肢がほとんどないということです。彼らが期待に応えなければ、市場の反発が予想されます。

[ブラッド・スミス](Yahoo finance)
 ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーの米国SPDR事業チーフ・インベストメント・ストラテジストのマイケル・ローンさんでしが。今朝はありがとうございます。


以上です。


御礼

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だうじょん


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