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働き方改革黎明期 何が抵抗勢力なのか?

 小泉純一郎構造改革は派遣法を大幅に改正。多くの製造業では派遣労働者が急増しました。当時派遣社員の悲哀みたいなものが報道されていたのですが、中小企業では逆転現象が起こっていてむしろ派遣社員に残業代はかなりの割増をかなり払わないと行けないので、自社の社員や下手すれば残業代をカットできる管理職が穴埋めする場合もありました。見ると聞くとでは大違いでしょう。もちろん派遣社員の待遇の差にはピンキリで当たり現場などギャンブル的な要素はありましたが、リーマンショックでその問題は大きく広がり社会現象になりました。ですが現在グッドウィルの変事があり外国人技能実習生が本格的に導入され、かなり複雑になったのが実情です。

杜撰でテキトーだった勤怠管理

 2000年代労働者の生活は実は熱狂なき好景気と呼ばれていました。所得は上がっていませんが仕事が多くありむしろ残業代などで月給を稼ぐという手段が一般的でした。「労働時間が長くなるのでは?」というご指摘もありますが、そもそも管理職は一人一人の勤怠管理は機能していないところは本当にダラダラと長い時間をやったもん勝ち!という職場も実はそれなりにありました。私たち運輸運送系は基本給が抑えられているので特に残業代をできれば労力少なくして稼ぐには日々の業務を100でやる事を70ぐらいでやるしかなかったのです。さて小泉内閣の後継だった第一次安倍晋三内閣は労働行政改革をこの頃からすでに始めています。いわゆる同一労働同一賃金でした。

むしろ正社員が神格化された?

 非正規雇用を虐げる正社員。既得権益を失う労働組合と負担増を嫌がる財界は抵抗勢力となった。当時辣腕を振るった経済学者はそのような言葉で述懐していますが、当時の労働組合は別に必死こいて抵抗したというより大した危機感もなく、「最悪俺の定年までこの環境が持ってくれるといいな」ぐらいの認識の役員が9割9分占めていました。そもそも派遣社員だろうが大の大人が派遣さんはうちの食堂使っては行けないよなんてほとんどの職場ではあり得ませんよ。当時の報道は誇張も多かったのです。さて同一労働同一賃金はある程度全労働者が納得できる政策でもありましたがむしろ正社員がこんなに優遇されているのだからもっと色んな事ができるよね?という経営者側の都合よく解釈され、コストがかかる人材教育も諦めむしろとにかく正社員という待遇をチラつかせ生き残りそうな人材だけが残留できる不毛な労働状況に変貌したと思います。
 これは私が何度でも言っていますが正社員だからって別に貴族のように暮らしているわけでも非正規雇用の給料を搾取するわけでもなく本来なら対立する事項でもないのですよ。マスコミ報道による過度な正社員神格化が若者に「正社員でないとダメだ」というそれこそそんな風潮これまで日本に一度もなかったわけですが、安易に正社員という肩書きだけを求めた結果、ブラック企業で神経をすり減らし仮に労働組合があった会社にしても役員に「仕事はキツいのが当たり前。頑張って耐えろ」ぐらいのアドバイスしかありませんでした。財界はどうか知らないですが労働側の同一労働同一賃金の認識なんて抵抗どころか意味もよく分からない人ばかりだったと思います。

無理な働き方は減りました

 正社員の神格化が進んだ絶頂期には「正社員は守られているからこれぐらいしないと困る」という空気の中ではもう労働環境がどんなに悪化しても「正社員」ならやらねばいけない状況でした。私の同僚は朝5時に出勤し定時は昼14時ですが、そのまま夜勤に入った人も結構いました。「正社員」という言葉が1人歩きしすぎました。こんなに大変なら生産性なんて考える余裕なんかありません。確かにそれなりに所得はよかったのですが••
 さてよくも悪くも第二次安倍内閣は財界リードの働き方改革でしたが一気に有給取得は取りやすくなり、勤怠管理も強化されました。逆に言えば今まで残業で稼いでいた人は副業をやらざる得ません。そしてこれはずっと言われ続けましたが緩和と締め付けを繰り返した結果今やどこの職場も人手不足状態で外国人技能実習生が今後も増加していくことが予想されます。
 私も労働組合元専従職員。色々な産別の人から色々な話を聞きます。ある産業では今後第二のビッグバンもあり得るかもと言っていました。最近問題となっているあの問題です。労働組合の役員自身は把握していますが、またお得意の「自分の定年まで••」が発動して抵抗勢力にすらなれない追認勢力になりそうな勢いです。労働者にとって労働は生活の要ですが、それに関してもう一度見直しが必要になっていくのかもしれません。自分の仕事について、社会について労働者一人一人が真剣に学べる機会を増やしていかねばとも思ってます。eランニングという会社がやらしているあの手合いではなく••。

 


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