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イタリア・フランス・スペイン、各国のスパークリング・ワインを飲み比べてみました! - でひゅたんイベントレポート #4 (2020.12開催)

怒涛の2020年も残り1ヶ月となった12月。
今年を締めくくるでびゅたんは「スパークリング・ワイン」にフォーカスにしました。

なぜこのタイミングでスパークリング・ワインを取り上げるのか、その理由をでびゅたん講師の丸山さんに聞いてみました。

丸山:12月はクリスマスや大晦日などのイベントが多くある月になり、その際にスパークリング・ワインを味わうこともあるかと思います。また、今年はコロナウイルス感染症の影響もあり、自宅で年末を過ごされるのではないでしょうか。

そこで、ホームパティや食事の際に、おいしくスパークリング・ワインを味わっていただきたいと思い、このテーマをチョイスしました。

今回は、でびゅたんでのイベントでも紹介したイタリア、スペイン、フランスの3つの国のスパークリング・ワインの特徴をお伝えしつつ、お店でスパークリング・ワインを選ぶときのポイントについても紹介します。

ワインの種類を確認してみましょう

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各国のスパークリング・ワインを紹介する前に、まずはスパークリング・ワインについて紹介したいと思います。

まず、ワインというものは4つの種類に分けることができ、その一種がスパークリング・ワインになります。

(1)スティル・ワイン
いわゆる赤、白、ロゼなど、炭酸のない(非発泡)ワイン。

(2)フォーティファイド・ワイン
酒精強化ワインとも呼ばれているワイン。ワインの醸造工程にアルコールを加えることで、ワインのアルコール分を強めたワイン。シェリー、ポートワイン、マルサラ、マディラなどが該当。

(3)フレーヴァード・ワイン
ハーブやスパイス、フルーツなどからの抽出液や果汁を加えたワイン。
代表例なフレーヴァード・ワインとしてサングリアがある。

(4)スパークリング・ワイン
スティル・ワインの工程後に炭酸酸をワインに閉じ込めたもの、あるいは二次発酵により瓶あるいはタンク内でワインに炭酸を加えたワイン。

スパークリング・ワインに使われる品種にはさまざまなものがありますが、「シャンパン」という名で知られているフランスのスパークリング・ワインに関しては、使われる代表的な品種としてシャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエなどがあります。また、スパークリング・ワインは、他のワインには無い年代(ヴィンテージ)をまたいでワインをブレンドするという手法が用いられております。

そのため、例えばスティル・ワインなら「ピノ・ノワール」「シャルドネ」などのそのワインに使用されている品種がワインボトルに記載されていますが、特定の品種のみを用いた品がそれほどなく、商品名に品種が記載されていないことがほとんどです。

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また、シャンパンに関しては、特定の条件で作られたもののみをシャンパンと呼べれるといった特徴も持ち合わせています。

そんなさまざまな特徴をスパークリング・ワインの魅力を、代表的な生産国ごとに紹介していきます。

フレッシュな味わいが特徴のイタリアのスパークリング・ワイン「プロセッコ」

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今回のでびゅたんでは、代表的な生産国であるイタリア、スペイン、フランスのスパークリング・ワインを飲み比べてみました。

初めに、イタリアより「サンテロ プロセッコ・スプマンテ エクストラドライ」をいただきつつ、イタリアのスパークリング・ワインを代表する「プロセッコ」について紹介します。

まずは、プロセッコとは葡萄の品集名ではありません。
プロセッコとは、葡萄品種の一種である「グレラ」を主に、グレラ・ルンガ、ヴェルディゾ、ペレラ、ピアンケッタなどイタリアの土着品種やシャルドネ、ピノ・ノワールなどを部ブレンドしたものを指します。

※正確には、2009年まではグレラ=プロセッコでしたが、法律改定により現在は上記規定となっています。

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(画像引用元:ENOTECA online - イタリアのスパークリングワイン「プロセッコ」とは?

そんなプロセッコの味わいは 、甘みと同時にフレッシュかつフルーティー感が特徴です。
このフレッシュかつフルーティー感は、スパークリング・ワインを製造する際の過程も影響をしています。

丸山:スパークリング・ワインは、アルコール発酵時に発生する二酸化炭素をワインに閉じ込めることで生産されます。その際、ビン詰めを行い、ビン内部でワインと酵母(イースト)を長時間じっくり接触させる(ビン内二次発酵)ことで仕込む作り方と、大型タンク内で大量かつ短期間で仕込む方法がありますが、プロセッコは後者に該当します。

大量かつ短期間で仕込むことで、酵母との接触が抑えられ、葡萄本来の香りが引き立つことでフレッシュかつフルーティー感な味わいが生まれます。味わいを楽しむことができます。

「シャンパン」はパンの香りがする?

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(画像引用元:Wikipedia(英語版) - Champagne

続いては、もう一つのスパークリング・ワインの製法、ビン内二次発酵で作られる「シャンパン」をいただきました。

今回は、シャンパン最安値(!?)をうたう「ポルヴェール・ジャック ブリュット」をいただきました。

ここでシャンパンと他のスパークリング・ワインとの違いについてを紹介します。

まず、シャンパンはフランスのシャンパーニュ地方で作られるスパークリング・ワインにのみその名称を与えられます。

そのシャンパーニュ地方ですが、フランスの首都パリのやや北東部に位置する地域を指します。そのため非常に冷涼な気候帯となりますが、この寒冷な気候が葡萄にキレのある酸を生み出しており、故にシャンパーニュ地方ではスパークリング・ワイン作りが盛んとなりました。

また、シャンパーニュ地方の土壌も葡萄に酸を与える要因となっています。
そもそもシャンパーニュとはフランス語で「石灰質の土壌」を意味しており、この地域の地下層のほとんどが石灰質となります。そして、石灰質の地層は水はけが良いことで葡萄が吸い上げる水分量に抑制され、ドライな酸味のある葡萄ができると言われています。

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次に、シャンパンはさまざまなワインとブレンドして作られている点が挙げられます。

では、なぜブレンドをするのか、その理由は寒冷な気候に主な原因があります。
非常に冷涼な気候がシャンパーニュ地方の特徴であるとお伝えしましたが、その寒冷が原因で毎年しっかり葡萄を栽培できるとは限らないそうです。葡萄の生産が安定をしなければシャンパンの生産量や味にも影響が出てしまいますので、その対策として様々な年のワインのブレンドしての生産がシャンパンでは行われるといった特徴があります。

そして、ビン内二次発酵によって作られる点もシャンパンの大きな特徴となります。

丸山:ビン内二次発酵のメリットは、きめ細やかな泡を生み出すことができることと芳醇な香りが挙げられます。ビン内でゆっくり仕込まれることでワインと酵母が長時間触れることでじっくりとワインに炭酸を閉じ込めることができます。

あわせて、酵母の香りもじっくりワインに染み込みますので、酵母のパンのような豊かな香りをシャンパンにもたらすことができます。この香りは他のスパークリング・ワインにはない、シャンパンならではですね。

ちなみに、ビン内二次発酵をじっくり行うために、発酵中にビンを少し回すことでワインと酵母を馴染ませる作り方をしています。このビンを回す作業ですが、以前は専任の作業者がおり、毎日全てのビンを手作業で回していたらしいです。ですが、ビンを回すだけの仕事なんて誰もしたくないですので、現在ビンを回す方の人材不足に陥っているそうです!

※現在は機械での作業が主流のため、困ってはいないらしいですが(笑)

スペインのスパークリング・ワイン「カヴァ」は洞窟暮らし

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最後に、シャンパンと同じくビン内二次発酵で作られるスペインの「カヴァ」をいただきました。

今回のカヴァは「ロジャーグラート ブリュット 2017」になります。

「カヴァ」はスペイン・カタルーニャ地方で作られるスパークリング・ワインの名称になります。これはフランス・シャンパーニュ地方のものをシャンパンと呼ぶのと同じです。

また、カヴァ(Cava)という言葉は、スペイン語で洞窟を意味しており、スペインのカタルーニャ地方の言葉では「セラー」という意味も持っています。 実は、このカヴァはかつて冷涼な洞窟内に保管、二次発酵を行うと言った製法で作られており、こうした流れに由来をしています。

では、スペイン版シャンパンであるカヴァと、本家シャンパンの違いにはどのようなものがあるのでしょうか。

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丸山:1番の違いは品種です。シャンパンは「シャルドネ」「ピノ・ノワール」「ピノ・ムニエ」と言った品種用いて作られますが、カヴァはこれらに加えてカタルーニャ地方固有の葡萄も使うことができます。これらの固有種を用いることで、カヴァはシャンパンに比べて酸味が穏やかという特徴があります。

また、固有品種の持つアロマ感も味わえます。このアロマ感は、土のようなミネラルっぽさを感じることができ、若干好き嫌いは分かれるかもしれません。その際は、シャルドネやピノ・ノワールを主に使ったカヴァを選ぶといいでしょう。

しかし、この独特味わいがまさにカヴァの特徴ですので、一度味わってみてはいかがでしょうか。

また、甘辛度の表記がありますので、食事などに合わせて選ぶといいでしょう。

※こちらはシャンパンやプロセッコにも同じ表記があります(言語の違いあり)。

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また、シャンパンとカヴァを選ぶポイントについて丸山さんよりコツを教えていただきました。

丸山:もし同じ価格のシャンパンとカヴァが目の前にありましたら、カヴァを買うことをおすすめします。同じ作り方をしているシャンパンとカヴァですが、価格帯はシャンパンの方が高いケースが多いことがほとんどです。ですので、同じ価格帯でしたらカヴァの方がお得です。

また、シャンパンもカヴァも様々なワインをブレンドして作られているため、ビンへの年数表記がないもの(ノン・ヴィンテージ)が多いです。ですが、葡萄が良くできた年には、その年の葡萄だけを使った年数表記のある品(ヴィンテージ)もあります。ヴィンテージの方がコストは高いですが、特定の年の葡萄の味が存分に楽しめますので、おサイフ事情をマッチした際はぜひ購入してみてはいかがでしょうか。

今回の会の感想

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スパークリングワインだけの会となった今回のでびゅたんですが、丸山さんにとっても非常に新鮮な会になったとのことです。

丸山:ピンポイントなテーマでしたので、参加していただいたみなさんに各国のスパークリングワインの違いが感じていただけるような会を心がけました。

最終的に、みなさん見事に各国のスタイルの違いをしっかりと理解し、ワインを味わっていただけた会となりました。

「スパークリングワインはどれも同じだと思ってたけど、並べて飲み比べると全く違うことが分かった!」と感想を頂けたときはとても嬉しかったですね。

また、紹介した知識を日常のワインライフに活用していただきたいと思い、今回の紹介したワイン情報はもちろん、参考となるサイト情報などもり会終了後に参加していただいた方にお送りしました。

こうした日頃ワインを味わう際に役立ち知識と合わせて、サイトの紹介も、今後注力していきたいと思います。

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