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知らないこと

夏日、なのだという。
24度を超えるの夏日ということになるのだろうか。最近の夏が24度で済んだ試しがないが。
冬生まれの我が子は肌着とツーウェイオールを着るのが基本スタイルだ。今日は初めて肌着一枚で眠っている。肌着一枚だとおむつの線がすぐ見えていい。
久々に実家に帰ると環境の違いや騒がしさからか「眠いのに眠れない泣き」をする。実家で子と私の二人で過ごしているとすぐに眠り始めた。まとまってたくさん寝るので眠れないのはストレスなのだろう。私としてはどこででも眠れるのび太体質になってほしいが、そもそもこの人は果たして昼と夜の区別はついているのだろうか。

4か月になっても、未だに新生児期と同じくらい眠っている気がする。
夜も8時くらいからウトウトしはじめて朝まで11時間ぶっ通しで眠り、昼間も授乳の時以外ほとんど寝る(目があいている時を狙って頑張って構ってみる)。一日17時間くらい平気で寝ている。
新生児室に迎えにいくときも毎回毎回眠っていて、隣の赤ちゃんが毎回元気に号泣しようが、なんなら両隣の赤ちゃんが号泣しようが、退院するまで起きているところを迎えた試しがなかった。
4か月になったら首が座り、日中に起きているのではなかったか。この人なりの変化があるとすれば最近は寝る前の授乳を欲しがる時間が少し遅くなって、そのぶんわずかに寝る時間が遅くなっているが。
できればこちらで時間を決めて授乳したいのだが、こちらの提案に乗ってくることはない。早めに勧めても飲まず、結局30分くらいで今欲しいのだと言われる。
こちらの思う通りにもならないし、ゼクシィベビーの月ごとの赤ちゃんの説明通りにもならないものなのだろう。私だって例えば「25歳になったら多くの人が就職何年目になります。こういうポジションにつき、生涯のパートナーと出会う人が多くなります」と言われてもその通りじゃない自分を責めるかといったらそんなことはない。体の発達と社会的な発達なので違うといえば違うが、あくまで目安という点については同じだ。

今は寝る時間も、便秘しているかどうかも、どんなことで喜ぶのかも知っている。きっとこの先は好きな遊びや好きな色も、この人のいろんなことを知るのだろう。その人生の基盤を、趣向を、人格を、一緒に作り上げていくのだろう。今この時間をいとおしく思う日がどうせ来てしまうのだろう。

いつのまにかこの人のことについて知らないことが現れて、いつからか知ってることと知らないことの量が逆転する。その時はきっと寂しいのだろう。それに気づいたところで何かを変えることはなくて、流れていく時間を見守る自分の足元にふと目をやったりするのかもしれない。知らないことが増えた自分に気付き、知らないことを知らないまま私は一緒に過ごしたり過ごさなかったりする。そして私の知らないことを教えてくれるほど大人になる。それは過去に遡って教えてくれることも、今のことを教えてくれることもあるのだろう。それでもこの人と誰かとの秘密も、この人だけの秘密もたくさんあって、それもこれも、この人の人生の一部になっていくのだろう。私がそうであったように。
なんでも知っているこの時間があまりにも短いことを憂いてしまうのだ。

「頭の中が暇なんじゃないの」と私の話を聞く同居人に、そんなことない毎日大変だと笑って反発した。


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