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体と薬と健康と・・・第6話 腸活

~腸内環境を整える~

健康コラム『読み物サプリ』。
第6回目は、「腸活」のお話し後編。
今回は「腸内環境を整える」編です。
▼前編はこちら

前回の話の中で、大腸内には約1,000種類、約100兆個もの腸内細菌が住みついていて、住みついている「善玉菌」:「日和見菌」:「悪玉菌」の理想的バランスは、2:7:1ということでした。私たちの体を構成している「細胞」が、約37兆個と言われていますから、大腸の腸内細菌の約100兆個というのは、その3倍弱。すごいですよね。


2:7:1のバランスが崩れるとどうなる?

善玉菌よりも悪玉菌が増えるので、腸内環境が乱れて便秘がちになったり、下痢気味になったりします。
また、悪玉菌が増殖することで発生するガスが原因で、肌荒れ、口臭、頭重、疲れやすくなる・・・など様々な症状があらわれたりします。もちろんこれらの症状すべてが、腸内環境の乱れが原因というわけではありませんが、腸内環境が改善されることで、症状が改善したり、緩和されたりすることも多くあります。

2:7:1のバランスはどうして崩れるの?

大きく3つの原因が推測されます。
1つは、食事の偏り。
動物性たんぱく質の多い食事、食物繊維の少ない食事、インスタント食品や冷凍食品、スナック菓子など保存料を含む食事の頻度が高い・・・
これらによって日和見菌が悪玉菌の味方をするようになり、2:7:1のバランスが乱れ、悪玉菌の比率が高くなります。

また前回の話の中で、腸と脳は密接な相関関係があるとお話ししました。
2つ目の原因は、ずばり"ストレス"です。ストレスが続くと、腸内環境が乱れます。

そして3つ目は、年齢と共に善玉菌が減少していく加齢。
少し寂しい話ですが、年をとってくると善玉菌が減って、腸内での悪玉菌の割合が増えてきます。
ということで腸内環境を乱す3大要因”食事の偏り” ”ストレス” ”加齢” といえるでしょう。

ここでちょっと下の図をみていただけますか?

氷山の一角

便秘気味や下痢気味になる、肌荒れや口臭があるといった表面に現れる症状を氷山の見える部分とすると、その水面下(体内、特に大腸の中)では善玉菌:日和見菌:悪玉菌=2:1:7のバランスが崩れてきています。
さらにその腸内バランスを崩している奥深い原因としては、偏った食事の日々やストレス状況が続いているといったことなどが潜んでいるということになります。
何となくイメージできたでしょうか?

腸内環境を整えるためには

では、乱れた腸内環境を整えるにはどうすればいいのか。
根本的な部分としては、ストレス環境の改善や食事の見直しとなりますが、すぐに、そしてずっと改善というのはなかなか難しいでしょう・・・。

次にできることとして、2つの方法があります。
まず1つ目は「善玉菌」そのものを腸に送り込んであげること。
2つ目は善玉菌の「エサ」になるものを腸に送り込んであげることです。
つまり、善玉菌を送り込むことで、腸内で劣勢にたたされている「善玉菌」が増えることにつながり、善玉菌の「エサ」を与えることで、善玉菌が元気に活動することにつながります。

この2つが「腸活」2本の柱といえるでしょう。ではここからは、この2つについて少し具体的なお話をしていきます。

「腸活」2本の柱~その1~

まず1つ目の「善玉菌」そのものを腸内に送り込むことについてです。
善玉菌には「乳酸菌」「ビフィズス菌」「酪酸菌」などがあり、ヨーグルトや乳酸菌飲料、ぬか漬け、味噌、キムチ、納豆などの発酵食品などに含まれています。こういった食品を意識して摂るのはとてもいいことです。
毎日継続して摂るのは難しいようでしたら「整腸薬」や「サプリメント」などを摂るようにしてみるといいでしょう。

せっかくなので、ここでちょっと専門的なお話し。
善玉菌は、腸内の活動の中で「酸」を産生します。
「乳酸菌」は「乳酸」を、「ビフィズス菌」は「乳酸」と「酢酸」を。そして「酪酸菌」は「酪酸」と「酢酸」を産生します。
この産生された「乳酸」や「酢酸」や「酪酸」によって腸内が弱酸性に傾き、悪玉菌が増殖しにくくなり、悪玉菌の勢力が弱まっていきます。
特に「酪酸菌」が産生する「酪酸」は腸の蠕動運動に必要なエネルギーの約80%をまかない、大腸の粘性物質の産生を助けて、大腸の粘膜を強くしてバリア機能を高める働きもあるとされています。

こうしたことから腸内環境が乱れているときや、腸内環境を良くしたり、維持するためには「整腸薬」や「善玉菌のサプリメント」を意識して摂るといいでしょう。特に、「酪酸菌」はおすすめ。
また「乳酸菌」は、小腸下部から大腸上部にかけて活動しており、「ビフィズス菌」や「酪酸菌」は、大腸で主に活動しているとされています。そういうことから「酪酸菌」だけ摂るのでなく、「乳酸菌」や「ビフィズス菌」も一緒に摂るとさらにいいでしょう。

ということで食事からだけではなかなか難しい善玉菌の摂取を「酪酸菌」や「乳酸菌」や「ビフィズス菌」を配合した「整腸薬」や「サプリメント」を摂ることが乱れた腸内バランスを整える1つの方法です。

「腸活」2本の柱~その2~

では次に2つ目の善玉菌の「エサ」について見ていきましょう。
善玉菌を育てる・善玉菌を増やす食品として「オリゴ糖」や「食物繊維」が挙げられます。野菜類や果物類、炭水化物などに含まれていますね。
その中でも「水溶性の食物繊維」は「機能性表示食品」や「特定保健用食品」などとして市販されており、おすすめです。
水溶性食物繊維の種類として「グアーガム分解物」や「難消化性デキストリン」「イヌリン」などが使われています。
特に「グアーガム分解物」の食物繊維便秘気味・下痢気味どちらの状態で使用しても、便を正常な形状に近づけるとされているので使いやすいでしょう。

この善玉菌のエサとなる「食物繊維」は、単独で摂っても、腸内の善玉菌のエサになるので効果的なのですが、「善玉菌」と一緒に摂るとさらに効果的に働いてくれます。

様々な整腸薬・機能性表示食品があります

「善玉菌」だけを整腸薬やサプリメントで摂取しても、善玉菌のエサになる「食物繊維」だけ摂取しても効果的です。
でも「善玉菌」を整腸薬やサプリメントとして摂るときに一緒に善玉菌のエサとなる「食物繊維」を一緒に摂った方がより効果的な腸活になるといえるでしょう。

いかがでしたでしょうか?
2回にわたって「腸活」をテーマにお話しさせていただきました。
どうしても不規則・偏りがちな食生活、避けられないストレス・・・腸内環境のバランスを保つことがなかなか難しい日常生活だと思います。
そこで「腸活2本の柱」です。

紀元前400年頃の古代ギリシャの医学者:ヒポクラテスは
「すべての病気は、腸からはじまる。」と言っています。
脳のない生物はいても、腸のない生物はいません。
生物にとって、「腸」は生命線なのです。”腸活”で健康的な日々を!


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▼執筆している薬剤師

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