体と薬と健康と･･･第7話 便秘①
～何故便秘になるの？～
健康コラム『読み物サプリ』。
第6話・第7話と「腸活」ということで、腸のお話をさせていただきました。今回からは3回シリーズで、腸に関係する「便秘」のお話です。
第1回目は、なぜ便秘になるのか？編。
うんちになるまでの流れ
食べた物は、「口」の中で歯で噛み砕かれ、唾液で殺菌されたり飲み込みやすくなったりして「食道」を通り、「胃」に流れ込みます。
胃では、「胃酸」というすごく強い酸で”殺菌”され、粥状になり、「小腸」に送られます。
小腸では、身体に必要な栄養素をどんどん吸収。必要なものが吸収されたあと不要になったものが”液体状態”で「大腸」に流れ込んできます。そうして、大腸で「うんち」が形成されていきます。
大腸には６つの場所がある
ちなみに大腸と言っても、場所によって6つの名前があります。
「盲腸」・「上行結腸」・「横行結腸」・「下行結腸」・「S状結腸」・「直腸」 の6つです。
「うんち」が作られるまでの”大腸の旅”。
6つのルートをたどる間に、どんどん水分が吸収されて「固形状のうんち」になっていきます。
イメージとしては、まず盲腸に入った時点では、ほとんど”液体”の状態。
上行結腸、横行結腸、下行結腸と進むにつれてどんどん水分が吸収され、徐々に固形に近くなり、S状結腸で”うんち”となります。
通常は空っぽの「直腸」にうんちが落ちてきて”便意”をもよおします。
これが、食べ物を食べてから、うんちとなって排泄されるまでの一連の流れです。
ではここで質問！
食べた物がうんちとなって排便されるまでにどれくらいの時間がかかる？
「小腸」から「大腸の始まり：盲腸」に入ってくるのが食後4時間から15時間後といわれ、最終的に「うんち」が形成されるのは、12時間から24時間(半日から1日)後です。
この時間幅は、食べた物の種類によって生じます。
大きく分けて、
・ごはんやうどんなどの「炭水化物系」
・肉類や揚げ物などの「脂質系」
の2種類。炭水化物系は消化が早く、脂質系は遅いので、要する時間が全然変わってくるということもおさえておきましょう。
そういったことから食事をしてから、排便されるまでの時間は、食べた物などによって差がありますが、24時間～72時間(1日～3日)が一般的とされています。
「便秘」とは
長くなりましたが、ここから本題。
そもそも「便秘」とは、どういう状態をいうのでしょう･･･？
うんちが出ない･･･
うんちが出にくい･･･
と想像しますよね。
一般的に「便秘」は4～5日以上にわたって排便がないことをいいます。
ただし、便通には個人差があって、1～2日排便がなくても、不快感がなければ便秘とは言えません。逆に毎日排便があっても、排便量が少なくすっきりしない状態なら便秘と言えるんですよ。
では、少しここまでの話を思い出してください。
食べた物は、口・食道・胃・小腸・大腸と運ばれていき、大腸でうんちが形成されるとお話ししました。
つまり、うんちが出ない･･･、うんちが出にくい･･･ということが起こっているのは、うんちを形成する大腸の環境が良くない状況になり、腸の機能が低下して「便秘」を引き起こしているということです。
そういった意味では、前回お話しした、大腸に生息する「善玉菌」「日和見菌」「悪玉菌」が、大きく影響していると言えます。
何らかの要因で「日和見菌」が「悪玉菌」の味方をするようになってしまった。大腸内での「善玉菌」の活動が悪くなった。
その結果大腸の蠕動（ぜんどう）運動などが悪くなり、お通じがスムーズに行かず、「便秘」を引き起こしていると考えられます。
便秘にも種類がある
ところで皆さん。
「便秘」には、種類があるのをご存じですか？
「一般的な便秘」は腸の機能の低下の仕方によって、3種類に分けられます。
まず1つ目は腸の動きが悪くなって、うんちの動きが遅くなることによって起こる「弛緩性便秘」。
2つ目はうんちが溜まっていることに、脳が気づいていないことによって起こる「習慣性(直腸性)便秘」。
3つ目は腸が動きすぎて腸管が収縮し、うんちが通過しづらくなって起こる「痙攣性便秘」です。
次回第2回目はこの3種類の便秘について少し詳しくみていきます。
そして第3回目に「便秘薬」についてみていきますので、よろしくお願いしますね。
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▼執筆している薬剤師