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誰もがクリエイティビティを発揮できるファシリテーションを目指す 【Academy受講者インタビューvol.1】

株式会社Laere(レア)では、自分の想いを出発点に他者とビジョンを描き、未来を共創できるリーダーを育成する学びの場として「Laere Academy」を開催しています。本記事は、2019年にLaere Academy「クリエイティブファシリテーション&リーダーシップコース」(※) と「ビジュアル言語コース」を受講いただいた株式会社東芝の三上龍之様と大向真哉様にお話を伺いました。

※ 2019年開催のLaere Academy「クリエイティブファシリテーション&リーダーシップコース」では、株式会社Laereの共同代表・大本綾と、Aliklihood代表のキャサリン・グロ・フレデリクセン氏(以下、キャット)がファシリテーターを務めました。両氏はデンマークのビジネスデザインスクールKAOSPILOT(カオスパイロット)の卒業生でもあります。

デザインを再定義し、新たなデザイナー像を探る

━━ お二人が所属する株式会社東芝 CPSxデザイン部において、それぞれの業務内容を教えてください。

三上龍之さん: 私たちが所属するCPSxデザイン部(サイバーフィジカルシステムxデザイン部)は、プロダクトの色や形といったモノのデザインから、サービスやソフトウェア、事業企画やプロモーションまで幅広いデザインを担っています。製造業の時代からDX(デジタルトランスフォーメーション)の時代へと移り変わり、私たちデザイン部門が手がけるデザインの範疇が広がっています。

私は会社全体のデザインの質を上げることをミッションに、社内でデザイン部門の活動を広めながら、デザインスキル向上のための仕組みづくりや研修を行なっています。

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株式会社東芝 CPSxデザイン部 三上龍之様

大向真哉さん: 私も三上と同じ部門に所属しており、デザイン部門の専門性向上を目的とした企画戦略を担当しています。三上は全社的な視点でデザイナーの専門性向上を担っているのに対して、私はもう少し焦点を絞ってデザイン部門のメンバーにさまざまなスキルを身につけてもらう方法を考えています。人材開発の一貫で、社内を横断したデザイナー同士、あるいは社外の有識者を巻き込む形で、デザインに関する研究開発も行なっています。

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株式会社東芝 CPSxデザイン部 大向真哉様

━━ 時代にあわせてデザインの概念や求められるデザイナー像をアップデートされているのですね。

三上さん:あらゆる意味で、会社にデザインを使い倒してもらいたいと考えています。そのため、研修もデザイナーに限らず、次期幹部候補や中堅社員、様々なタイプの社員を対象にしているんです。時代の変化に耐えられる、その時々の答えを見つけられるスキルを身につけてもらうために、多くの社員を巻き込むようにしています。

一人の強いリーダーでなく、「皆がファシリテーター」を目指す

━━ お二人が2019年に「クリエイティブファシリテーション&リーダーシップコース」へご参加いただいた経緯を教えてください。

三上さん:もともとデンマークのビジネスデザインスクール・カオスパイロットに興味があり、このコースにたどり着きました。 デザイン思考やサービスデザインの分野に関わる人と話をしていると、どうも北欧はその分野で進んでいるらしいと。同僚がカオスパイロットに見学に行き、Laereの研修も受けて「面白かった」と話していて、さらに気になりました。その時ちょうどLaereのコースを紹介いただいて、参加してみようと思いました。

大向さん:人材育成の観点で、リーダーシップやファシリテーションスキルはこれから強化しなければならないスキルです。またデザイナーが得意な分野でもあるので、どのような研修か非常に興味がありました。私はそれらのスキルを社内で広めていかなければならない立場なので、まずは自分で体験してみて理解する必要があると思い、三上と一緒に申し込みました。

━━ コースを受講してみて、印象に残っている学びやワークはありますか。

三上さん:特に印象に残っているのは、「スティック・エクササイズ」ですね。

大本:部屋のなかを皆で動き回りながらコミュニケーションを取って、一本の棒を渡し合うワークですね。場の状況や変化を察知し、その場にあわせて自分を最適化できるようなリーダーシップを発揮することを狙いとしています。理論を説明する前段として、複数のリーダーシップを体感できるエクササイズを取り入れました。

三上さん: 周りに気を配りながら、無意識に自分のポジションを探す。かといって俯瞰するだけではダメで、相手と一対一で意思疎通して自分も介入しなきゃいけない。細かい身の振り方や気の遣い方がこのワークに盛り込まれていて、「ああ、これが自分の考えていたリーダーシップだ!」と腹落ちしました。リーダーシップのあり方を体感した後に、背景にある理論も説明していただいたので、とても納得感がありましたね。

コースを受講する前にも、デザイナーが依頼されて研修や会議でファシリテーションを行う機会がありました。その時に感じたのは、「デザイナーのお手並み拝見」という感じで参加者側が受け身モードになってしまうと、クリエイティビティが発揮されにくいということ。たった一人のリーダーがグイグイ引っ張っていくのではなく、その場にいる全員がファシリテーターであることが重要ではないかと考えていたんです。私にとってリーダーシップは、場に関わる全員がファシリテーションできる状態。またそれはプロのファシリテーターでなくても、誰もがファシリテーター的な振る舞いができるとも信じていました。このコースを受けて、その考えが確信に変わりましたね。

ファシリテーションに意図した余白を入れ込む

大向さん:私も三上と同様、スティック・エクササイズから紐解かれたリーダーシップのあり方が一番印象に残っていますね。コース全体を通しては、大本さんとキャットさん二人のコファシリテーションが勉強になりました。

我々も実務でファシリテーターを務める機会がありますが、一人だけでは限界があると感じています。二人のファシリテーターが互いの良さを引き出し、アドリブを楽しみながらファシリテーションできるのはいいですよね。ゴールさえ定めておけば、ある程度は場の流れに身を任せて、時に遠回りしてもいいと思えたのは大きな変化でした。

今でも自分がファシリテーションをする場面で、二人の姿をみて感じたことが頭をよぎります。「ここでは参加者に寄り添うべきだな」、「ここではあえて少し悪者を演じよう」といった具合に、ファシリテーターとしての身の振り方を考えるうえで参考にしています。

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三上さん:コース受講後、独特な余韻が残っていましたね。ゆるいんだけど、充実した感じ。「この得もいわれぬ充実感は一体なんだろう」とずっと考えていたのですが、それは意図した余白があったからかなと思います。それまでの私は完璧な演出をかけたワークショップをやりたかったし、目指していたんです。でも今は、自分が手がけるワークショップでは余白を意識しています。もちろん最大限準備を行いながら、内容は盛り込みすぎず。自分が目指すファシリテーター、リーダーとしてのあり方が変わりましたね。

━━ ワークショップの構造を切り替えてから、参加者側に変化はみられましたか?

三上さん: ワークショップ終了時の表情が以前とは違いますね。以前は「とにかく疲れました」「大事だと思いました」など、表面的なコメントが多かったのですが、今は言葉は少ないながらも満足した顔色をうかがえるようになりました。

コースでの出会いから、新たなプロジェクトが始動

━━ お二人には2日間の「ビジュアル言語講座」もご受講いただきました。印象に残っている出来事はありますか?

大向さん:自分のボキャブラリーを増やせたように思います。たとえば、同じリンゴの絵を書いても色んな形があるし、発想や視点を変えるとさらに表現が広がります。ここで得たボキャブラリーを蓄積していくと、必要なときに発揮する用意ができる。グラフィック・レコーディングが上手な人はこのボキャブラリーを沢山持っているのだなと腹落ちしました。

三上さん: ビジュアル言語の手法を理解して磨くだけでなく、「本質」について考える2日間だったと思います。絵を綺麗にうまく描くことにフォーカスされがちですが、大切なのはどの言葉を、どのくらいの文量を拾って、絵に落として共有していくか。たとえ表現方法が変わっても同じだと理解できました。

━━ ビジュアル言語講座コースでの活動を通して、新しいプロジェクトが誕生したと聞きました。

三上さん: 同じコースの参加者だった保育士の方と一緒にファシリテーションをすることになったんです。彼女のファシリテーションからは、本当に多くのことを学びました。いつも素の自分で接して、こころを大事にする。彼女によれば、「子どもたちは正直だから興味のないことに乗ってくれないし、表面的なワークをしても付いてきてくれない」そうです。保育士の仕事を通して、本質的なコミュニケーションを身につけてこられたのだと思います。

デザインもファシリテーションも、「誰にでもある創造性を引き出す」ことだと私は考えています。子どもの頃は誰もが創造的だったけれど、学校教育などを経て押し殺されてしまっているだけなんですよね。本質だけで生きている子どもたちの身の振り方、保育士の方々の子どもたちとの接し方は、頭が固くなってしまった大人にこそ必要な考え方なのではないかと考えています。

この考え方をうまく噛み砕いて、誰もが使えるものにできればいいなと考えています。現在は、Laereと保育士の方と共同プロジェクトを進めています。

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大向さん: 受講したコースや現在の共同プロジェクトを通して、会社では出会えない人と協働できるコミュニティが魅力的ですよね。通常業務のなかで「取り留めはないけれど本質的な話」をする機会を作ろうとすると相当大変なのですが、会社の垣根を超えてこのような場でコミュニケーションが取れることはありがたいです。今後もこの輪がどんどん広がっていくと嬉しいです。

━━ ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします!


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