BlenderのGIS系Add-onってどうなのさ?

1ヶ月くらい前でしょうか、「Blenderで町並みを簡単に」というのが流行っていたような気がします。確か何種類かあった気がします。

ただ、地図のデータのエクスポートに関わるライセンス部分について引っかかっている部分があって、「これって手放しですすめちゃっていいものなの?」っていうのがあります。

ここでいう「手放し」とは
・商用利用OK
・データ元に関するクレジットなしでOK
・データを元に作成した出力(作品)の権利について自身で設定可能(継承なし)
といった感じの、作品そのものに他の情報を付与する必要がないことを指します。

ちょっと確認した程度ですが「個人的にこう判断しよう」的なのをおいておきますね。ツッコミ等あればよろしくお願いします()


地図とかのデータにアクセスするAPI

API叩いてデータを取得する系(=Webサービス)はライセンス条項があるはずで、サービス内のデータの利用、外部でのデータの利用について記載があると思います。

個人的な結論としては、以下に示すAdd-onについて「APIを利用しているプログラム内で取得したデータを使う分にはいいけど、そこから何かしらの形で出そうって場合、ライセンス上の何かしらの制限に引っ掛かってしまって手放しでは使えないかなあ」っていう感じ。

あと、最終出力が画像の場合でも、スクリーンショットみたいに「たまたま写り込んでました」的な言い訳ができないことにも注意しましょう。

では見ていきますね。

BlenderGIS

・ リファレンス用Base Map - Google / Bing / OSM
・ 地形マップ - SRTM
・ 建物・道等 - OSM + (地形に応じた高低のためにGooglemapから?)

CG Geekさんとこのチュートリアルでは「グーグルマップが!」的な感じですが、Google MapはBasemesh、リファレンスとして使ってますが、実データとしてはSRTM+OSMですね(?)。

OSMライセンス

Blenderでレンダリングすると「翻案」になるかな?ってなると ODbL がついて回りますかー。公開時にはクレジット入れておきましょう。

OpenStreetMapとその協力者をクレジットすれば、データを自由にコピー、配布、送信、利用することができます。変更したり翻案したりしたデータは同じライセンスに従う場合のみ、提供することができます。

[OpenStreetMap のクレジット表記の仕方]
“© OpenStreetMap contributors”のクレジットを必ず使用してください。

あなたはデータが Open Database License に基づいて提供されていること、そして地図タイルを使用する場合は、地図画像が CC BY-SA としてライセンスされていることを明確にしなければなりません。著作権表示ページにリンクすることでこれを表現することができます。また、データの形式でOpenStreetMapを配布する場合の要件として、名前を表示の上、ライセンスに直接リンクすることができます。リンクを張れないメディア(印刷など)の場合は、openstreetmap.org(OpenStreetMapをアドレスとして展開した形)、opendatacommons.org、さらに関連がある場合はcreativecommons.orgへ読者を誘導することをお勧めします。


SRTM:Desclaimer

このデータを引用する場合にはクレジットおよびリンクしてね、再配布する場合にはCIATの明示的な許可が必要よ?的なことが書かれてますね。

これあれですね、.blendファイルの共有は現実的でないってことですね。

Google Map

ベースマップとして使ってますけど、原則として「Google MapのAPIを利用して」というのでアプリケーション内で使えているという感じ。

出力結果がGoogleマップのコンテンツを含んでいる場合には”このページのガイドラインに従い、コンテンツの権利帰属を正しく表示することを条件に、各プロジェクトでコンテンツを自由に使っていただいてかまいません。”と記載がある"Google マップ & Google Earth"のページを参照して権利帰属の表記をきちんと行いましょう(同じ画面内で)。

Blender-osm Add-on(Free)

BlenderのOSM Add-on は昔々 無料で公開されていたのですが、一度有料化され、また最近無料でも利用できるベースバージョンのAdd-on が提供された、という感じです。プレミアムバージョンはできることが増えているらしいです。

データの利用は、というと、上記 BlenderGIS Add-on と同様にODbL がついて回る感じ。

これによって生成された結果の出力、すなわち画像とかの利用にクレジットなしでOKよ?なんて書かれているような気がしないので、「クレジットしない」ことを前提とする、背景としての利用は自分だったら遠慮したいなあ、とか。

Maps Models Importer

えーと、これは「限りなく邪悪」とか「技術的に出来ることと倫理的に許可されることは違う」ということのお手本、という風に考えてもらった方が良いですね。何せブラウザのキャッシュぶっこ抜いているわけですから。

なのでリンクはありません(すぐ見つかるとは思いますけど)

これをお勧めしている記事があったら、やんわりと「削除した方が良いんでない?」って言ってあげた方が良いレベル。

とか言ってたらCg geekさんが「ウッヒョー」ってやってましたよ。察しの良いみなさんならおそらくツイートの反応でどういうことかわかるでしょう:)

こちらがきっかけではなく、この記事だいたい書き終わったくらいのタイミングで見かけまして。

Public Domain (or CC0) ?

もし地図データをPublic Domain (or CC0) で公開している、というなら「クレジット無しでも利用できる」のですが、そういうところは「存在はするが限られている」という感じ。

「フリーで公開されている」というのと「制限なく利用できる」というのは別、という認識は持っておいた方が良いです。

代替案は無いですか?

自動生成系でしょうか?

Scene City[$]

有料ですけどなかなか良さげなヤツ。フリーの頃に使ったことあるんですけど、最近ノードを組んで使うようになってるとか進化していますね。

Terragen

地形というとこのソフトが有名でしょうか?

または…

自分で作る…

また、お金があれば、販売されているデータを購入して利用したり、キットバッシュ用モデルを購入して、ということも出来るんですけどね。まあ自分で作ってみるのも良いと思います。

もうちょっと近い距離の背景として、というのであればとにかく手を動かす方向でこちらとか(マール社のページは証明書エラー出てるのでcgworld.jpのページへのリンクで)

そうなると村川さんの記事も紹介しておかないとですね。

あとは…HDRI 貼っ付けちゃうとか

Image as plane Addon でドカンと板ポリ置くとか

プロジェクションマッピング的な手法で

まあ最後までオチは無いんですけれども。

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プロモーション(?)

まあこのツイートがプロモーションに当たるかどうかは知りませんし、この程度で目くじら立てるのも的な部分はありますが、ツイートしているC&R社のツイッター担当の方(中の人)については「法務仕事しろ」案件にならないようOSMのクレジット入れるとかうまく立ち回っていただきたいものですね。

ちなみに渋谷の3DCGデータを売っているところがあって、そこで買うと $895 とかします。

こちらも渋谷つながりですので紹介しておきます。



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Project PLATEAU

2021年4月に公開された様子のProject PLATEAUの地図データです。国土交通省主導のプロジェクトだそう。トップページからすぐにライセンス等へのリンク見つけられなかったのではっきりしませんが、ユースケース動画等にもクレジットが無いようなのでPermissiveなものであることは簡単に予想できます。

https://www.mlit.go.jp/plateau/site-policy/ がProject Plateau サイト及びコンテンツの規約のようです。出典記載かCC-BY、またはODC BY、 ODbLのクレジットを入れる、っていう風ですね。

まあ、「こういう試みがあるよ」っていうのは紹介してあげていい気がします。

[2022.11.3]こちらの(Blenderを使っているという噂の)「ゴジラVSガイガンレクス」は「出展記載」のパターンで、エンドロールに出てきますね。なるほどVFXは白組ですか。

追記: 【blender】街を一発で作成(Google map + アドオン)

"こちらのアドオンは商用可でしょうか?"っていうコメントに対して、このページのこと書かれている方いらっしゃいましたね。Blender GISの出力をそのまま使うと「クレジットを全面的に入れなきゃなんない」という形になるので、商用用途で使うにはちょい厳しいでしょうね。

追記: 漫画で使えそうな背景画像(SVG)をPLATEAUの3Dモデルとblenderを使って作ってみた!

こちらの記事。俗に言う"Technically… yes!"な記事ですね。前述の通り、「適切にクレジットを入れる」or「CC-BY等のライセンス下で」、とか必要なはずなんですけどね…。

漫画で使う、というのであれば以下の点はクリアにするか、または記事中で言及があったほうが良いですね。

  • 数ページの作品で、どこかにProject PLATEAUの出典または権利表示を記載していた際に、作者自身でそれらが記載されていないページを抜き出して宣伝等に使えますか?

デジタルコンテンツやサービスとしてリリースするのであれば「権利等記載しているページに誘導する」とかいう手法が使えるんですけど、雑誌掲載とかだと出版する側が記載そのものを容認するかどうかとか色々あると思うんですよね。「使えるって言われたから使ってみたけど後からなんか文句言われた」とか一番お粗末なパターンですし、その辺クリアになってないと不安じゃないですか?

自分の観測範囲で、ということなのかもしれないですけど、特にGeo関係の方がPlateauを紹介している記事を書かれているケースのいくつかで「最終的な成果を公開する場合にクレジットすること」をそこまではっきり書かれていなくて、「そうすることが当たり前」ではない人へのアピールが足りないかな、という部分はありますね。正直にいうと危なっかしい。

冒頭に「手放しで」って記載したのには意味があるんですよ、なんてね。

追記: 国土地理院地図

「国土地理院コンテンツ利用規約」というものによると出典の記載と改変時のクレジットについての記載があるのでそこに従うように、ということなのですけどね。

[2023/10/27]

ああ、なんか以前にも見たパターンですね☺️ 法的にどうこうはしらんけど、的な


データ取り出して作った画像なり動画なり公開したときに「元ソースはGoogleのアレ」で許されるのかよくわかんないですね。

license bleaching とかその辺しないですよね?

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