行動経済学や心理学など多彩なアプローチ!『残酷すぎる成功法則』(エリック・バーカー)
『ホモデウス』でユヴァル・ノア・ハラリは、これからの人類の探求テーマは「不死」「幸福」「神性」だと述べた。
幸福や成功といった一見、非科学的な領域も、いまや真面目に研究されているらしい。
本書は、成功法則をエビデンスベースで検証した一冊。著者がアメリカの人気ブログの執筆者だからなのか「読ませる」導入に長けていて、全体としてボリュームある分量だけど、スラスラ読めます。
ここでもっとも伝えたいのは、いわゆるカギカッコ付きの自己啓発本の類とは一線を画しているということです。なかにはタイトルだけで敬遠する方もいるかと思いますので。
ちなみに「引き寄せの法則」には科学的アプローチでカウンターアタック!をしています。詳しくは本書で。
ダニエル・カーネマン、ダン・アリエリーの行動経済学やミハイ・チクセントミハイの「フロー理論」や、本ですと『やり抜く力 GRIT(グリット)』や『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』。
このあたりの領域(というか登場します)が好き・興味がある方は、きっと楽しめるのではないでしょうか。
幸福の測定基準
想いはお伝えしきったので、備忘録用に幸福のビッグ・フォーをここで引用します。
1幸福感=楽しむ
人生から喜びと満足感を得ていること
2達成感=目標を達成する
何かしらの業績でほかに抜きんでていること
3存在意義=他者の役に立つ
身近な人びとに、ポジティブな影響を及ぼしていること
4育成=伝える
自分の価値観や業績によって、誰かの未来を助けていること
四要素それぞれ「これで充分といえるのか?」と自分に問いかけて、自分が満足できるレベルでバランスを取っていく。
「幸福」ただそれだけど漠然とするけれど、こうして要素を分けて動詞まで落とし込むと、ちょっとクリアになってきますね。
自分の死を考える
最後に心に響いたエピソードを紹介して終えます。自分のストーリーを構築するにあたって、ちょっと極端かもしれないけれど、死を考えるのが有効だと。
どうやら時間を割いて自分の死について考えると、他者に対してより親切で寛大になることが証明されているようです。
「脅威管理理論」またはクリスマス・キャロル的に「スクルージ効果」という。
死から逆算することで一日のありがたみが浮かび上がるからでしょうか。古舘伊知郎さんが「トーキングブルース」仏教回で「毎朝、起きて自分が存在していることに感謝する」と言っていたのをふと思い出しました。
ジョブズの有名な言葉もあります。
「自分の死がそう遠くないと意識することは、人生の折々に重大な選択をするときに、最も役立つ判断基準になった」
というわけで以上です!