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8/2 雇用統計発表前の機関投資家の市場認識(ゴールドマン・サックス)


 7月31日(水)のFOMCの翌日に録音されたゴールドマン・サックスのポッドキャストです。8月2日(金)の雇用統計(7月)の失業率 4.3%という数字が発表されることを知らない彼らの市場見通しについての見解が示されています。
 FOMCで利下げの道筋が見えた翌日に、金曜日の雇用統計にしっかりと注目をはらっていたことが分かります。この時点では、先々のマーケットに前向きで余裕のある見解を示していましたので、最前線の機関投資家の方も、4.3%は想定できていなかったのではないでしょうか?
 いずれにせよ、僅かなデータ値の上振れで、発表当日にこれほどまでにモメンタムが大きく変わるとは、、、(クワバラ、クワバラ … )




(1)インタビュー


[クリス・ハッセイ]ゴールドマン・サックス・リサーチ
 
FRBが金利を引き下げる準備をしているようですが、それは投資家にとって何を意味するのでしょうか?
 今週のゲストは、ゴールドマン・サックスのグローバル・バンキング&マーケットのグローバル・ヘッド・オブ・トレーディング・ストラテジー、ジョシュ・シフリンさんです。
 では、まずFRBについてお話ししましょう。7月31日(水)にパウエル議長が、経済が政策金利を引き下げるのに適した状態に近づいていると発言しましたが、この声明と記者会見から、どのようなことを感じ取りましたか?

[ジョシュ・シフリン]ゴールドマン・サックス
 明確なのは、FRBが金利を引き下げる準備をしているということです。
 失業率の上昇や労働市場の均衡、そしてここ数ヶ月のインフレ率の改善を考慮しており、金利を引き下げるための経済的な準備状況が整ったこと示しています。
 パウエル議長の記者会見からも、9月のFOMCで金利引き下げが議題に上がることが明らかになりました。これが基本方針だと思います。
 インフレが予想外に急上昇するなどの大きなサプライズがない限り、この方針は変わらないでしょう。金利引き下げの準備をしているのは間違いなく、その頻度も一度だけではないでしょうし、今や焦点は、金利を引き下げるかどうかではなく、そのペースがどのようになるかに移行しています。

[クリス・ハッセイ]
 では、そのペースについて詳しくお話ししましょう。現在、利下げの回数がどの程度織り込まれているのかを確認するための予測を含み、市場には、あらゆるものが存在しています。
 FOMC声明の後、市場は金利引き下げの回数を多く見込んでいるのでしょうか、それとも少なく見込んでいるのでしょうか?また、初回の金利引き下げは9月になるのでしょうか、それとももっと後になるのでしょうか?

[ジョシュ・シフリン]
 市場は、金利引き下げをやや多く織り込んでいます。
 議長は9月に金利引き下げが議題に上がることを記者会見で明言しましたし、質疑応答全体のトーンも、市場が予想していたよりもややハト派的だったと思います。初回の金利引き下げは9月になると考えています。

[クリス・ハッセイ]
 FRBは、これを単に金利を正常化するために行っているのでしょうか、それとも労働市場の弱さに対応するために行っているのでしょうか?
彼らが注目しているデータは何でしょうか?

[ジョシュ・シフリン]
 現状の政策金利は約5.3%で、これは4%以上のインフレ率に対応して設定されました。しかし、最近ではインフレ率がおおよそ2.5%まで下がり、目標にはまだ達していませんが、大きな進展があります。同時に、失業率も中盤の3%台から4%台前半に上昇しました。
 失業率の上昇や求人の減少などの指標を見ると、労働市場も大体バランスが取れているか、あるいは不均衡が解消しつつあるようです。したがって、経済全体を見ると、インフレの減少、労働市場の再均衡、失業率の上昇が見られ、昨年半ばに設定されたような厳しい政策設定が今では必要ないと考えています。
 尚、政策金利をどれくらいの速さで引き下げるかは、今後のデータに大きく依存すると思います。もし労働市場がさらに弱まり、それが顕著になれば、経済の弱体化に対応して利下げのペースと規模が増加する可能性があります。インフレ率が目標に向かって緩やかに下がり、経済成長が全体的に健全で、労働市場が現在の水準で安定する場合、利下げのペースは四半期ごとになると予想されます。これは現在の基本シナリオだと思いますが、経済の弱体化が見られた場合には、速やかにペースを上げることも躊躇しないでしょう。

[クリス・ハッセイ]
 さて、マーケットについて話しましょう。
 金利が下がると、理論的には株式にとって良いことだと思いますが、株と債券のどちらが有利だとお考えですか?
金利が下がると債券にも良い影響があると思いますが、その点についてはどうでしょうか?

[ジョシュ・シフリン]
 確かに、FRBの政策金利引き下げの見通しは短期債のパフォーマンスと密接に関連しています。また、金融環境が全体的に緩和されることで、株式や債券などの広範な資産にとっても一般的に良い影響がありますが、状況によって異なります。
 株式市場は全体的にレンジ内での動きが多く、セクター間での回転も多いです。昨日のラリーを考慮すると、指数レベルでの動きは控えめでした。
 最近の動きとしては、債券市場がより反応しており、経済が弱くなり、FRBが金利を引き下げる準備をしているという明確なストーリーがあります。現時点では、9月の会合での25ベーシスポイントの利下げと、今年および来年にさらなる緩和が完全に織り込まれています。したがって、債券市場は特に雇用とインフレに関するデータを注視し、今後の動きを判断するでしょう。

[クリス・ハッセイ]
 最後の質問です。8月の展望について教えてください。今週は多くのデータが出ましたが、8月には債券市場と金利を判断するためにどのような点に注目していますか?

[ジョシュ・シフリン]
 労働市場データ、特に雇用統計や失業率に注目しています。労働市場に関連するデータ全般が重要だと思います。
 FRBも市場も、労働市場の鈍化が高い水準から健全に緩やかになっているのか、それとももっと懸念されるような大幅な鈍化なのかに注目しています。したがって、労働市場に関するデータは私にとって非常に重要です。
 そして、あなたが何に注目しているかを聞いたので言いますが、オリンピックも観る予定です。特に陸上競技は私のお気に入りなので、こちらも楽しみにしています。

[クリス・ハッセイ]
 そうですね。バスケットボールではNBAドリームチームにも注目しています。ジョシュ、今週のマーケットについてのお話し、ありがとうございました。

[ジョシュ・シフリン]
 こちらこそ、お招きいただきありがとうございます。


(2)オリジナル・コンテンツ

Goldman Sachsチャネルより
(Original Published date : 2024/08/02)

【出演】
 ゴールドマン・サックス
  グローバル・バンキング&マーケッツ トレーディング・ストラテジー
  グローバル・ヘッド
  ジョシュ・シフリン(Josh Schiffrin)

 ゴールドマン・サックス・リサーチ
  クリス・ハッセイ(Chris Hussey)



以上です。


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だうじょん


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