旅の予習・旅のお供で使ってきた本
旅に出る前に読む本、旅の途中で読む本について、私の旅の考え方を交えながらお話します。本は、確実に「旅の価値」を高めてくれます。
旅先を知るための読書
<総論>
旅先の知識を得るための読書は、旅に出る前、旅の途中のどちらでもできます。ただし、旅の途中だと荷物がかさばるし、観光の時間が削られるので、基本的には出発前に読むことをおすすめします。
私の旅の経験から言えることは、旅先に関する知識が多ければ多いほど、知的好奇心が刺激されて、旅を楽しむことができます。
歴史・文化・慣習・自然・地形・産業・交通・行政・経済・・・
特に歴史が大事です。街歩き、博物館や遺跡などの名所に行った時に、モノの見え方の解像度が上がります。
旅先が舞台の小説も読んでおきたいものです。例えば、ロシア旅行でサンクトペテルブルクに行く前に、この町が舞台の「罪と罰」(ドストエフスキー)を読みましたが、街歩きの散歩が楽しくなります。
<中公新書の「物語」シリーズ>
国別の歴史がコンパクトにまとめられています。主要な国はだいたいカバーされています。博物館や歴史のある建築物を訪れる際、より深く楽しめます。
<岩波新書の「現代史」シリーズ>
主要な一部の国について、現代史の視点で解説された本があります。対象範囲は限定的ですが、どの本もクオリティが高い印象があります。しっかり予習したい場合、読んでおきましょう。
<明石書店の「エリア・スタディーズ」シリーズ>
「○○を知るための◇◇章」「○○を旅する◇◇章」のシリーズです。歴史に限らず、文化・産業など幅広いテーマがカバーされています。旅先の「現在」を知ることができます。
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ガイドブックとして選んできた本
旅に適したガイドブックは、旅のスタイルにもよると思います。私の場合、一人旅が多く、知的好奇心や教養の深化を大事にしてきたので、その視点からガイドブックに求めたいポイントを挙げます。
ガイドブックの重要ポイント:
掲載される都市・場所の選択が適切。
ページ配分のバランスが良い。
僻地もカバーしている。
地図が豊富で正確である。
写真が大きすぎない・多すぎない。
国・地域の歴史・文化・産業などの背景の説明が豊富である。
観光スポットだけでなく、街の構造、エリア別の治安や雰囲気も詳しく説明がある。
複数の現地スタッフまたは専門家など、執筆者の信頼性が高い。
出版後 2, 3年以内で情報が新しい。
この中で、特に重視したいのは、「写真が大きすぎない・多すぎない」、「国・地域の歴史・文化・産業などの背景の説明が豊富である」という点です。
写真の質と量が充実しすぎていると、現地で現物を見た時の驚きが薄れてしまいます。「写真と同じだな」「写真のほうが綺麗だな」と感じられてしまうのです。
一方で、各国の歴史・文化・産業の説明は、質・量が充実しているほうが旅先に対する好奇心・思い入れも強くなり、旅の記憶を強く残すことができます。教養の深化にも繋がります。
「地球の歩き方」「Lonely Planet」がおすすめ
上記のような知的好奇心・教養を重視したポイントを考慮すると、「地球の歩き方」シリーズ または「Lonely Planet」シリーズ のいずれかをおすすめします。
「地球の歩き方」の利点は、以下のとおりです。
他の日本語ガイドブックと比べて、旅先の文化・歴史にかかわる情報量が多い。文字の説明が充実している。
写真の分量・サイズが適切である。
比較的マイナーな場所の情報も載っている。
巻末で、各国の歴史・文化の説明にページを割いている。
「Lonely Planet」の利点は、以下のとおりです。
英語のガイドブックのため、現地の人に見せながら話ができる。
写真が少なめ、地図も詳しすぎないため、想像力をかきたてられる。
日本語のガイドブックには無い、超マイナーな僻地もカバーされている。
英語の勉強にもなる。
もちろん、旅のスタイル・目的や行き先によっては、他のガイドブックでも問題ありません。
私は、たいていの場合、「地球の歩き方」を持っていきます。「Lonely Planet」と合わせて2冊持っていくこともありますが、重くなるため強くおすすめはしません。
また、時間に余裕があれば、ガイドブックを一切持たず、現地で収集した情報だけを頼りにした旅も、面白いと思います。自分の旅のスタイルを大事にしてください。
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