トンビの野郎にパンを盗まれたので、決闘を申し込もうと思う。
「鴨川でパンを食べてたらトンビがパクりにくるから、気をつけるんよ」何年か前に京都に引っ越してきてすぐ、地元の方にそう言われたことがある。
京都市民の憩いの場、鴨川の上空にはいつも優雅に曲線を描きながら、トンビがゆらゆらと周遊している。なんとものどかな情景だ。
しかし、ある日、事件は起きた。
二条VIVI(商業ビル)の1Fにあるパン屋さんで、ベリーデニッシュとカスタードクロワッサンを購入し「袋は必要ですか?」との問いにNOと即答、片手にパンを持って出た。
二条VIVIを出てJR二条駅を右手に眺め、京都地下鉄東西線二条駅の入り口に入るまで、距離にしてわずか20メートル弱の距離、JR二条駅前に差し掛かったその時、右半身に何かが覆いかぶさってきたかと思うと、手に痛みが走る。痛いっ!!
まさか、無差別通り魔に切られたか?
そう思うや否や、顔を地面に向けて、少し前かがみの姿勢を取り、絶叫した。ぎゃぁぁああああああーー!
状況を把握すべく数秒後に顔を上げると、駅から出てくる人々は何も無かったように個々の方向へと歩き続けている。私の周りには誰も居ない。
え?何が起こった?我に返ると手に持っていたベリーデニッシュが無い。少し痛みを感じる手のひらを見ると5ミリ程度の切り傷があり、ぷっくりと腫れている。
( ̄△ ̄;)エッ・・?もしかして?!
上を見上げると、高く離れた空に黒い大きな鳥が悠々と飛んでいる。
チクショーーーーッ!トンビにパンを盗られたぁ!
ついでにクチバシにやられて負傷だぁっ!
犯人(トンビ)も空腹だったのだろうが、こっちも腹ペコだ。あっけにとられたのも数秒、沸々と怒りがわいてきた。トンビの野郎(怒)
誰かに言いたい!トンビを罵倒しない限りアタマにのぼった血は下がらない!そう思い、SNSに「事件」を投稿した。いつも以上の反響だ。
「自分の友達も鴨川で顔ヤラれた!」「うちの息子はおにぎりを盗られた。やつらはコンビニの袋に反応するらしいぞ」「めっちゃ怖い!」「ひゃー、あんな街中の駅で?」などなど共感コメントが上がる。
しかし、主役級のベリーパンを盗まれた私の心は共感だけでは収まらない。
ムキ~ーーッ ( ゚皿゚)キーッ!! 復讐してやるぅぅぅううう。
どうやって?いくつか案を練ってみる。
味をしめた犯人(トンビ)は事件現場に戻るに違いない。カーネルサンダー像を横に並べて、毎日トンビの前で鶏肉を喰らってやろうか。ざまぁみろ。
犯人(トンビ)の大本営である鴨川で打ち上げ花火を上げまくってビビらせた挙句、BBQコンロで焼き鳥を焼きまくってパーティーをしてやろうか。ざまぁみろ。
もしくは、大好きなチキンブリトーを片手にコンビニ袋をシャカシャカ鳴らして誘き寄せ、共喰いの危機にさらしてやろうか。このやろう。
京の都のトンビが西洋かぶれしてデニッシュ食ってんじゃねぇ。食べるなら米粉パン食いやがれ。
トンビによる盗難事件の被害者の数は何百人にもなるはずだ。
最後には「被害者の会を作って鴨川で犯人一味(トンビたち)に決闘を申し込んでやる。「令和 夏の陣」だ。詫びを入れるなら今のうちだぞ。
なにぶん、私は慈悲深い人間だ。陳謝する部族に攻め入る気はないし、生態を考慮して「治外法権」を持つ「トンビ自治区」を定めてもよい。
しかし、統治は私に任せてほしい。盗難は認めない。そして、この先の未来「生類憐みの令」が発令されるような場合も「トンビのみ例外」とする。
人間も自然界の生態系に生きる動物、特別だとは思っていない。けれども「共存推奨」の鴨川付近ならともかく、市街地戦の奇襲は卑怯だ。なによりも、食べ物の恨みは根深いのだよ。
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