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豪雪地帯で10,311回の試行錯誤を経て作り上げた日本ワインの原点「マスカット・ベーリーA」と岩の原ワイン「深雪花」

みなさん、こんにちは。
でびゅたん講師の丸山です。

本日は、日本が誇るワインの品種「マスカット・ベーリーA」、その品種を開発した”日本のワインぶどうの父こと「川上善兵衛」と彼が開演した葡萄園が起源の「岩の原ワイン」についてご紹介したいと思います。

マスカット・ベーリーAという品種は日本を代表するワインとして、世界でもその地位を確率しています。この品種の開発は、雪深い新潟の地での10,311回にもおよび交配から生み出されたという記録があります。また、品種の開発者である川上善兵衛がワイン作りを始めたきっかけには、幕末のキーパーソンの一人である「勝海舟」が関係しているなど、いずれも壮大なストーリーと歴史が存在しています。

長く続くコロナウイルス感染症や再度の緊急事態宣言を受け、家で食事やお酒を楽しむ機会が増えているかと思いますが、その際に日本ワインの歴史を受け継ぐ一本をそのお供にするのはいかがでしょうか。

今回紹介する岩の原ワインですが、実は身近なお店や通販サイトで買うことができ、お値段も2000円ほどとコスパも抜群ですので、気になった方はぜひ今夜の一本に選んでいただけるとうれしいです。

若い当主が抱える悩みの解決策、それこそが「葡萄作り」

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(画像引用元:Wikipedia - 川上善兵衛

王政復古の大号令、戊辰戦争、五箇条の御誓文、江戸城無血開城、そして明治が始まった1868年、川上善兵衛は現在の新潟県上越市に大地主川上家の長男として生まれました。

大地主の家ということで「越後に川上あり」と中央にも名が知られる家に生まれた彼でしたが、父が若くしてなくなってしまい、なんと7歳で川上家の当主になることとなります。

また、幼いことから厳格な教育を受けるなかで、明治という時代の変化を感じながら育ち、慶應義塾(現在の慶應義塾大学)に進学。その際、見聞を広げるために、かつてより家ぐるみで親交があった勝海舟の元を訪問するようになります。

勝海舟との出会いが彼のワイン作りを後押しする結果になったことは言うまでもありません。勝海舟より振る舞われた「葡萄酒」、「欧米の食生活に不可欠な葡萄酒(=ワイン)がやがて日本にも普及するだろう」という談話は、元々彼が抱いていた地元新潟の農作事情に対する悩みの解決策にもつながるものでした。

幼少期より、豪雪による冷害、平野を横切る大小河川の洪水によってまとめにお米を作ることができない状況を目の当たりにしてきた彼は、雪の多い気候にあり、田んぼをつぶさず、荒れた土地や山の斜面を利用した作物を探していました。こうした条件に合うのが作物が葡萄だったのです。

そして、彼は1890年に地元新潟の地に念願の「岩の原葡萄園」を開園しました。

日本の気候にあった葡萄作りへの決意が生んだ「マスカット・ベーリーA」

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しかし、創業すぐから栽培がスムーズに進んだわけではありませんでした。この頃、海外から苗木を輸入し、そのまま新潟の地で栽培をしようとしていました。

豪雪対策として竹の柵を作り、冬場は雪の下で葡萄を栽培や梅雨を見越した肥料の加減、剪定などさまざまな工夫を実施しましたが、充分な成果を得ることはできませんでした。こうした背景より、彼は新潟の気候風土に適した葡萄の品種改良を決意します。

この品種改良の結果、22種類もの優良品種を作ることに成功し、そのなかの一種がマスカット・ベーリーAです。ちなみに、22種類もの品種を生み出すのにかかった交配回数は、なんと10,311回だったといわれています。

その後、マスカット・ベーリーAは日本全国で栽培をされ、現在では日本ワインの主力品種となっています。

「マスカット・ベーリーA」は濃密なのに果実味がたっぷりな元気な葡萄

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(画像引用元:Amazon - 図解ワイン一年生 Kindle版

ここからはマスカット・ベーリーAの味わいや香りについて解説します。

まず、でびゅたんのテキストである「ワイン一年生」での紹介を見てみますと、”シャイな甲州をひっぱる元気っ娘。ほのかにただよう黒蜜と赤い果実のフレーバー”の一文と、赤いリボンをつけた活発な女の子イラストで説明がされています。

同じくワイン一年で甲州は“シャイで口数が少ない”と表現されていますので、マスカット・ベーリーAはその対照的なキャラクターを持った品種になりますね。

私も、「ミルキーななかにある酸味」がマスカット・ベーリーAの特徴だと思いますので、蜜と酸味のバランスこそがマスカット・ベリーAの醍醐味と言えるでしょう。

実際に飲んでみると、ライトボディで飲みやすく、ワインを普段飲まない方でも飲みやすいワインです。イチゴなどのフルーティーな風味とともに、樽を使ったミルキーな味わいが普段の食事に寄り添う形で邪魔をせず和食はもちろん様々な料理に合わせやすい一本です。

豪雪地帯という特性を生かした雪を活用したワイン「岩の原ワイン」

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豪雪地帯という環境だからこそマスカット・ベーリーAを始めとした、川上善兵衛が作り出したさまざまな葡萄を使用したワインが岩の原ワイン特徴にありますが、生産工程や熟成にも他に類のない特徴があります。それは、「雪」の活用です。

良質なワインを作るためには発酵や熟成時の温度管理が重要ですが、岩の原ワインではその調整に雪を使用しています。冷房設備が無い時代に、ワイン熟成に雪室をもうけ、雪を保存し、必要な際に冷却材として使用しています。現在でも、CO2発生削減を目的に雪室を使用しているとのことです。

また、雪を直接熟成に利用するケースもあるなど、新潟の気候を生かしたワイン造りに挑戦をしています。

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そのなかでも、今回私がオススメするのはマスカット・ベーリーAを使用した「深雪花 赤(みゆきばな あか)」です。ミルキー且つ葡萄のしっかりとした酸が味わうことができ、じっくりと熟成を重ねた風味を感じることができる一本です。

もちろん、深雪花の白ワイン「深雪花 白」もあります。こちらはワインの葡萄品種として非常に有名な「シャルドネ」と、川上善兵衛が開発した品種「ローズ・シオタ」を用いた、和と洋の合作による一本です。淡麗辛口なドライな飲み口とスッキリとした味わいのため、飲み手やシーンを選ばずに楽しめるワインになります。

また、深雪花は2,000円ほどで購入でき、公式オンラインショップはもちろん、ビックカメラが運営する「ビック酒販」でも購入が可能です。ビック酒販の場合は、商品ページより店舗在庫があれば指定の店舗で在庫を確保でき、店舗受け取りはもちろん、場所によっては当日配送での受け取りもできます。極力外出を減らすという厳しい現在の状況下ですので、自宅でのおいしいワインのひと時ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

「肉だから赤ワイン」ではなく、色・味の濃さであわせるマリアージュ

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でびゅたんでは、毎年1月「おせちと日本ワイン会」を開催しております、今回は「和食とワイン」をテーマに、手ごろに買えるおつまみ「缶つまシリーズ」と「深雪花」のマリアージュをご紹介します。

最初に、白の深雪花との組み合わせです。

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岩の原ワイン「深雪花 白」

缶つま 牛タン焼き ねぎ塩だれ
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先ほどもお伝えしましたが、深雪花 白は淡麗辛口のすっきりとした味わいが特徴のワインです。そして、グレープフルーツやレモンなどの柑橘類の香りに加えて、熟成に用いる樽の香りも感じられます。ですので、おつまみの持つ風味とマッチしつつも、ワインの持つ個性も味わうことができます。

こうした特徴より、今回深雪花 白とあわせるおつまみとして「缶つま 牛タン焼き ねぎ塩だれ」を選びました。

ワインとお食事を合わせるポイントとして、食事の色と味の濃さをあわせてみるというものがあります。例えば、肉料理でも、醤油で味付けをしてあれば赤、塩で味付けをしてあれば白ワインと、それぞれあわせてみようということです。

缶つま 牛タン焼き ねぎ塩だれは、その名の通りねぎ塩だれで味になりますので、柑橘系の香りが主体の深雪花との相性が良いです。また、深雪花 白の持つ樽由来の香りが、濃い味のおつまみに絡むことで味わいをさらに引き立ててくれる点も、この組み合わせの特徴です。

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続いて、赤の深雪花との組み合わせです。

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岩の原ワイン 深雪花 赤

缶つま 牛すじこんにゃく
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牛すじこんにゃくは醤油ベースのたれで煮込んでおり、甘じょっぱい風味が牛すじに絡んでいます。このような味の主張が強いおつまみに白ワインをあわせてしまうと、おつまみの風味にワインが負けてしまうことが多いので、赤ワインと組み合わせたいですね。

その際、深雪花 赤はミルキーな味わいと穏やかのイチゴの風味には、醤油の持つの甘さと塩味との相性が非常に良いのでオススメです。

進化し続ける日本ワインの飛躍はこれから

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日本のワインは、欧米のワインと比べてまだまだメジャーとは言えないの現状ですが、年々そのレベルは上がり続けています。それを裏付けるかのように、川上善兵衛が開発したマスカット・ベーリーAを使用したワインが国内のワインコンクールで賞を獲得したり、深雪花 赤が世界のワインコンクールで賞を獲得するしたりと、日本ワインは今まさに注目を集め始めているのではないでしょうか。私も、色々なワインを飲んでいますが、そのなかでも「深雪花シリーズ」は味、コストの両面からもトップクラスにお勧めできるワインだと思っています。

また、ワインとおつまみ(食事)をあわせる際に色と味から組み合わせるというお話しをしましたが、「地のもの」で合わせるのもオススメしたいですね。生産地域のお酒と食事があうように、ワインも生産地の食材とあわせることで、さらに美味しくいただくことができます。ワインを購入する際にぜひ試してみてはいかがでしょうか。

【参考】
岩の原葡萄園 公式ホームページ

ワイン一年生 Web版

ウィキペディア「川上善兵衛」

万葉風のページへようこそ「川上善兵衛」

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