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オウンドメディアは明日への希望。ひとり広報が描いたのは、内も外も巻き込んだ「チーム戦」だった!

あなたがもし、社内でたった一人の「広報」になったら。まず何から始めますか?

SNSを始める? プレスリリースを出す?

…そもそも広報の仕事って?

そんな状態から広報の任につき、奮闘する一人のビジネスパーソンがいます。

わだゆきこさん。株式会社ジョイン、初の広報担当です。ある日、会社から与えられたミッションは「会報誌をデジタル化せよ」!

ゼロから道を切り拓くゆきこさんは今、オウンドメディアを基点とした広報施策の立ち上げに奔走しています。彼女がまずはじめに行ったこと、それは「チームをつくること」。

明るく元気で、行動力もある。一見、一人で出来てしまいそうな彼女があえてチームをつくったのはなぜか。社外チームとしてオウンドメディアの立ち上げサポートを行った、株式会社ラブソル代表の柴山が、その理由に迫りました。

わだ・ゆきこ
山形市在住。看護師、保健師、公認心理師、上級心理カウンセラー資格有。11年間山形市役所で子育て支援や児童虐待に関わる業務を経て、起業。「生き方」をテーマに出前授業や講演事業を展開。山形県内で延べ100校以上で実施した実績がある。2021年、山形で冠婚葬祭と食事業を展開する株式会社ジョインに広報担当として入社。2022年、会報誌『LET'SJOIN』デジタル版として、オウンドメディア公式noteを立ち上げる。現在、編集部メンバー10名とメディアを運用している。

〈対談を行ったのは、サポート期間の最終月である12月某日。東京・恵比寿にあるラブソルのオフィスで行われました。〉

 「オウンドメディアを立ち上げよ!」ミッションを受け初めて目に飛び込んできた”クレジット”の存在

柴山:2022年、ゆきこさんとは今年出会ったと思えないくらい、たくさんのお取り組みをご一緒させていただきました。

わだ:ほんとですね!7月に出会い、9月には山形でセミナーを開催してもらい、10月にはオウンドメディアがスタート。その間ずっと伴走していただいて。ゆかさん(柴山)はじめ、ラブソルさんには本当にお世話になりました。

2022年9月、山形のジョイン様で開催したセミナーの様子。オウンドメディア『LET'S JOIN 公式 note』編集部の皆さんに向けて、立ち上げにあたっての心構えや記事制作の入門知識をレクチャーしました。

柴山:こちらこそです。そもそもお問い合わせいただいたきっかけは、弊社で過去に制作したオウンドメディアだったんですよね。

わだ:そうです! 上司から、「長年冊子として刊行し続けてきた会報誌をデジタル化したい」と言われた時、参考例として提示されたのが、ミシュランガイド東京で一つ星を獲得されている代々木上原のレストラン「sio」さんのnoteだったんです。

確かに、「人を前面に出していきたい」という上司のリクエストにピッタリで、改めて読んでみると、文章が読みやすくて。「これ、誰が制作したんだろう?」って、思ったんですよね。それまで気にしたことなかったんですけど、そこで初めてクレジットというものを意識して見たんですよ。そしたら、どうやらみなさん「ラブソル」という会社の人らしいぞ、と。

柴山:そうだったんですね! 

わだ:はい。それで、ホームページを拝見したんです。ビジョンなども読ませていただいたんですが、「面白そうな会社だな」と思ったんですよね。オンラインコミュニティをされているのを知って、興味津々で即入会しました。

柴山:そうでしたね! ゆきこさんの好奇心や行動力は本当にすごいですよね。業務という意味合いでいくと、単に依頼をすればいいわけで、わざわざ自腹でコミュニティに入るなんて。

わだ:そういうところが良くも悪くも直観で行動するタイプなんですよね。興味のあるものはちゃんと知りたいし、中に入って見える景色を見てみたい。好奇心を満たすためには、出費はもちろんあるものだと思っています。人と繋がることが大好きなので「仕事だから」って自分の中で言い訳して、財布のひもをゆるませています。(笑)

「自分には出来ない」ポジティブなあきらめから生まれた”人を頼る”という発想

柴山:そもそもですが、ゆきこさんがはじめにチームをつくった理由はなんだったんですか? 会社から仕事を任された時に、とりあえず自分でどうにかしようとする人も多いと思うんです。

わだ:「私一人では出来ないな」と思ったんです。オウンドメディアの立ち上げはもちろん、広報という仕事自体が初めて。自分ができないことを頑張るよりも、得意な人と組んで進めた方が結果は出ますよね。そのために、社内に編集部チームをつくり、立ち上げからサポートしてもらう人を付けて進めようということは、もう、最初に決めました。

柴山:それ、すごいことだと思うんです。これだけのスピードでプロジェクトをかたちにしているのは、外の人の手を借りるという発想に至れたことが大きい気がしていて。

わだ:それでいうと、フリーランスをしていた経験が大きく影響しているのかなと思います。ずっと勤めていた市役所を辞めて一人でやっていくとなった時に、自分一人では出来ないことが多かったんです。誰かに教えてもらったり、力を貸してもらって進んでいくしかなかったんですよね。

その経験から、自分の力量の輪郭をある程度捉えて、出来ないことを自覚しました。「私は魚屋だから肉は扱えない」ぐらいの気持ちで。でも、魚屋に肉のオーダーが入ったのには、きっと理由がありますよね。それを考えた上で、自分が組みたいと思った肉屋さんとコラボレーションしているという感じなんです。

柴山:働いているとよくありますよね。上司からでもお客様さまからでも、自分は魚屋なのに、違うことを求められること。そこで立ち止まってしまったり、仕事が嫌になっちゃうケースがあると思うけど、すべてを自分でやろうとする必要はないんですよね。

わだ:ポジティブに身の丈を自覚するって、すごく大事だなって思ってるんです。自分に出来ることと出来ないことを知っておく。あと、誰と組むかを考える時は、今の自分のレベルで組めるかどうかを冷静に見ること。自分が背伸びをしていたり、しっくりきていない状態はお互いにとってよくないなと。そういう意味でラブソルさんは、同じ目線で話を聞いてくれそうだなと思いました。

「チームのみんなの気持ちを察することができない」新米編集長が目指す”苦手”のその先

柴山:編集長になり、編集部が本格稼働して4ヶ月ほど経ちますが、いかがですか?

わだ:私は編集長をやったことがないし、編集の仕方もメディアのことも分からないし、本当に手探り状態です。ラブソルさんや、一緒にコンサルティングに入ってくださっているみずのさんにサポートいただきながらなんとかやってきました。そもそも、チームで仕事をすることにはものすごく苦手意識があるんです。

柴山:ええ! 本当ですか。めっちゃ得意そうです。

わだ:いえいえ、もう大反省ばかりですよ。チームで仕事をすることが下手というよりも、私はみんなの気持ちを理解したり察することが苦手だな、という自覚があって。

柴山:ゆきこさんは保健師としての経験がおありで、現職でもカウンセリングをされているじゃないですか。それこそ、人の気持ちには人一倍敏感なんじゃないかなと思うのですが。

わだ:一対一のコミュニケーションは得意なんです。でも、チームとなると…。昔のことを振り返ると、一緒にチームを組んでくれた人がどんな気持ちだったのか? 私はちゃんと感じることができていなかった気がします。我が強かったんでしょうね。結果を出したくて必死だった。だから、今はチームのみんなの気持ちを感じながら進めることについて本当に手探りで、「これでいいんだろうか」と日々思ってます。

先日も、ゆかさんたちに「このくらいは伝えても大丈夫ですか」と質問させていただきましたね。過去の失敗があるから、今回はみんなと一緒に進みたくて、慎重に慎重に…。

柴山:そうだったんですね。「会社初のオウンドメディアを広報が一人でつくり上げた!」という方がもちろんインパクトはありますけど、ゆきこさんからはその姿勢をまったく感じないです。

わだ:そうですね。以前の私であれば「私がやりました!」と言っていたと思います(苦笑)。今はとにかく、このオウンドメディアをちゃんとかたちにして、編集部のみんなが認められたり、自信がもてるような仕事にしたいと思ってます。

「読んだよ!」オウンドメディアでなければ生まれないもの

柴山:オウンドメディアを立ち上げて2ヶ月ほど経ちましたが、もうすでに変化が起き始めているんですよね。

わだ:そうなんです!「記事読んだよ」という会話が社内で生まれているんです。あとは、これまでにはなかったような他部署同士の繋がりが生まれたり。

柴山:それは嬉しい!

わだ:それと、編集部メンバーの新たな才能に気づけたり。良い意味で個性的なメンバーが集まってくれていて、それぞれの視点や文体がすごく面白い!そういえば先日、副編集長の菅原さんから嬉しい連絡があったんです。ほら、見てください。具体的な執筆のスケジュール表や会社のビジョンを踏まえた定性的な目標を言語化してくれて。いつの間にこんなに…。私、こういうのが本当に苦手なので…。

柴山:…本当にね、経営陣には分かっていてほしいんですけど、オウンドメディアを始めたからといって、すぐには儲からないんですよ。その代わり、社内外に間違いなくいい影響を与えてくれるものだというのは、自信を持ってお伝えしたいです! 弊社でもオウンドメディアをきっかけに生まれたご縁がたくさんあります。そもそも、オウンドメディアをやっていなければ、ジョインさんやゆきこさんともお会いできていなかったわけですしね!

わだ: もちろんまだまだ手探りで、日々うまくいかないなあと感じる部分はたくさんあります。例えば、編集一つとっても、もっとよい記事になりそうということは分かるんです。でも、書き手のメンバーにどう伝えたら良いのかがわからない。その人が大事にしたい部分は崩さないようにして、どう整えたらいいかというのが、自分でも分からないんです。

柴山:そうですよね。私も何百と原稿を見るうちに分かるようになってきたので、やはり、数は大事かなと思います。せっかく伝えたいものがあるのに、伝わらないのはもったいない! という思いが根底にあるので、時にはガッツリ構成を変えることもあります。多くの場合は、伝えたいことがいっぱい入っちゃってるだけとか、順番がおかしいだけとかなので。「伝えたいことは1つにとどめて、記事を分けよう」とか「ここの順番を入れ替えよう」といったアドバイスをしますね。

わだ:なるほど。あと、編集部メンバーは、自分の業務の合間を縫って原稿を書いていることも知っているので、どこまでフィードバックするかはいつも悩みます。とにかく、みんなの書く意欲は削ぎたくないという気持ちで…!

柴山:すごくよく分かります…! でも、9月にセミナーを開催した時、実際にジョインさんの編集部のみなさまにお会いできたから言えるのですが、お仕事への熱い思いがあって前向きだから、ゆきこさんからのフィードバックはとても嬉しいと思いますよ!

2022年9月。山形のジョイン様で開催したセミナーで、『LET'S JOIN 公式 note』編集部の皆さんと記念撮影。とてもあたたかく受け容れていただき、心から感動したラブソル一同でした。

わだ:そうだといいなあ。そうそう、ゆかさんたちからは締切の大事さも教えていただきました。「原稿の提出はいつでもいいよ」とすると、どうしても業務に追われてしまって出てこなくなってしまう。だからと言ってこちらが設定すると、それぞれの現場の状況に合わない場合もある。最近始めた試みとして、自分で締切を設けてもらうようにしています。例えばクリスマスの記事だとしたら、クリスマス前までに公開したいとか、部署ごとの思いや狙いがあるだろうから。自分で決めた締切だと、気持ちも違いますよね。

「一人広報」は、決して”一人”じゃない。オウンドメディアを面白がろう!

柴山:今、まさに壁にぶつかりながらも進んでいるゆきこさんですが、同じように会社から命じられてオウンドメディアを始めなきゃいけないという方に、アドバイスはありますか?

わだ:そうですね。私は、オウンドメディアって何? 編集長って何? という本当にゼロの状態から始まって、ラブソルさんと出会って0が1になった。そのプロセスも面白いなと思っていて。「オウンドメディアを立ち上げてほしい」と会社から指示があった私の状況も、考えようによってはハードルが低いなって思うんです。メディアを立ち上げたいと会社に提案することの方が大変そうですよね。

柴山:たしかにそうですね。 自分から立ち上げよう! ではなくて、会社からのミッションということは、オウンドメディアをやること自体の承認は取れてるんですもんね。

わだ:そうなんです。だから、そういう意味ではハードルは低くて。会社からの指示であっても、面白がってやれる方法があるよということは、同じ境遇の方に伝えられたらいいな。
広報というお仕事を初めてしてみて、Twitterでも広報のアカウントをつくってみたんですよね。そうしたら、同じ立場の方がたくさんいて。みんな頑張ってるんだ! と感じてとても心強いんです。わたしの経験も、そういった意味で誰かのお役に立てたら嬉しいなと思っています。

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山形県で冠婚葬祭事業やレストラン・仕出しなどの食事業を展開する株式会社ジョイン様のオウンドメディア『LET'S JOIN 公式 note』。こちらからお読みいただけます。

LET'S JOIN 公式 note https://note.com/join_group/

編集部のみなさんの、お仕事やお客さまへの愛いっぱいの記事たち。ぜひ読んでみてください!

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取材・執筆・バナーデザイン:小野寺 美穂
撮影:池田 実加
編集:柴山 由香


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