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ゆかりおむすび|短歌二十首

早朝は少し酸素が濃いやうな気がする蜩が鳴いてゐる

ゴミ出しの後で見つけるからつぽの卵のパックドアポケットに

母は甘い夫はしよつぱい弁当に入れる玉子焼きの味付けは

大陸は真つ赤だPM2.5分布まいあさまいあさみてる

掃除機をこの前かけたのいつだつけヤモリの死体と対峙してゐる

アレルギーにまだなつてないのが不思議おそろしいほど埃が取れる

ガス台の焦げ剥がしたら錆びてゐたこれからはきれいに使ひます

食品ぢやないんだけれど守るべきか期限を書いてゐる扇風機

マイバッグ持つてゐること何回も言つてゐるのに伝はらないけふ

血圧が低い最近玉ねぎのマリネばつかり食べてるせいか

なんどもなんどもオーブン予熱する朝なんどもなんども同じ菓子焼く

出合ふまで買はないつもりでゐた日傘がシマムラでわたしを待つてゐた

一着のシャツ買つて来て一着の黄ばんだシャツをを包んで捨てる

お返しにチーズケーキを焼くことをこころに決めてホール型買ふ

沖縄のことをきみからでなく知るしりしり器とふ不思議な道具

地元には関係のない料理家のレシピで郷土料理を作る

薄墨できみの名を書くきみの名の字だけが上手くなつてゆく夏

五時を過ぎても明るいね取り込んだ洗濯ものを正しくたたむ

梅干しを買つたらついてくる紫蘇と残りごはんのゆかりおむすび

一日に一杯入れるカフェオレを楽しみにして明日も生きよう

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