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スキルワーカー × ローカルで未来が生まれる | LAC真庭・沼本吉生さんインタビュー

LivingAnywhereCommons(以下、LAC)の新拠点に加わったばかりのLAC真庭は、岡山県北部の真庭市にあります。

真庭市はサイクリングやキャンプなどを楽しめる蒜山高原、天然の共同露天風呂「砂場」が人気の湯原温泉、岡山県屈指の桜の名所・醍醐桜など、たくさんの観光スポットを有しています。

またジャージー牛の乳製品や、第6回B-1グランプリ(2011年開催)でゴールドグランプリを受賞した「ひるぜん焼きそば」、ヘルシーな生ラム肉を豪快に味わうジンギスカン、真庭市の清らかな水で丹精込めて造られた日本酒など、おいしいものも豊富です。

そんな真庭市の南部、上田集落と呼ばれる地域の山頂にある廃校をリノベーションし、複合型地域拠点施設として蘇ったUEDA VILLAGEが、LAC真庭の拠点になります。

Living Anywhere Commons真庭コミュニティマネージャー・沼本吉生さん

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UEDA VILLAGEを運営するのは、一般社団法人地域支援機構サトビトの共同代表を務める沼本吉生(ぬもと ひさなり)さんです。

真庭市育ちの沼本さんは、大学進学を機に上京し、株式会社日比谷花壇などで働きながら営業や経理などさまざまな業務を経験。その後、食べることが大好きという沼本さんは料理の現場に入り、料理人としての経験を重ねていきます。

尽きない探究心の赴くままに沼本さんは複数の飲食店で働きながら、料理の世界にのめり込んでいきますが、多忙な日々に追い詰められていったそうです。

心身ともに疲弊し、体調を崩してしまった沼本さんは、2010年に真庭市に戻ってきます。帰郷後しばらくは寝たきりの状態が続くほどでしたが、療養を兼ねて撮影した写真をSNSで公開するとファンが増え、個展を開くまでになりました。

写真撮影の依頼と出張料理の依頼が急増した沼本さんは、2015年に「ゴハンを通じてヒトをつなぐ」をテーマにしたヒトトゴハン株式会社(ケータリング事業)を設立。出張料理人として活動を始めます……と、ここまで聞いただけでも「沼本さんってどんな人なの?」と興味が湧きませんか?

このあたりの詳しいエピソードは「COCO真庭」というローカルメディアに記事が掲載されているのでぜひご一読ください。

今回のインタビューではUEDA VILLAGEのことや、真庭だからこそできることなどじっくりと伺いました。

廃校を再生。地方創生に寄与する「UEDA VILLAGE」

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――UEDA VILLAGEについて教えてください。

UEDA VILLAGEは2013年に廃校になった小学校を再生した複合型地域拠点施設です。
この辺りは人口が200人前後しかいない集落ですが、住民会が中心になり20年以上かけて村おこしを行い、年間で1万人を超える観光客が訪れる地域にしてきました。

その村おこしの一環で、観光客に長く滞在してもらうために、廃校を利用して宿泊施設をつくるという案が持ち上がりました。住民会は廃校を公民館として使っていたので、自分たちの活動拠点を維持したいという思いもあったようです。

――なぜ運営に関わることになったのですか。

当時私はケータリングの会社を運営しながら、ライフワークとして真庭市に移住してくる若い人たちの創業支援や、商品開発のコンサルティングなどに関わっていました。そうした私の活動を知った住民会から、運営をサポートしてほしいと声がかかりました。

そこで2018年に、「廃校からはじまる地方創生」をモットーに活動する一般社団法人地域支援機構サトビトを仲間たちと設立し、廃校をリノベーションしてUEDA VILLAGEとして再生し、今日まで運営に携わっています。

――廃校だったと聞いていたのですが、建物がきれいで驚きました。

校舎は築30年経っていましたが状態が良かったんです。
宿泊施設に欠かせないシャワールームも完備されていたので、比較的簡単なリノベーションで済みました。

宿泊スペース、カフェ、美容室、そして公民館が同じ屋根の下に集まっているので、地元の人たちもしょっちゅう出入りしています。公民館では書道教室なども行われていて、コロナ禍で状況が一変するまでは、滞在者のみなさんにも参加してもらったりして、地域との交流を図ってきました。

スキルワーカーに集まってもらい、地域の課題を解決したい

――なぜLACと連携することになったのでしょうか。

LACの運営元である株式会社LIFULLから話を聞いて、LACという場所に興味をもったからです。

LACの拠点に加わることで、ワーケーションで何かしらスキルを備えた人が真庭に来てくれる。そうすることで関係人口(地域に継続的に関わる人)を増やし、地域の課題を解決するために力を貸してもらえたらと考えました。

――地域の課題を解決するための人材は足りていますか。

真庭市はUターンやIターンの受け入れに積極的ですし、地域おこし協力隊に参加したことがきっかけで移住した人もいます。デザイナーさんが真庭市に移住されたという事例もあるものの、まだまだスキルワーカーが少ないと感じています。力を貸してもらって解決したい課題がたくさんあるんです。

UEDA VILLAGEでは、私が学長を務めている「廃校大学」というプロジェクトを実施しています。

これは各ジャンルの講師を招いて廃校で行う大人のための勉強会のようなもので、プロジェクトの企画や運営などを学んだり、地域交流の場になっています。LACのメンバーから「廃校大学」の講師を務めてくれる人が出てくることにも期待しています。

目指すは「関係人口案内所」

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――LAC真庭の魅力とは何でしょうか。

真庭は決して利便性が高いとはいえず、気軽に来てもらえる場所ではないと思います。
もっと便利な場所がいいと思う人も多いはずです。けれどせっかく真庭に滞在するならば、真庭でしかできないことを体験してほしいです。

真庭に滞在する方が求めているのは、大きく三つに分かれています。まずは純粋な観光、LACメンバーに多いワーケーション、それから移住を考えた下見です。

私はライフワークで移住者のサポートや創業支援を行うことで人脈を広げたり、UEDA VILLAGEを軸に地域や行政と連携してきたので、それぞれのケースに合わせてサポートできます。

――そのサポートを具体的に教えてください。

まず観光であれば、湯原温泉や蒜山高原など市内の観光スポットをご案内することができます。

ワーケーションについては、LAC津山やシェアオフィスとしての機能を備えた真庭市交流定住センターが近いので、他のスポットと行き来する際の拠点としてLAC真庭を使ってもらえるでしょう。
真庭市交流定住センターには市の職員だけでなく、ローカルで活動している人が集まっているので、彼らを介してプロジェクトへの参画や、ビジネスマッチングを行うこともできます。

移住を考えている人には自治会の会長さんなどを紹介したり、行政と連携してワーケーションのモニタリングツアーを実施したりするなどして、地域選びの相談にも乗っていきたいです。

――自分次第で、滞在のスタイルを選べるということですね。

真庭に定住しなくても、真庭の人たちと組んでプロジェクトを立ち上げることは可能ですし、短・中・長期的に滞在できる二次滞在先は豊富にあります。

地域と人、プロジェクトと地域の課題解決を結びつけるためのハブのような場所、LAC真庭を「関係人口案内所」と呼べるような場所にしていきたいです。

真庭でのワーケーションを通じて、これからの暮らし方・働き方を考えるきっかけに

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――真庭発信でどんなプロジェクトが生まれていますか。

行政の取り組みも含めたくさんあるのですが、例えば私の友人である真庭の酪農家と、東京の企業とが連携を図ることによって、グラスフェッド発酵バターオイルのギー(GHEE)の販売が実現しました。

ギーを生産するためには、牛を放牧飼育するための広大な土地が必要です。
そこで私が関わっている山の保全活動で知り合った人に声をかけると、保有している山の使用を快諾してくれました。

東京のプロジェクトメンバーは、定期的に真庭に足を運んでは、地域の人とも交流してくれています。
真庭で放牧飼育された牛の乳を使って、東京の企業が商品化するという連携が実を結んだことで、次のプロジェクトの話も出ています。

――LAC真庭を介した出合いが、未来を切り開くかもしれませんね。

そうですね。地方では人材や経験不足などが理由でやりたいことができなかった人と、スキルは十分なのに都会という理由でやりたいことができなかった人とが、真庭で結びついたことは私にとっても新鮮な発見でした。

昨今は、大手企業でも社内で企業するなど副業も盛んです。もちろんワーケーションで各地を行き来する人も多いでしょう。
自分のスキルをいかして、その拠点ごとで関係人口を構築できれば、もっと可能性が広がると感じています。

だからLAC真庭は、ワーケーションを通して、これからの暮らし方や働き方を考えてみたいと思っている人に向いている拠点だと思います。地域創生につながるプロジェクトやビジネスに関わりたい、地域のコミュニティに興味がある、田舎で暮らしたいなど目的があると、滞在がより充実すると思います。

人や地域との交流が気付きを生む、LAC真庭

拠点ごとに特徴のあるLACですが、LAC真庭での滞在は、ゆるやかに、だけど確実にこれからの自分を考えるきっかけにつながるのではないかと感じました。

今すぐに目的が浮かばなくても、LAC真庭で出会える沼本さんをはじめ、地域の人たちとの交流が、日常では気づきにくい発見が得られるはずです。
私も沼本さんとお話しして、自身の忙しい毎日を少し見つめ直し、仕事のことを忘れる時間を持ってみようかなと思いました。

そういった気づきとあわせて、仕事に集中できる静かな環境もLAC真庭の魅力ではないでしょうか。
皆さん、ぜひ一度訪れてみてくださいね。

《ライター・吉川ゆこ》


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